7月からのレジ袋有料化で高まるエコバッグ需要。デイサービス利用者の間にもその波は広がっていますが、彼女たちが準備したのは普通のエコバッグではありません。
超節約術ともいえるオンリーワンのエコバッグとは? 漫画とコラムでお伝えします!
デイサービスでの出来事です。いつも仲のいい女性利用者の皆さんたち。その日もニュースの話題などで実に賑やかだったのですが、とくに手先の器用な利用者の皆さんの間では、ハンドメイドのエコバッグの話題で持ち切りでした。
7月よりレジ袋が有料になると知った手芸好きの皆さん。普通だったら売っているエコバッグを買うところなのですが、もったいないの精神をお持ちの彼女らは、着なくなった服や過去の作品の端切れなどを利用した、オリジナルエコバッグを作っていたのでした。
実に手芸歴ウン十年という超ベテランの皆さん。そのバッグの出来はまるでプロのワザ。「古い布を使ったパッチワークよ」「本当に捨てるようなものなのよ」などと照れながら見せてくださる作品(エコバッグ)たちは、本当に見事でした。手先が不器用でミシンを操れない私には魔法のように思えます。
皆さん本当に素晴らしい技術をお持ちなのですが、中でも特に素晴らしいエコバッグを作っていたのは利用者の田中さんです。田中さんは75歳まで実に30年間も現役で和裁の先生をなさっていた本当のプロ。しっかりと見栄えするエコバッグに他の利用者さん方も感動していました。
彼女のエコバッグもパッチワークでしたが、よく聞くと端切れ1つ1つに田中さんの歴史が。「この布は亡くなった主人が大切にしていた羽織の端」「この布は今はもう大学生の孫が2歳の時のチョッキ」と、田中さんは懐かしそうに生地に対する思い出を語ってくださいました。
思い出に浸りながら大事に取っておくだけでは、生地が可愛そうだと思ったのだそうです。私はその話を聞いて感動しました。田中さんはきっとこのエコバッグを特別大切に使うのだろうと思います。
何でも買えば手に入る世の中で、手先の器用さを活かして今あるもので欲しいものを作ってしまう彼女らのクリエイティビティと、“もったない”の精神に頼もしさすら覚えた出来事でした。
漫画・コラム:藤木 なみき
こちらもおすすめ
新着記事