脳梗塞の後遺症があるという一人暮らしの高齢者。5年ほど前、孫に“あること”を頼まれたそうです。
それが現在の“生きがい”につながっているようで……。
私たちヘルパーが主に訪問させていただいている利用者さん方は、自分の身辺のことだけで精一杯という方がほとんどです。
そんななか、金魚をとても大事に育てている利用者さんがいます。
ある日、利用者さんと「とても長生きな金魚ですね」という話になりました。金魚を飼い始めた経緯を聞くと、孫が近所の縁日ですくってきたそうです。
家では飼えないからと、利用者さんの家までわざわざ持ってきたとのこと。
約5年前のことだそうです。5年前といえば、利用者さんはまだ軽い脳梗塞の後遺症が残っていたはず。しかも一人暮らしです。
一人で暮らせる状態ではあったものの、生き物を飼うのはハードルが少々高かったと思われます。
それなのに……と思いましたが、お話を聞いていると、とてもポジティブな考えをお持ちでした。
「金魚を飼うことで平坦な毎日にハリがでた」「孫に感謝しないといけない」。利用者さんはそんなふうに感じているそうです。
しかしたった1匹でも、生き物を飼うとなれば苦労があったと言います。
「水槽を買ったはいいが、説明書の文字が小さすぎて読めないからペットショップの店員さんに聞いた」「ポンプで新鮮な空気を入れてやりたいと思ったけど、ポンプの手入れがしんどい」などなど。
たくさんの苦労があったようですが、金魚のことを語る利用者さんは終始笑顔。
一番嬉しいのは、金魚をすくってきたお孫さんが、小学校が休みの日に利用者さんの家まで見に来てくれることのようでした。
「孫が来てくれているうちは絶対に死なせられない」と意気込んでいました。
漫画・コラム:藤木 なみき
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