高齢者のフレイルを防ぐ対策の強化に向けて、厚生労働省は介護保険法や高齢者医療確保法といった関連法の改正案を今年の通常国会に提出する。
根本匠厚労相が9日、取り組みを積極的に進めている西東京市を視察した後で記者団に意向を表明した。
法改正の主眼は、介護保険の介護予防と医療保険の保健事業を一体的に実施していくこと。制度間の縦割りで別々に行っている現状を改め、より効率的で成果の出るスキームへ作り変える狙いだ。順調にいけば2020年度にも本格展開がスタートする。
例えば、市町村の地域支援事業で開催されている「通いの場(高齢者サロンなど)」の高機能化を図る。後期高齢者医療制度の保険者や国が費用を出し、保健師や栄養士、歯科衛生士、リハ職などの専門職を配置。乏しかった医療の視点に基づく支援を充実させる構想を描いている。関連データの共有・分析や課題の把握・整理をスマート化するため、保険者間でより柔軟に情報連携ができる環境も整備する方針だ。
「健康寿命をいかに伸ばすか。フレイル対策はそのカギを握る」
根本厚労相は西東京市で視察後にそう強調。「新たなモデルを全国に広げていきたい。法改正でも体制づくりをしっかりと促進する」と述べた。
厚労省は昨年、最も重要度の高いポリシーの1つに健康寿命の延伸を明確に位置づけた。今年の夏には、これから注力していく施策を詰め込んだ「健康寿命延伸プラン」を新たに策定する計画だ。プランの方向性について担当者は、
○ 介護報酬上のインセンティブ措置の強化
○ 身近な場所で高齢者が定期的に集い、体を動かす場の大幅な拡充
○ スポーツジムなど民間事業者との連携の強化
などが含まれると話す。今後の制度改正をめぐる議論にも大きな影響を与えるとみられる。
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