参議院本会議で15日に成立した改正医療・介護関連法が公布された。
改正法は介護保険法や健康保険法、国民健康保険法など8本の法律を束ねたもの。「制度の適正かつ効率的な運営を図ること」を趣旨としており、複数の具体策が含まれている。
厚生労働省は先週、全国の自治体へ改正法の内容を伝える通知を発出。介護保険最新情報のVol.729にも掲載し、関係者へ広く周知している。
改正法の柱の1つは、医療機関でマイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする措置だ。2021年3月からの利用開始を目指す。患者の利便性を高めるほか、健康保険証を発行するコストを抑える効果も見込める。
厚労省は必要なシステムを新たに導入する医療機関や薬局に補助を出す。そのための「医療情報化支援基金」の新設を改正法に盛り込んでいる。もっとも、マイナンバーカードは未だ十分に浸透しておらずどこまで普及するかは不透明だ。
外国人労働者の受け入れ拡大に対応する措置も改正法の柱の1つ。
医療保険が適用される扶養家族の範囲を、原則として国内に居住している人のみに限定する。不正の防止や医療費の抑制が目的。一時的に海外で暮らしているだけで、日本に生活の基盤があると認められるケースは例外とされた。配偶者の赴任への同行や子どもの留学などがこれに該当する。施行は来年4月。
改正法にはこのほか、介護保険の「地域支援事業」と後期高齢者医療制度のもとで運営されている健診などの保健事業とを、従来の縦割りを超えて一体的に運営できるようにする措置も含まれている。地域で開催される介護予防の“通いの場”を高機能化する狙いだ。
また、国が蓄積している医療保険・介護保険のレセプトをはじめとするビッグデータについて、研究開発の発展などにつなげる観点から利活用のルールが新たに規定されている。
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