2020年度から運用を本格的に開始する − 。政府は今年度の「未来投資戦略」にそう書いて閣議決定した。とはいえまずは可能な範囲から、少しずつエビデンスを集めていく流れとなりそうだ。
厚生労働省は7日、いわゆる「科学的介護」を展開していく方策を話し合う有識者会議の会合を開いた。新たに構築するデータベース「CHASE(チェイス)」への情報の蓄積を、予定通り2020年度からスタートさせる方針を確認。ただし、現場にかかる事務負担ができるだけ重くならないように配慮して、まずは必要最小限に絞った収集とすることに決めた。
今年の夏までに、2020年度から実際に集め始める情報の中身を選定する。システムの整備を急ぎつつ、早ければ来年度中にもトライアルに着手するという。現場にも協力を呼びかけていくが、2020年度はモデル事業も並行して進めていくプランを描いており、試行的な意味合いの強い年となりそうだ。このプロセスを経て、2021年度の介護報酬改定でどんな手を打つかが最大の焦点となる。
ビッグデータを紐解き、自立支援や重度化防止の観点で相対的に効果が高いアプローチを明らかにし、希望する利用者へ積極的に提供していく − 。それが政府の目指す科学的介護だ。サービスの質の向上や給付費の抑制に結びつける狙いがある。キープレイヤーは「CHASE」。ケアの内容や利用者の変化などに関する情報を収集・蓄積し、エビデンスを確立するプロセスで中核的な役割を担う。
厚労省は昨年3月に「CHASE」の初期仕様案をまとめているが、集まったデータの信頼性・妥当性を十分に確保すること、なるべく現場に事務負担をかけないことなどを勘案し、当初の必須項目、任意項目、聞き方などを検討していく。
2021年度の改定に向けては、多くの事業所から協力を得るための仕掛けを議論していく構え。情報の提供を加算の要件に加える、情報を提供すればより高い単位数を与える、といったインセンティブが改めて俎上に載る見通しだ。
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