政府は11日の経済財政諮問会議に、今年の「骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2019)」の原案を提示した。
今回も「全世代型社会保障」への転換を大きな柱の1つに据えている。
人生100年時代の到来を念頭に、「高齢者から若者まで、誰もがいくつになっても活躍できる社会を構築する」「生き方、働き方の多様化に対応できる持続可能な制度へと改革していく」などと書き込んだ。
今後の検討にあたっては、“支える側”と“支えられる側”のリバランスを図る視点や、個々の「選択を支える社会保障」へ改める視点も考慮に入れ、対象者を年齢で分けるなど従来の発想に必ずしもこだわらないと説明した。
また、自助・共助・公助の役割分担のあり方を再考する姿勢も示している。
焦点の社会保障費の抑制策については、来月に参院選が控えていることを踏まえ具体的な言及を避けた。医療保険や介護保険などをどう次世代に継承するか、来年の「骨太方針2020」でより総合的な政策パッケージをまとめるという。
介護保険をめぐっては、高齢者の自己負担の引き上げや総合事業の見直し、報酬の適正化といった重大な論点がある。個々の可処分所得が目減りするのを防ぐため、保険料の上昇をできるだけ抑えるよう求める声も強い。こうした議論が具体性を帯びるのは今年の秋以降となりそうだ。
政府は今回の素案で、「全世代型社会保障」への転換に向けて健康寿命の延伸に注力していく構えを鮮明にしている。
生活習慣病の予防や介護予防を推進するほか、地域支援事業の“通いの場”を大幅に拡充していく構想を改めて描いた。これらを実現するツールとしては、努力して成果をあげた自治体により多く配分する「インセンティブ交付金」を使う。リソースを増やして予防を重点的に評価すること、アウトカム指標の割合を計画的に引き上げていくことなどを打ち出した。
素案にはこのほか、希望する高齢者が70歳まで働ける環境を作る法改正に踏み切る計画も明記されている。
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