まだぼんやりとではあるが具体策の輪郭が見えてきた。
体操などの“通いの場”の開催を柱とする介護保険の「一般介護予防事業」をめぐる有識者会議 − 。厚生労働省は19日の会合で、より効果的な展開に向けた施策の方向性を示す中間報告の骨子案を提示した。
多くの高齢者に“通いの場”へ参加してもらうため、一定のリターンがあるポイントの付与や有償ボランティアなどをさらに推進していく考えを盛り込んだ。いわゆる「インセンティブ交付金(*)」を使って取り組みを促しつつ、運用のノウハウも提示して横展開を図る構想を描いている。
加えて、リハビリテーション専門職や看護職などに定期的に関与してもらう仕組みの強化に力を入れる方針も打ち出した。
* インセンティブ交付金
正式名称は「保険者機能強化推進交付金」。自治体の努力や成果、取り組み状況などに応じて配分を決めるルールで、「頑張ったところが報われる仕組み」として2018年度から創設された。今年度の財源は200億円。国が都道府県向け、市町村向けの評価指標をそれぞれ定めている。
厚労省は中間報告を来月にまとめる予定。その後、年末にかけてディテールを詰めていく計画だ。早ければ来年度から具体策を実行に移す。
介護保険の「一般介護予防事業」は、市町村がそれぞれ運営している「総合事業」の一環。要支援・要介護と認定される前の高齢者も幅広く対象とし、介護予防の普及・啓発やニーズの把握、住民主体の活動の後押しなどを行っている。“通いの場”の展開はその中核、メインメニューだ。
課題の1つが参加率。2017年度の時点で高齢者全体の4.9%にとどまっている。厚労省はこれを2025年度までに8%へ引き上げる目標を掲げた。
参加者にポイントを付与する取り組みは徐々に普及している。2017年度の調査結果によると、既に実施しているのは全体の25.6%にあたる445市町村。政府はこれを広げる観点から、インセンティブ交付金の評価指標(*)を見直す方針を今年春に固めている。
* インセンティブ交付金の評価指標
“通いの場”の関連では現在、「65歳以上の高齢者の参加率はどれくらいか?」「積極的な参加を促進する取り組みを推進しているか?」などがある。配点は5点から10点。
厚労省は19日の有識者会議で、インセンティブ交付金の評価指標の見直しとあわせて、ポイントの付与を全国でうまく機能させるための方策、より有効に役立てるための手法を議論していくと説明。“通いの場”で担い手として役割を持ってもらうことも重視するとし、有償ボランティアなど他の仕掛けの推進策を検討していく意向も示した。
このほか、専門職との連携・協働の強化を図る構えもみせている。理学療法士や作業療法士、栄養士、保健師などにコミットしてもらう事業の実施率は、2017年度の時点で55.8%。“通いの場”の質を高めて介護予防の成果を大きくする観点から、リハ職などにさらに活躍してもらう手立てを考えていくとした。
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