厚生労働省は16日、来年4月の介護報酬改定に向けた協議を重ねている社会保障審議会の分科会で、訪問看護の運営基準の見直しを提案した。【青木太志】
サービス提供を担う職員に占める看護職員の割合が6割以上であることを、介護保険の給付を受ける必須の条件にしてはどうかという。一定の経過期間を挟んだうえで適用したい考えを示した。
リハビリテーション専門職による訪問が非常に多い事業所があることを念頭に置いたもの。事実上の“訪問リハステーション”を認めないスタンスを鮮明に打ち出した格好だ。
厚労省は会合で、訪問看護の本来の役割・機能を次のように改めて明示した。
「疾病、負傷で継続して療養する状態にある高齢者らに対し、療養上の世話、または必要な診療の補助を行うもの」。
そのうえで、「こうした役割に沿ったサービスが提供されるようにする」と説明。リハ職による訪問については、基本報酬の適正化や提供回数の見直しもあわせて検討していくとした。
担当者は席上、「リハビリは重要なサービスだが、きちんとした医師の指示に基づいて適時適切に提供されることが大事ではないか。訪問リハはやはり、医師の指示が明確である医療機関や老健施設から提供されるべきだと考えている」と述べた。
これに対し委員からは、「リハサービスが利用者から遠のいてしまう」「一定のニーズがあることも考慮すべき」といった慎重論も出た。「どうしてリハ職の訪問がいけないのか」との声もあがった。
厚労省は今後も引き続き調整を進めていく構えだ。年内には大枠の方針を決定する。
厚労省の統計によると、昨年度の訪問看護費の総請求回数に占めるリハ職の訪問の割合は53.9%。15.8%だった2009年度から10年間で大幅に高まった。リハ職の割合が職員の6割を超えている事業所は、2017年度の時点で訪問看護全体の4.7%だと報告されている。
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