来年4月の介護報酬改定をめぐる協議を重ねてきた社会保障審議会・介護給付費分科会は18日、具体策の方向性を描いた「審議報告」を大筋でまとめた。【Joint編集部】
大きな柱は以下の5本。これらを総合的に進めることで、2025年、更には2040年を見据えた体制の構築を目指すとした。日本は今後、高齢者の急増と現役世代の急減が同時に進んでいくことになる。
感染症や災害への対応力強化に向けては、有事を想定した業務継続計画(BCP)の策定、シミュレーションの実施などが全ての事業者に義務付けられる。3年間の経過期間を経たうえで適用される。やはり新型コロナウイルスの流行、あるいは最近の自然災害の増加が重要な契機となった。
自立支援・重度化防止の推進も極めて重要な視点。厚生労働省は審議報告に新たな施策を多く盛り込んだ。
例えば施設には、寝たきり防止や褥瘡マネジメント、排せつ支援などの取り組みの充実を促す。通所介護では、その効果を高めるべく個別機能訓練加算、入浴介助加算、ADL維持等加算などにテコ入れする。施設系、居住系、通所系などの横断的な措置として、いわゆる「科学的介護」の基盤となるデータベース「CHASE」への情報提供、フィードバックの活用を評価するインセンティブを新設する。
介護人材の確保は業界最大の課題だ。厚労省は「特定処遇改善加算」の要件の一部を緩和し、取得する事業者にとっての使い勝手を高める。介護現場の業務負担の軽減につなげるため、各種の会議、多職種連携などの際にビデオ通話を使うことを幅広く認めていく。ケアプランや各サービスの計画書、重要事項説明書などの同意を利用者から得る際は、必ずしも押印・署名をもらう必要がないことを明確化する。
各サービスの運営基準や基本報酬、加算の単位数・算定要件などは、この審議報告に沿って見直される。厚労省は年明けの1月か2月に、来年度から適用する新たなルールの詳細を公表する予定。
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