今年4月の介護報酬改定では、自立支援・重度化防止の成果をみるアウトカム評価の考え方が特養の報酬体系に初めて組み込まれる。【青木太志】
厚生労働省はその内容を決めた。今年度中にもルールの詳細や留意点などを通知で示す。
アウトカム評価のターゲットは2つある。排泄と褥瘡だ。既存の「排せつ支援加算」と「褥瘡マネジメント加算」の見直しによって具体化される。
両者に共通しているのは、全ての入所者を対象として状態のスクリーニングを定期的に行うこと。適切な介入が必要と判断された人の計画を多職種で作り、それに沿ってケアを実践していくことが求められる。介護保険の新たなデータベース「LIFE」へデータを送ること、計画を定期的に更新することも必須となる。
ここまでがベース部分。排せつ支援加算なら10単位/月、褥瘡マネジメント加算なら3単位/月を、全ての利用者について算定できる。
アウトカム評価はこれらの上位区分。排せつ支援加算では以下の2つが要件となる。どちらかを満たせば5単位/月、両方を満たせば10単位/月。実際に満たした人数分に限って上乗せで算定できる。
○ 排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善し、いずれにも悪化がない
○ おむつ使用ありから使用なしに改善した
褥瘡マネジメント加算の上乗せは10単位/月。実際に褥瘡の発生を防いでいることが要件で、計画を作ってケアを実践した人数分だけ取得できる。
介護施設の報酬体系に組み込まれているアウトカム評価は現在、入所者の在宅復帰に着目した老健のインセンティブ1つのみ。今回の排泄・褥瘡の仕組みは、特養だけでなく老健や介護医療院、看護小規模多機能などにも適用される。
老健以外ではこれが初のアウトカム評価。厚労省は自立支援・重度化防止に向けたサービスの展開につなげたい考え。通所介護や通所リハなどにとどまらず、施設系でも相応の取り組みを現場に促していく方針だ。
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