厚生労働省が今年度の介護報酬改定で施設サービスに新設した「安全対策体制加算」− 。転倒や転落、誤嚥、誤薬といった介護事故を防ぐリスクマネジメントの強化を促すものだ。昨年度末に出た改定の解釈通知やQ&Aの内容も含め、これまでに明らかになった算定ルールを網羅的にまとめた。【鈴木啓純】
介護施設には従来から、介護事故の防止に向けた指針の整備や委員会の開催、研修の実施などが運営基準で求められている。今回の改定では、これに加えてリスクマネジメントにあたる担当者の選定・配置が義務付けられた。
安全対策体制加算はこうした見直しに伴い導入されたもの。算定要件は、外部の研修を受けた担当者を置いて安全対策に組織的に取り組む体制を整備していること、と定められている。対象は特養、老健、介護療養病床、介護医療院。入所時に1回、20単位となっている。
改定の解釈通知には、安全対策体制加算の趣旨が以下のように説明されている。
○ 介護事故の発生防止につなげる指針の作成、委員会の開催、職員への研修、これらを適切に実施するための担当者の配置に加え、その担当者が関連する外部の研修を受講し、組織的に安全対策を実施する体制を備えている施設を評価するもの。
○ 組織的に安全対策を実施するにあたっては、施設内に安全対策部門を設置し、介護事故の防止に向けた指示や事故が生じた場合の対応について、職員全員に適切に行き渡るような体制を整備していることが必要。
改定のQ&Aには、安全対策体制加算の算定ルールを解説する以下の問答が掲載されている。
Q:入所時に算定できるとされているが、算定要件を満たせば既に入所している既存の入所者についても算定できるのか?
A:算定要件を満たした後に新規で受け入れた入所者のみ算定可能。
改定の解釈通知には、算定要件の"外部の研修"について以下のように記載されている。
○ 介護現場での事故の内容、発生防止の取り組み、発生時の対応、施設のマネジメントなどの内容を含むものであること。
○ 今年10月31日までの間は、研修を受講予定(受講申込書などを有している状態)であれば研修を受講したものとみなすが、今年10月31日までに研修を受講していない場合は、4月から10月までに算定した加算を遡って返還すること。
また改定のQ&Aには、研修の実施主体について以下の認識が示されている。
Q:外部の研修とはどんな研修を想定しているのか。
A:関係団体(老施協、全老健、日慢協等)などが開催する研修を想定している。
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