65歳以上の高齢者の介護保険料について、厚生労働省は来年度から個々の経済力に応じて多寡を決める「応能負担」の性格を更に強化する。【Joint編集部】
低所得者の負担を軽減する措置を、一段と拡充する方針。その財源は高所得者の負担を増やすことで捻出する。高齢者どうしの再分配機能を強化し、制度の持続可能性を高める狙いがある。
来年度予算案の編成過程で正式に決定した。今月22日には全国の自治体へ通知を発出。国が定める標準段階、標準乗率、基準所得額などの成案を明示するとともに、見直しの趣旨や留意点をまとめたQ&Aも併せて公表した。
介護保険最新情報のVol.1190で広く周知している。
現行、65歳以上の介護保険料は合計所得などに応じた9つの標準段階のもとで設定されている。厚労省は今回の改正でこれを増やす。高所得層のステップを新設する形で13段階へ細分化する。
具体的には、年間の所得が420万円以上の高齢者の保険料を引き上げる。520万円以上、620万円以上、720万円以上と所得が上がるに連れて、その引き上げ幅も大きくする。
これで得られる新たな財源は、低所得者の負担を軽くする措置に充当していく。全員が住民税非課税で所得が120万円以下の世帯、生活保護の世帯などを対象に既存の軽減策を拡充する。
厚労省はこのほか、高所得層の負担増による財源を来年度の介護報酬改定にも投じる方針。各サービスの基本報酬の引き上げ、介護職員の賃上げなどの原資として活用する意向を示している。
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