厚生労働省は新年度の介護報酬改定で、介護現場のテクノロジーの導入を後押しする「生産性向上推進体制加算」を新設する。
今月15日、その基本的な考え方や算定要件の詳細などを明らかにする通知を発出。介護保険最新情報のVol.1218で広く周知した。【Joint編集部】
新たな「生産性向上推進体制加算」は、介護職の業務負担の軽減、職場環境の改善に向けた施策の一環。実際にテクノロジーを導入し、それを適切に運用しようと努める事業所・施設を評価するインセンティブで、一連の取り組みにより生じるコストを補填する意味合いがある。
対象は幅広く、施設系サービス、居住系サービス、短期入所系サービス、多機能系サービスが取得可能。区分は次の2種類だ。
算定要件としては、テクノロジーの導入や委員会の開催、実績データの国への報告などが定められた。上位区分の加算(I)では、更に複数のテクノロジーを導入していること、業務内容の明確化や役割分担を図っていること、実際に業務改善の成果が確認されたことなども求められる。
厚労省は新たな通知で、まず加算(II)を取得することが原則だと説明。「介護現場の生産性向上を段階的に支援していく。一定期間は加算(II)に取り組み、それから加算(I)へ移行していくことを想定している」との認識を示した。
注)以前から生産性向上の取り組みを推進しており、算定要件を満たす事業所・施設であれば最初から加算(I)を取得可能。
対象となるテクノロジーについては、下記の3つに整理。加算(I)は全て、加算(II)は事業所・施設の実態に合うものを1つ以上導入すべきとした。
また、厚労省は委員会の開催について「3ヵ月に1回以上」と明記。管理者やユニットリーダー、ケアを担う幅広い職種の参画を求め、オンライン開催も可能と説明した。
必要な検討事項としては、サービスの質の向上や利用者の安全、職員の負担軽減、必要な研修・講習などを提示。利用者の状態の変化やヒヤリハット事例を把握・分析すること、職員の負担の増減をヒアリングで確認することなども要請した。
実績データの国への報告については、事業年度ごとに1回、原則としてオンラインで実施することとした。
厚労省は報告事項として、利用者の満足度の評価、総業務時間・超過勤務時間、年次有給休暇の取得状況などを列挙。これらの調査票の様式も併せて示した。加算(I)の取得には、更に介護職の心理的負担の評価、業務時間のタイムスタディ調査の結果も必要だとした。
新たな通知には、こうした「生産性向上推進体制加算」の算定ルールが詳細に記載されている。
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