財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」は21日、政府への建議「我が国の財政運営の進むべき方向」をまとめた。【Joint編集部】
持続可能な財政構造の構築に向けた努力を怠らないよう強く訴える内容。現役世代の急減や高齢者の急増、日銀の金融政策の転換といった環境の変化も踏まえ、「社会保障制度、公共サービス、社会資本など、これまでの日本を支えてきた社会経済システムを、将来の我が国の形に合わせて大胆に見直していくことが不可欠。課題解決を先送りする時間的な余裕は残されていない」と強調した。
社会保障制度については、次世代も安心できる応能負担の「全世代型」へ切り替えるべきと重ねて主張。少子化対策の重要性も念頭に、給付費の適正化によって現役世代が支払う医療・介護の保険料の伸びを「最大限抑制すべき」と促した。
介護分野の具体策は、財務省がこれまで繰り返し実現を求めてきたメニューが中心となっている。
例えば利用者負担の引き上げ。財政審は今回の建議でも、2割負担の対象者を拡大すること、居宅介護支援に利用者負担を導入することを改めて要請した。高齢者の経済状況を評価する際に、所得だけでなく金融資産の保有状況などを考慮することもあわせて注文した。
また、要介護1と2の訪問介護、通所介護を市町村の総合事業へ移管することも提言。まずは訪問介護の生活援助を先行して移すなど、段階的にでも給付の縮小を断行すべきとした。
このほか、テクノロジーを活用した施設・事業所の人員配置基準の柔軟化、介護経営の協働化・大規模化も進めるべきと主張。保険外サービスのより柔軟な運用を認め、それで地域の介護ニーズに対応していくことの必要性も指摘した。
財務省は今後、こうした施策を6月にもまとめる今年度の「骨太の方針」に盛り込むよう政府に働きかけていく方針。
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