お泊りデイサービスは宿泊が可能なデイサービスです。あまりなじみのないサービスかもしれないですが、知っておくといざというときに便利です。
お泊りデイサービスの特徴や費用、利用条件などをわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
お泊りデイサービスを解説するっポ。
お泊りデイサービスとは宿泊できるデイサービスです。日中をデイサービスで過ごし、そのままその事業所に宿泊します。
そもそも日中のデイサービスは、通所介護と呼ばれる介護保険制度に基づいたサービスです。食事の提供や入浴、機能訓練などを受けながら日中の数時間を過ごします。
お泊りデイサービスは、日中のデイサービスが終わったあとから提供されます。
介護保険制度外の自主事業のサービスのため費用は利用者の全額自己負担となりますが、朝から夜までデイサービスで過ごしたあと、そのまま宿泊できるのがメリットです。
お泊りデイサービスは以下のようなときに利用できます。
お泊りデイサービスは、自宅で日常生活を送ることが難しい方の一時的な利用に適しています。
原則として緊急時や短期的な利用が対象のため、連続的な利用が見込まれるときは、ご本人やご家族の事情に応じて他の介護サービスを検討しなければなりません。
お泊りデイサービスは、日中にデイサービスを利用した方がそのまま宿泊するサービスです。そのため、デイサービスの対象者となる要介護1~5の方が利用可能です。
要支援1・2の方は、要支援者が利用できるデイサービスで利用します。
お泊りデイサービスは介護保険制度外のサービスのため、要介護認定を受けていなくても利用できると思われがちですが、そうではありません。
お泊りデイサービスを利用したい場合は、まずは要介護認定を受ける必要があります。
お泊りデイサービスを提供する事業所は、人員配置や設備などに関する運営基準を満たす必要があります。
利用定員 | ・日中の定員の半分以下かつ最大9名(基準を満たす宿泊室が確保できる範囲) |
---|---|
人員配置 | ・サービスの提供内容に応じて必要な人員数を確保 ・夜勤職員として介護職員、看護師、准看護師のうち常時1名以上 ※介護職員は、介護福祉士や実務者研修・介護職員初任者研修修了者が望ましい ※上記以外の介護職員も介護などに関する知識や経験があること |
宿泊室 | <個室> ・定員は原則1名とし、利用者の希望などにより必要と認められれば2名でも可 ・7.43平方メートル以上 <相部屋> ・定員は4名以下 ※パーテーションなどの間仕切りでプライバシーを確保すること(カーテンは不可) |
お泊りデイサービスでは、利用者数や提供するサービスによって必要な職員数が配置されます。食事介助やオムツ交換、夜間の対応も行うため、介護職員は有資格者や介護に関する知識・経験がある者でなければなりません。
宿泊室は個室と相部屋の2種類です。個室は原則1名で使用しますが、夫婦である場合など必要と認められれば2名で使用できます。
相部屋の利用は4人以下です。家具やパーテーションで部屋を仕切り、それぞれのプライバシーを確保します。
その他の運営基準には緊急時の対応などがあり、緊急時に対応するための職員配置や連絡体制の整備、消火設備や非常災害時に必要な設備の設置などが求められています。
お泊りデイサービスでは、以下のサービスを提供してるっポ。
なお、お泊りデイサービスは長期の利用を想定していないため、看取りケアは原則行われていません。
以下は、お泊りサービスの詳しいサービス内容です。
お泊りデイサービスは、日中に利用したデイサービスにそのまま宿泊できます。夜間も基準を満たした職員が常駐し、巡回や緊急時の対応を行うため安心です。
宿泊室は個室もしくは相部屋となりますが、相部屋が多い傾向です。個室を希望する場合はあらかじめ確認しておく必要があります。
お泊りデイサービスでは通常、夕食と朝食の二食が提供されます。
利用者の心身の状況や嗜好に応じた食事を提供するほか、なるべく食堂で食事ができるように支援するなど、介護を必要とする高齢者が安全に食事を摂れる工夫をしています。
お泊りデイサービスでは日中のデイサービスと同様に、食事の際の介助、オムツ交換やトイレ誘導などの排泄介助、車椅子や手引き歩行などの移動介助といった介護サービスを提供します。
宿泊に伴い着替えや歯磨き、整容などの介助も行われ、入浴は日中のデイサービスで済ませることが多い傾向です。
お泊りデイサービスの費用は介護保険が適応されないっポ…。
お泊りデイサービスは介護保険制度外の自主事業です。介護保険は適用されないため費用は全額が自己負担となります(介護保険適応のサービスは自己負担1~3割)。
費用は事業所ごとに異なり1泊2,000円~4,000円程度が一般的ですが、なかには1泊1,000円程度の事業所もあります。このほかに、食事代やオムツ代などが別途必要です。
お泊りデイサービスの利用者は、宿泊の前後に日中のデイサービスを利用するため、日中のデイサービスの費用も必要になります。
お泊りデイサービスのメリットは何かな?
お泊りデイサービスには主に4つのメリットがあります。
お泊りデイサービスは普段利用しているデイサービスに宿泊できるため、特に認知症の症状がある方は安心して利用できます。なじみの職員のいる通い慣れた施設に泊まれることは大きなメリットでしょう。
日中のデイサービスと同様に家族以外の方との交流の場となり、ご本人の気分転換にもなります。
お泊りデイサービスを利用している間は家族の介護負担軽減になるため、利用者・ご家族ともにリフレッシュする時間を確保できます。
また、お泊りデイサービスは比較的予約が取りやすく使い勝手がよい傾向です。
お泊りデイサービスと似たようなサービスにショートステイがありますが、予約が取りにくいため突発的な利用には不向きです。
お泊りデイサービスにはデメリットもゼロじゃないっポ…。
お泊りデイサービスには多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。
お泊りデイサービスは、緊急時や短期的な利用に限ってサービスを提供します。長期的な利用を対象としたサービスではないため、1泊から2泊の利用が多い傾向です。
1か月ほど滞在する人もいますが、連泊は30泊までなどと上限を定めている自治体もあり、長期間の利用には向きません。
介護保険制度外のサービスのため、全額自己負担となるのもデメリットのひとつです。
また個室を利用できればいいのですが、相部屋では同室者の気配が気になってストレスを感じる利用者も少なくありません。
利用者同士の視線を遮断できるように家具やパーテーションなどで室内を仕切ってはいるものの、完全なプライバシーの確保は難しいといえます。
お泊りデイサービスでの過ごし方の一例を紹介するっポ。
お泊りデイサービスでは1日をどのように過ごすのでしょうか。以下で一例をご紹介します。
なお、お泊りデイサービスの前後には通常のデイサービスを利用します。以下のケースだと朝9時30分から翌日の午後4時までをデイサービスで過ごすことになります。
9:00 | ・職員が車で自宅までお迎え |
---|---|
9:30~16:00 | 【日中のデイサービス】 ・バイタル測定や体調に異常がないかなど健康チェック ・ゲームや趣味活動などレクリエーション ・職員の支援のもと入浴 ・体操など機能訓練 ・昼食やおやつ など |
16:00 | ・日中のみのデイサービス利用者を見送る ・自由時間 |
17:00 | ・夕食 |
18:00 | ・他の利用者や職員と話したりテレビを観たりして団らん |
20:00 | ・歯磨きや更衣、排泄など就寝の準備 |
21:00 | ・就寝 |
6:00 | ・起床 ・更衣や整容、排泄など身支度 |
7:00 | ・朝食 |
9:30~16:00 | 日中のデイサービス *サービス内容は前日と同じ |
16:00 | ・自宅への送迎 |
通常のデイサービスでは、昼食や入浴のほか、レクリエーションで他の利用者と交流を深めてコミュニケーションを楽しみます。
宿泊する場合はこれらのサービスに加えて、夕食の提供や就寝前の支援があるというイメージです。
お泊りデイサービスで長期の滞在はできるのかな?
お泊りデイサービスの利用は緊急時または短期的なものに限られ、自宅での生活が一時的に困難な方が対象です。
「30日まで」などと連泊の条件を定めている自治体もあり、老人ホームのように長期的な利用はできません。
お泊りデイサービスに似たサービスにはショートステイがあります。
連続で30日まで利用できるうえ介護保険の対象となるため、事前に予定できる場合はショートステイの利用も検討しましょう。
さらに長く利用したいときは、賃貸借契約で入居できるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や、短期的に利用できる住宅型有料老人ホームが選択肢として挙げられます。
最期までいられる場所を探しているときは、特別養護老人ホームなどの看取りに対応した施設が適しています。グループホームや介護付き有料老人ホームなどでも、看取り体制を整える施設が増えてきました。
お泊りデイサービスの利用が向いているのは以下のような方だっポ。
お泊りデイサービスは、家族が夜間帯の介護を負担に感じている場合や、なじみの場所でないと不安を感じやすい方におすすめです。
急な宿泊に対応できる事業所も少なくないので、お泊りデイサービスの利用も視野に入れてデイサービスを探しておくと、いざというときに頼りになります。
なお、お泊りデイサービスは介護保険制度外のサービスではありますが、ケアプランに記載してもらうのがおすすめです。
どのようなサービスを利用しているのかを関係者が把握し、よりよいケアの提供につなげるためです。
お泊りデイサービスは誰でもすぐに利用できるわけじゃないっポ。
お泊りデイサービスを利用するためには要介護認定を受ける必要があります。以下の手順にそって手続きを進めましょう。
お泊りデイサービス自体は介護保険制度外のサービスですが、日中のデイサービスに通っていることが利用条件です。
日中のデイサービスは要介護1~5の認定を受けていなければ利用できません。そのため、まずは要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定を受けたら、お泊りデイサービスのある事業所を探します。ご本人やご家族が探すこともできますが、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると事業所を提案してくれます。
事業所が決まったらデイサービスをケアプランに盛り込み、契約をして利用開始です。
なお、要支援の方は介護予防・日常生活支援総合事業のデイサービスの利用が可能です。事業所がお泊りデイサービスを提供していれば要支援の方も利用できます。
お泊りデイサービスでのよくある質問に回答するっポ。
お泊りデイサービスは通常のデイサービスとは異なる点も多いため、疑問を持つ方も少なくありません。
ここでは、お泊りデイサービスに関するよくある質問に回答します。
ショートステイは、施設に宿泊して必要な介護を受ける介護保険サービスです。短期入所生活介護と短期入所療養介護の2種類があります。
短期入所生活介護では日常生活上の介護や支援を受けることができ、短期入所療養介護では医学的管理のもとで宿泊が可能です。
お泊りデイサービスとショートステイの主な違いは以下のとおりです。
お泊りデイサービス | ショートステイ | |
---|---|---|
利用の目的 | ・家族の急な体調不良・出張など突発的な利用 ・家族の介護負担軽減を目的とした利用 |
・家族の計画的な外泊・休息目的での利用 ・施設入居の前段階として慣れることを目的とした利用 |
宿泊する施設 | 日中利用したデイサービス | 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設など |
介護保険の適応 | × 全額自己負担 |
○ 1~3割負担 |
予約の取りやすさ | ○ | × |
お泊りデイサービスは介護保険制度外のサービスですが、ショートステイは介護保険が適用されるため自己負担分1~3割で利用できます。
お泊りデイサービスはデイサービスに宿泊しますが、ショートステイは特別養護老人ホームや介護老人保健施設、専用の施設に宿泊します。
なお、ショートステイは連続して30日まで利用が可能です。
お泊りデイサービスは違法ではありません。
お泊りデイサービスは介護保険制度外のサービスですが、2015年に厚生労働省が運営指針を定めています。厚生労働省が定めた基準を満たし、行政に認められていれば問題ありません。
基準を満たしている事業所かどうか不安な方は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、施設を探してもらいましょう。
お泊りデイサービスは介護保険制度の適応外となる宿泊サービスです。日中に利用したデイサービスにそのまま宿泊でき、家族の突然の病気や外泊時などに利用できます。
ショートステイと比べて予約が取りやすいうえ、なじみの場所で宿泊できるメリットがある一方で、全額自己負担で費用がかかったり長期利用はできなかったりする側面もあります。
お泊りデイサービスを利用するには、要介護認定を受けてから事業所を探すのが一般的な流れです。
家族が介護をがんばりすぎて疲れてしまっては、ご本人にとってもよくありません。ご本人のためにも、お泊りデイサービスやショートステイを利用して家族の介護負担の軽減を図るのがおすすめです。
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