居宅療養管理指導を利用する3つのメリットとは?料金やサービス内容も解説

居宅療養管理指導とは、外出が難しい高齢者にとって必要な介護保険サービス。医師や歯科医師など、必要に応じて専門職が自宅を訪問してくれます。
居宅療養管理指導の特徴やサービス内容、メリット、利用料金など、わかりやすく解説します。

専門職が自宅訪問!居宅療養管理指導とは?

居宅療養管理指導は、介護保険を利用できるサービスだっポ。

寝たきりなどで移動が難しく、通院できない――要介護の認定を受けた人のなかには、そんな高齢者も少なからずいます。
そういった人へ向けたサービスが、居宅療養管理指導。少々わかりにくいサービス名ですよね。

居宅療養管理指導とは、高齢者の自宅や老人ホームなどへ、医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士といった専門職が訪問し、療養に必要な指導や健康管理などの助言を行ってくれる介護サービスです。

それぞれの専門職は高齢者が暮らす生活の場に来てくれるので、本人のありのままの状況を理解してもらえます。
その様子を把握した上でのアドバイスをもらえることから、利用者はより自立した生活を目指せるのです。

また、アドバイスの内容にあわせた介護サービスが受けられるように、ケアマネジャーと連携して、よりよいケアプランの作成につなげています。

居宅療養管理指導の利用は、65歳以上で要介護1~5の人が対象です。
ただし、40~64歳であっても、関節リウマチや末期の悪性腫などの16種類の特定疾病によって要介護と認定された場合には、サービスを受けることができます。

要支援1・2の人が利用できるのは、介護予防居宅療養管理指導です。名称は違いますが、居宅療養管理指導と同じサービスが利用できます。

必要に応じて専門職が自宅まで来てくれるサービスなんだね。

居宅療養管理指導のサービス内容

具体的にどんなサービスを受けられるのかを紹介するっポ。

医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士など、あらゆる専門職による居宅療養管理指導を受けることが可能です。
これらの専門職は、当然ですがその分野でのエキスパート。それぞれの分野の適切な指導を受けられます。

なお、看護師による居宅療養管理指導は、2018年度の介護報酬改定にて廃止となりました。

医師・歯科医師の場合

医師や歯科医師が利用者の自宅へ定期的に訪問し、健康状態の継続的な管理や指導をします。
また、同居での在宅介護、一人暮らしの高齢者、老老介護などで困っている人に、在宅介護のアドバイスをするのも医師や歯科医師の役割です。

処方している薬の服用状況や服用方法の確認、副作用などに関する指導、使用中の医療器具に関しても管理を行います。

利用者のケアプランがよりよくなるよう、ケアマネジャーへの情報提供も重要な仕事です。

薬剤師の場合

医師や歯科医師の処方に基づき、薬を利用者の自宅まで届けてその薬について説明します。
また、前回まで服用していた薬の服用状況や、効果・副作用の初期症状の発現、健康状態や生活状況を本人や家族にヒアリングして、状況を確認します。

もし薬が残っていれば、お薬カレンダーを設置するなど飲み忘れを防ぐ工夫をしたり、服用しやすい用法に変更できるか医師と相談したりすることも薬剤師の仕事です。

医師や歯科医師と同様に、ケアマネジャーにも情報提供を行います。

管理栄養士の場合

医師の求めに応じて訪問し、利用者が健康的な生活を送れるように「栄養ケア計画」を作成します。
栄養ケア計画とは、食事メニューや食事の方法を検討して、短期的または長期的な目標を計画するものです。

また、適切な栄養量を算出するために、利用者の食事に関するニーズや生活状況・身体状況の把握もかかせません。

管理栄養士は、本人に調理可能なのか、家族に時間的・金銭的な負担がかからない調理方法なのかなどを加味した上で指導を行います。

歯科衛生士の場合

歯科医師の求めに応じて利用者の自宅を訪問して、要介護者や家族に対して正しい歯磨きの方法をレクチャーします。

高齢になると嚥下機能が低下してしまう人も多いため、嚥下機能の向上について助言をしたり、維持させるための指導を行ったりします。
また、有床義歯を清潔に保つための清掃方法もアドバイスします。

体や口腔内の不安、薬、食事のことまで、いろんな相談ができそうだね。

居宅療養管理指導を利用する3つのメリット

居宅療養管理指導のメリットは、大きく分けて3つあるっポ。

本人の負担を軽減できる

1つ目は、要介護者の負担を軽減できる点です。

要介護者の多くは、車の運転ができず公共交通機関の利用も困難です。タクシーなら移動は便利ですが、金銭的な負担が増えてしまいます。

居宅療養管理指導なら専門職が自宅まで来てくれるので、移動にかかる利用者の身体的・精神的・金銭的な負担軽減が可能です。

家族の負担や不安を軽減できる

2つ目は、周りの人の負担を軽減できる点です。

本人の状態によっては、同居する家族が通院のたびに付き添わなければなりません。
車の乗り降りを介助したり、公共交通機関の利用も高齢者の足にあわせると時間がかかったりするケースもあるでしょう。

移動がなければ、体力的・時間的負担を軽減できます。
体力を温存できるだけでなく、家族はその時間で家事や仕事ができますし、趣味にあてればストレスも軽減できます。

居宅療養管理指導は家族へのアドバイスや相談にも乗るので、不安の解消にもつながるでしょう。

専門職による連携がある

3つ目は、利用者が自宅で療養できるよう見守るメンバーが増えることです。

要介護の認定を受けても、それまで過ごした自宅で生活を続けたい。そう考える人は少なくありません。

高齢者が療養しながら過ごすには、ケアマネジャーやヘルパーだけではなく、さまざまな職種の人が利用者の生活に関わりを持たなければ継続は不可能です。

専門職とのつながりを持て、専門職同士が連携して介護にあたってくれることが、居宅療養管理指導の最大のメリットといえるでしょう。

もし自分に介護が必要だったら、たくさんの専門家が連携してくれればすごく心強いと思うよ。
体だけじゃなくて心の不安も解消できそうだね。

居宅療養管理指導を利用できる回数と料金はどのくらい?

居宅療養管理指導は利用できる回数も決まっているっポ。

居宅療養管理指導で発生する料金は、サービスを提供する専門職の種類や、利用者が住んでいる建物によって異なります。
また、毎月の利用できる回数は定められています。

介護認定を受けた生活保護受給者の場合は、どの専門職の居宅療養管理指導を受けても自己負担額はありません。

ここでは1割負担の費用を紹介していますが、所得によっては2~3割負担となります。地域によって料金が変わることもあるので、目安としてご確認ください。

医師・歯科医師の場合

介護保険を利用した居宅療養管理指導は、月2回まで利用できます。
同じ建物の居住者1人に対してなのか、同じ建物で複数人がサービスを受けるのかで、料金は異なります。

居宅療養管理指導費(医師)
単一建物居住者(1人) 515円
単一建物居住者(2人以上9人以下) 487円
単一建物居住者(10人以上) 446円
居宅療養管理指導費(歯科医師)
単一建物居住者(1人) 517円
単一建物居住者(2人以上9人以下) 487円
単一建物居住者(10人以上) 441円

*1割負担、1単位10円で計算

居宅療養管理指導の利用は月2回までですが、医療保険の枠組みで同じような医師の訪問サービスである「訪問診療」を受けることも可能です。

ちなみに、単一建物居住者とは、マンションやグループホーム、有料老人ホームなどに暮らしている人のことを指します。

薬剤師の場合

病院や診療所の薬剤師と薬局の薬剤師とでは費用が違います。

居宅療養管理指導費(医療機関の薬剤師)
単一建物居住者(1人) 566円
単一建物居住者(2人以上9人以下) 417円
単一建物居住者(10人以上) 380円
居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師)
単一建物居住者(1人) 518円
単一建物居住者(2人以上9人以下) 379円
単一建物居住者(10人以上) 342円
情報通信機器を用いて行う場合 ※月1回まで 46円

*1割負担、1単位10円で計算

病院や診療所の薬剤師によるサービスの利用回数は月2回までです。
一方、薬局の薬剤師によるサービスは、利用者の病名などにより、月4回、もしくは8回までとなっています。

居宅療養管理指導料以外には薬代がかかります。薬代は介護保険ではなく医療保険を使用するので、医療保険と介護保険を併用することになります。

管理栄養士の場合

居宅療養管理指導を月2回まで利用できます。

居宅療養管理指導費(管理栄養士)
単一建物居住者(1人) 545円
単一建物居住者(2人以上9人以下) 487円
単一建物居住者(10人以上) 444円

*1割負担、1単位10円で計算

歯科衛生士の場合

居宅療養管理指導は月4回まで利用できます。

居宅療養管理指導費(歯科衛生士)
単一建物居住者(1人) 362円
単一建物居住者(2人以上9人以下) 326円
単一建物居住者(10人以上) 295円

*1割負担、1単位10円で計算

なるほど。専門職の種類によって、費用や利用できる回数に違いがあるんだね。

居宅療養管理指導を利用するときの流れ

居宅療養管理指導を利用したいと思ったら、以下のような流れになるっポ。

(1)担当ケアマネジャーに相談
まず、担当のケアマネジャーに相談します。ケアマネは、利用者に必要な専門職の居宅療養管理指導を検討します。

(2)医師へ連絡し、事業所と契約
ケアマネは主治医に連絡して、薬局などの居宅療養管理指導を行う事業所とサービス利用の契約を結びます。
薬剤師や管理栄養士などからサービスを受けるには、医師による指示が必要です。

(3)サービス開始
準備が整ったらサービス開始です。

ケアマネ以外に相談するケース
居宅療養管理指導の相談を最初に医師へ相談するケースもあります。医師の指示のもとで必要なサービスを受けられます。

最初に薬剤師に相談した場合は、医師に相談者の状況が報告され、薬剤師が訪問の指示を医師に仰ぎます。

そのあとにケアマネジャーへ利用者の状態が報告されて、ケアプランの作成が行われる流れです。

ケアマネジャーに話すのがいちばん早そうだけど、誰かに相談すればなんとかなりそうだね。

まとめ

居宅療養管理指導を利用すれば、寝たきりなどで外出が難しくても必要なサービスを受けられるっポ。

医師に療養上の指導をしてもらえるほか、歯科医師には入れ歯の管理をしてもらえたり、薬剤師に薬のアドバイスをもらったり、管理栄養士に栄養管理の面から健康を支えてもらったり。

困っている人は、サービス利用を検討してみてね。

*自治体や事業所により、ここで説明した内容と異なる場合があります。詳細に関しては、必ず各自治体・事業所にお問い合わせください。


ハートページ(発行:株式会社ベネッセキャリオス)

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2001年の介護保険スタートとともに発刊し、2021年現在で発行自治体は全国約70市区。年間発行部数は全地域合計約100万部となりました。
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