「介護脱毛」という言葉を聞いたことはありますか。介護脱毛とは40代、50代の人が、自分が介護される日に備えてデリケートゾーンの毛を永久脱毛することです。
デリケートゾーンの脱毛というと若い人がするイメージがありますが、超高齢社会の日本では、介護のための脱毛として中高年の人たちから注目を集めています。そこで今回は、介護脱毛の内容やメリット・デメリットを紹介します。
介護脱毛とは、将来自分が介護される日に備えてデリケートゾーンの毛を永久脱毛することです。超高齢社会で介護が身近な問題となっている日本では、この介護脱毛が40~50代のミドル世代の人たちからの注目を集めています。
そもそも「介護脱毛」という言葉は、医療脱毛を専門とするリゼクリニック・メンズリゼにより2017年に命名されました。
まだ誕生から5年程度の言葉ですが、介護脱毛の認知度は大きく上がりました。
その証拠に、2023年にメンズリゼリゼ実施したアンケートによると、ミドル世代の男性は35.4%、女性は71.8%が「介護脱毛を知っている」と答えました。
3年前の同調査の結果と比べると、男性で約7.9倍、女性で約2.8倍も増加しています(2020年調査結果:男性4.5%、女性25.8%)。
介護者の負担を軽減するためにVIOラインの毛を永久脱毛するのが介護脱毛です。そのため、「介護脱毛=介護者のために行う脱毛」というイメージをもつ人も多いかもしれませんが、実際には介護される人の不快感を軽減する効果もあります。
デリケートゾーンは3つのラインに分けられます。いわゆる「VIOライン」です。
Vラインとは、足の付け根の上から左右の腰骨までを結んだラインのことです。ビキニを履いたときに、アンダーヘアがはみ出てしまう逆三角形のラインといえばわかりやすいでしょうか。
Vラインの毛量が多いとムレや痒みの原因になったり、水着や下着からはみ出てしまったりするため、年齢を問わず「脱毛したい」という人が多い部分です。
Iラインとは、VラインからOラインをつなぐラインです。排便時や生理のときにもっとも汚れやすい場所といえます。要介護者のオムツ交換でも、尿や便が落としづらい部分です。
肛門のまわり半径2センチの部分です。排便時に汚れやすい部分であるため、Oラインの毛量が多い人は温水洗浄便座がないと困るといった話もよく聞きます。オムツ交換のときも便を落とすのに苦労する部分です。
リゼクリニックが実施した「自分が介護されたとき、見られたくない毛の部分は?」というアンケートでは、男性の約4割が「気にしない」、女性の約6割が「アンダーヘアすべて」と回答しています。
要介護になっても自分でトイレに行く高齢者は多いのですが、「介護=オムツ」といったイメージをもつ人も少なくありません。それだけ、アンダーヘアを見られたくない、つまり「排泄の介護を受けたくない」と思っている人が多いのでしょう。
介護経験がある女性の約6割が「介護の中で排泄の処理が一番大変だった」と答えています。そのような経験から、介護経験者の中には「介護者の手を煩わせないために介護脱毛をしたい」と考える人も多いようです。
介護脱毛には、介護者だけでなく介護される人にとっても大きなメリットがあります。介護脱毛のメリット・デメリットとはなんでしょうか。
まず、介護脱毛の嬉しいメリットを3つ紹介します。
もし、寝たきり状態になってオムツが必要になったら、排尿はもちろん排便もオムツの中でしなくてはなりません。一般的に、人は湿度70%を超えると不快を感じるといわれています。そのようななか、排尿して1時間経ったオムツ内の湿度は90%近くになります。
アンダーヘアが多い人は、さらにムレや痒みに悩まされるでしょう。介護脱毛をすれば、アンダーヘアがない分、ムレにくくなります。
要介護者の中には、便を柔らかくする下剤を服用している人も多いです。柔らかい便をオムツの中で排便すると、アンダーヘアに絡みついてしまいます。
しかし、便を取り除こうと毛を引っ張れば痛みが生じるため、なかなかきれいに拭き取ることができません。
このような状況でオムツの中の清潔を保つのはとても難しく、肌が炎症を起こして痒くなったりニオイがひどくなったりします。介護脱毛をすると汚れが一目でわかるうえ、きれいに拭けるので清潔を保てるでしょう。
介護脱毛をしてアンダーヘアがなくなれば、介護者は赤ちゃんのオムツ交換と同じように隅々まできれいに拭くことができます。オムツ交換にかかる時間が短縮でき、介護者の負担を軽減できます。
介護脱毛には、メリットだけでなくデメリットもあります。
いくらVIO脱毛が身近になってきたとはいえ、施術時の羞恥心は拭いきれません。
VIO脱毛は紙ショーツやバスタオルをずらしながらデリケートゾーンにレーザーを当てるため、慣れるまでは多くの人が恥ずかしいと感じるでしょう。
VIO脱毛はデリケートな部分にレーザーを当てるので、痛みがある人も多いです。しかし、人によって痛みの感じ方はそれぞれなので、「痛くなかった」という人もいます。
医療脱毛の場合は、麻酔もできるので心配な人は相談してみるのもおすすめです。
施術を受けるクリニックやサロンによっても料金は異なりますが、VIO脱毛の場合、クリニックなら1回1~2万円、サロンなら1回5,000~1万円ほど費用がかかります。
回数の個人差はあるもののトータルで10~15万円くらいは必要でしょう(詳しい料金は各クリニック・サロンにお問い合わせください)。
一度施術を受けると元に戻せないリスクもあります。介護脱毛をしたのはいいけれど、温泉に入るときに人の目が気になるという人も多いため、介護脱毛をする場合はしっかり検討を重ねることが大事です。
なお、40代、50代の人の場合は、すべての毛を脱毛するのではなく、部分的に脱毛する人の方が若干多いようです。
介護脱毛は女性だけのものではありません。むしろ、男性こそメリットが大きいです。なぜなら、女性に比べて男性の方がアンダーヘアの毛量が多く剛毛の人が多いからです。
アンダーヘアの生えている面積が広ければ広いほど、オムツの中はムレやすくなります。最近の紙オムツは吸収率が良くなっているとはいえ、排泄した後のオムツ内の湿度は高くなります。さらに、毛質が硬いと排泄物が絡みつき簡単には取れません。
男性で介護脱毛をしている人には、介護経験者が多いようです。多くの男性が介護をした経験から、「介護者がもっと楽にオムツ交換ができるよう、自分は介護脱毛をしようと思った」と話しています。
とはいえ、40代、50代の人が介護のために脱毛をするなんて、まだ早いのでは?と思われる人も多いでしょう。しかし、40代、50代の人が介護脱毛するのには理由があります。
介護脱毛は、特殊なレーザーを当てて毛根や周りの組織を壊す脱毛方法です。このレーザーは比較的黒い色にしか反応しません。つまり、白髪は脱毛できないのです。
そのため、いざ介護脱毛をしようと思ったときにはアンダーヘアが白髪になってしまい、施術ができなかったというケースもあります。このことを知り、「脱毛ができなくなる前に」と40代、50代の人の需要が高まっているのです。
超高齢社会の日本では、介護は他人事ではありません。将来、誰もが要介護者になる可能性があるため、40代、50代の介護脱毛のニーズが高まっているのです。
介護脱毛には、介護者だけでなく介護される人にとってもメリットがあります。しかし、当然のことながらデメリットもあるので、施術を受ける際はしっかり検討することが大切です。
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