2024年度の介護報酬改定で介護施設に義務付けられた「協力医療機関」の選定は、全国でどの程度進んでいるのか。厚生労働省が3月31日に公表した最新の調査結果で、未だ対応しきれていない施設が少なからずあることが明らかになった。【Joint編集部】
調査結果によると、要件を満たす協力医療機関をすでに定めている割合は、特養が56.6%、老健が70.0%、介護医療院が72.4%だった。選定が一定程度進んでいることが確認された一方で、特養の4割強、老健の3割が未対応のままという現実も浮かび上がった。
この調査は、全国の介護施設などを対象に昨年秋に実施されたもの。2024年度の介護報酬改定で、一定の要件を満たす協力医療機関を定めることが介護施設に義務付けられた(*)ことを踏まえ、その進捗状況の把握などを目的としている。
* 協力医療機関の一定の要件とは、入所者の急変時などに、①相談対応を行う体制がある、②診療を行う体制がある、③入院を原則として受け入れる体制がある、の3つ(③は病院に限る)。3年間の経過措置が設けられており、2027年度から完全適用される予定。
調査の有効回答数は特養825施設、老健320施設、介護医療院323施設。結果は31日に開かれた厚労省の「介護報酬改定検証・研究委員会」で専門家に報告された。厚労省の関係者は会合後、「協力医療機関との適切な連携が進むような施策を引き続き検討していきたい」と話した。
協力医療機関を定めるにあたっての課題をみると、介護施設側から「休日・夜間の対応は困難だと医療機関に提携を断られた」「原則入院受け入れの対応は困難だと医療機関に提携を断られた」「どこに相談すればよいか分からない」などの声があがっていた。特に医療資源が限られる地域では、要件を満たす医療機関の確保自体が難しいケースもあると報告されている。
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