高齢者見守りサービスが必要な理由とは?サービス種類や選び方

高齢者見守りサービスが必要な理由とは?サービス種類や選び方高齢者見守りサービスが必要な理由とは?サービス種類や選び方

「離れて暮らす親が心配」や「親と同居しているけれど、自分が仕事に出ている間は家に一人でいるから気がかり」など、親が高齢になると心配事も増えます。
しかし、家族だけで高齢者の安全を守ることは難しいでしょう。

そんなときに利用したいのが「高齢者見守りサービス」。高齢化に伴いニーズが高まる高齢者見守りサービスについて、詳しく解説します。

高齢者のための見守りサービスとは?

はーとん

高齢者見守りサービスって、どんなサービスなのかな?

高齢者の見守りサービスとは、読んで字のごとく高齢者の安全をさまざまな方法を駆使して見守るサービスのことです。超高齢社会である日本においてニーズが高まっているサービスといえるでしょう。

見守りサービスには、日々の安否確認や緊急時の対応、孤独死防止など、さまざまな役割があります。

そのため、サービスの形態はひとつではなく、「センサー型」、「訪問型」、「緊急対応型」などの種類があり、サービス内容は提供する会社によってそれぞれ異なります。
高齢者の状況やその家族に合ったものを選ぶことが大事です。

見守りサービスは介護が必要な高齢者が利用することもありますが、介護保険は使えない保険外サービスのため、料金には注意しましょう。

父

なるほど、種類があるんだね。でも、見守りサービスってそんなに必要なのかな? 必要性がイマイチわからないよ。

高齢者に見守りサービスが必要な理由

はーとん

じゃあ、なんで見守りサービスの需要が高まっているのか、データを参考に紐解いていくっポ!

厚生労働省が行った調査によると、全世帯のうち、65歳以上の高齢者がいる世帯は47.2%を占めています(2017年時点)。
なかでも高齢者夫婦のみの世帯がもっとも多く、一人暮らし世帯と合わせると全体の半数を超える状況です。

また、総務省が実施した「平成28年版 救急・救助の状況」によると、2015年に救急搬送された人の56.7%が高齢者であるという結果が出ています。
高齢者が自宅で亡くなるケースも増加傾向にあり、東京23区内で亡くなった一人暮らしの高齢者は2015年の時点で3,000人を超えています。

このような結果を受け、60歳以上で一人暮らしをしている人の約半数が「孤独死を身近に感じる」と答えているのです。

高齢者のみの世帯は救急搬送や孤独死などのリスクが高いので、安心して暮らすための見守りサービスが必要になります。老老介護のケースでも同様でしょう。

父

孤独死を意識している人がこんなにも多いなんて! 確かに見守りサービスがあれば安心できそうだなあ。

選び方は?見守りサービスを選ぶ4つのポイント

はーとん

親が遠方に住んでいたり、認知症があったり、それぞれの状況に応じて見守りサービスを選んでね。ポイントは4つあるっポ!

  1. 本人の状態や家族や状況を整理する
  2. 使い勝手を確認する
  3. 料金を確認する
  4. 本人に意思確認する

1.本人の状態や家族や状況を整理する

たくさんある見守りサービスの中から、どれが自分の親に合ったサービスなのかを見極めることは難しいかもしれません。
まずは親や家族の状況を見て、「いつ」「どんな」サービスが必要なのかを判断しましょう。

ケース1 子どもが遠方に住み、親は一人暮らし
たとえば、子どもが遠方に住み親が一人暮らしをしている場合。
緊急時に対応してくれる人が近所にいなければ、サービス会社の職員などが駆けつけてくれるサービスを伴うものがおすすめです。

電気やポットを使うたびに家族にメールが届くようなサービスもあります。いつものようにメールが来なければ、家族は電話をかけてみるなどの対応ができます。

一人暮らし世帯は孤独死のリスクも上がるので、孤独死を防止できるような電話や訪問での見守りサービスも検討しましょう。

ケース2 家族と同居
一方、家族と同居している高齢者には見守りサービスが不要かというと、そうとは言えません。なぜなら、同居家族の仕事や外出等によって、高齢者が一人になる時間もあるからです。

介助者が仕事と介護を両立するためには、安心して仕事ができるようなカメラ型や緊急型などの見守りサービスを検討するとよいでしょう。

ケース3 親に認知症がある
親が認知症の場合は、徘徊への見守りも必要です。警視庁のまとめによると、2018年に認知症が原因で行方不明になった人の数は約1万7000人にものぼるとされています。

認知症があると、火の扱いは大丈夫か、部屋ではどんな様子なのかなど、心配なことが山ほどあります。
東京ガスのガスの消し忘れを知らせるサービスや、部屋の様子をカメラで確認できるサービスなどを利用するとよいでしょう。

また、本人にGPSを内蔵した端末を持っていてもらえば、どこにいるかをスマートフォンやパソコンで確認することが可能です。
自治体によるレンタルもあるため、このような機器を効果的に利用すれば介護負担軽減につながります。

ただし、どのケースであっても、高齢者の状態によって必要なサービスは変わります。状態にあわせた見守りサービスを検討しましょう。

2.使い勝手を確認する

設置する端末等の操作が簡単で、親が容易に扱えるかどうかも大事なポイントです。見守りサービスを導入したはいいが、使いこなせなければ意味がありません。

特に、緊急時は混乱状態にあることが予想されるため、「ボタンを押すだけ」「紐を引くだけ」」のような単純な操作で使用できるものを選びましょう。

3.料金を確認する

利用料金はサービス内容によって異なります。安価なものから高額なものまでさまざまなので、かけられる予算によって必要なサービスを選択することもポイントです。利用料金は多くの場合が、月払いになります。

なお、見守りサービスは比較的自立度の高い高齢者を対象としているため、介護保険は適用されません。利用料は全額自己負担になるので注意しましょう。

4.本人に意思確認する

最後に、見守りサービスを導入する際は本人の意向確認を忘れてはいけません。家族にとっては安心を届けるサービスであっても、親は「監視されている」と感じる場合もあります。

本人のプライドを傷つけないように、また、家族の意見を押し付けないように注意しましょう。

父

ついつい相手の気持ちを忘れちゃうことってよくある! お互いが納得できるようにちゃんと相談しないとね。

具体的な見守りサービスの種類って?

父

選び方は分かったから、具体的な見守りサービスの種類を教えてほしいな。

見守りサービスの形態は大きく分けると、「センサー型」「カメラ型」「緊急時通報・駆け付け型」「訪問・電話型」「GPS型」の5種類に分けられます。

高齢者の見守りサービス種類

センサー型

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センサー型見守りサービスの主なメリットは、高齢者の抵抗感が少ないこと。デメリットはリアルタイムで異変に気付けないことだっポ。

センサー型は、センサーを設置して利用者の動きを見守るサービスです。
人感センサーで利用者の動き自体を見守るサービスから、家電や電気、水道の利用状況によって異常を感知するサービスまでさまざまあります。

たとえば、センサー付き電球による見守りサービスは、長時間電気がつかない、もしくは電気がついたままであるなどの異常があった場合は、メールで家族に知らせてくれるものです。
見守られている安心感はありつつ、監視されている感がないので、高齢者本人もストレスなく利用できます。

人感センサー
【ご家庭見守りサービス 絆-ONE(アットシグナル株式会社)】
利用者の自宅に人感センサーを設置し、高齢者の異変時には家族へ連絡するとともに利用者宅へ安否確認の電話を行う。要請があった場合は、救急搬送の手配をする。

【安否確認システム「ifまもる®」君(有限会社インターフェース)】
利用者宅に設置した人感センサーによって、安否確認を行い随時家族にメールで報告する。

電気やガス、家電の利用状況
【TEPCOスマートホーム 遠くても安心プラン(東京電力エナジーパートナー株式会社)】
8種類の家電(エアコン、テレビ、炊飯器、電子レンジ、IHクッキングヒーター、掃除機、洗濯機、ヒーター・ドライヤー・ケトルなどの高熱家電)の利用状況を家族にメールすることで安否確認を行う。

【東京ガスのくらし見守りサービス(東京ガス株式会社)】
前日にガスの利用が一度もなかったときに、家族にメールで通知する。

【みまもりほっとライン(象印マホービン株式会社)】
電気ポットの使用状況をメールすることで利用者の安否確認を行うとともに、利用状況をグラフ化し生活リズムを把握する。

【HelloLight(ハローライト株式会社)】
電球を変えるだけの簡単設置。点灯や消灯がないと、家族にメールが届く。専用機器やWi-Fiは不要で、一部海外でも利用可能。

カメラ型

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カメラ型見守りサービスの主なメリットは、高齢者の様子を目で確認できること。デメリットは本人が見られることを嫌がる可能性があるっポ。

カメラ型は、高齢者の自宅に簡易カメラを設置して生活を見守るサービスです。
リアルタイムで利用者の様子をパソコンやスマートフォンで見ることができます。

カメラ型には、カメラを通して家族が高齢者を見守るものから、セキュリティ会社で24時間監視をするものまであります。

前者は家族が見守るため、仕事中や深夜など見守れない時間が生じますが、後者ならその心配がありません。もし、夜中に高齢者が転倒したとしてもすぐに職員が駆けつけてくれるので安心です。

親の様子が目に見えるため、大きな安心感を得られるサービスといえますが、利用者本人がカメラで見られることに抵抗があると導入は難しいです。

【見守りCUBE(株式会社ラムロック)】
簡易カメラを設置し、高齢者の様子を見守る。会話ができるので、薬の飲み忘れを防ぐために食後声を掛けたり、毎朝体調の確認をしたりすることも可能。インターネットは不要。

【スマ@ホーム システム(パナソニック株式会社)】
玄関やトイレ等に簡易カメラを設置し、利用者を見守るサービス。カメラが室温を感知し、家族にメール等で知らせる機能も。

緊急時通報・駆け付け型

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緊急時通報・駆け付け型見守りサービスの主なメリットは、高齢者の緊急時に素早く対応してもらえること。デメリットは、もしものときに通報ボタンが近くになくちゃいけないことだっポ。

緊急時通報・駆け付け型のサービスは、緊急時にボタンを押すことで、職員が掛けつけ対応するものです。
利用者の状況に応じて救急車を呼ぶなどの対応をしてくれるので、体の具合が悪いときや転倒したときなどに備えられます。

緊急ボタンにはペンダント型で首から下げるタイプもあり、肌身離さず身に着けられるのでお守り代わりに持つ人も多いです。

【セコム・ホームセキュリティ スマートNEO親の見守りプラン(セコム株式会社)】
人感センサーによる安否確認とペンダントによる緊急通報サービス等を提供。必要に応じて、緊急対処員が急行する。

【HOME ALSOK みまもりサポート(綜合警備保障株式会社)】
「緊急」と「相談」のボタンがあるコントローラーを自宅に設置。緊急ボタンを押すと近隣のガードマンが駆けつけ、相談ボタンを押すとオペレータにつながり、24時間健康について相談できる。

訪問・電話型

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訪問・電話型見守りサービスの主なメリットは、定期的な訪問や電話で様子がよくわかること、一人暮らしでも話し相手ができること。デメリットは緊急時に対応してもらえないことだっポ。

訪問型は、サービス提供会社の職員が自宅を訪問して利用者の安否確認を行うものです。
たとえば、郵便局のサービスでは郵便局員が高齢者の自宅を訪問します。そのときの質問の答えや高齢者の様子を、メールや郵送で家族に報告します。

定期的な電話で安否確認を行う電話型のサービスもあります。
家族には言いづらい内容の話ができることや、他のサービスに比べて利用料が安価というメリットがある一方、電話だけでどこまで高齢者の状況を把握できるのか不安もあります。

また、食事や乳酸飲料を宅配するときに安否確認を行う宅配型の訪問サービスもあります。
乳酸飲料やお弁当を届ける際に高齢者の安否確認を行い、サービスによっては異変があった場合は家族に知らせるなどします。
ただし、食事、乳酸飲料とも宅配時のみの見守りになるため、緊急時には対応してもらえないデメリットもあります。

訪問型
【郵便局のみまもりサービス(日本郵便株式会社)】
郵便局員が、1が月に1回、高齢者の自宅を訪問。その様子を家族にメールか郵送で報告。

電話型
【つながりプラス(株式会社こころみ)】
専属の担当コミュニケーターによる定期的な電話によって、利用者の状態確認を行う。話した内容を家族に報告し、利用者の状態の変化等を共有する。

宅配型
【愛の訪問活動(株式会社ヤクルト本社)】
ヤクルトを宅配する際に、高齢者の安否確認を兼ねて話し相手になるサービス。

GPS型

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GPSの主なメリットは、高齢者の居場所が一目瞭然なこと。デメリットは、必要なときに充電が切れたり常に持っていないと意味を成さないことだっポ。

認知症があると、出掛けたまま居場所が分からなくなってしまうこと(徘徊)があります。
そんなときに活躍するのが、高齢者の居場所を特定できるGPS。日々の見守りというよりは、必要なときに出番となるサービスです。

家族が思いもしないほど遠くまで行ってしまうこともあり、毎年認知症の行方不明者が多数出ています。対策のために有効な手段です。

【SoftBankみまもりGPSアプリ(ソフトバンク株式会社)】
家族のスマートフォンからGPS端末に遠隔測位を行うと、利用者の居場所が特定される。

【ここココ(ビット・パーク株式会社)】
超小型・軽量の端末が特徴。パソコンやスマートフォンから居場所を特定する。

はーとん

見守りサービスは、各社でパック料金やオプションを設定していることがあるから、いくつかのサービスを組み合わせて利用することも可能だっポ!

自治体の見守りサービス

見守りサービスの利用にかかる費用の助成や、通報ボタン、センサーなどの貸与(レンタル)、訪問などを行っている自治体もあります。サービス内容が気になる人は、お住まいの市町村窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。

父

できるだけ節約したいから、まずは自治体の情報をチェックしたほうがよさそうだね。

まとめ

はーとん

親世代の高齢化に伴って、見守りサービスを検討する家族も多いっポ。上手に活用すれば高齢者本人はもちろん、家族も安心だよね。でも、本人の意向を置き去りにしてたらダメだっポ。

心配だからという理由で家族の思いを押し付けず、まずは本人の気持ちに寄り添うことが大事じゃないかな。家族みんなが納得して利用できる見守りサービスを選択してね。

*2019年11月現在の情報です。各サービスの最新情報は見守りサービス提供元のHPなどをご確認ください。

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著者:柴田 まみ

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著者:柴田 まみ

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介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉主事任用資格保有
特別養護老人ホームのユニットリーダーや、デイサービスの生活相談員に従事し高齢者福祉に携わる。特にデイサービスでは、介護をするご家族とのやり取りから在宅介護の難しさを実感。現場での経験を活かし、現在、介護関連の記事を執筆中。できるだけわかりやすい言葉を使って、介護の知識がない人でも理解しやすい文章を心がけている。座右の銘は、継続は力なり!

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