もしも介護保険サービスを利用したら、やっぱりお金がかかるんだよね? よく「介護にはお金がかかる」っていうから、将来に備えて知っておかないと不安だよ。
そうやって知識をつけておくって大事なことだっポ! でも残念ながら、介護保険サービスの利用にはお金がかかるんだ。
まあ、無料ってわけにはいかないか……。
ただし介護保険サービスの利用料金は、全額じゃなくて一部の費用を自己負担すればいいんだっポ。
全額支払わなくていいのかい?!
それならウチの家計も大助かりよね。たしか、パート先の先輩は「介護保険は1割で利用できるから」って言ってたわ。
おしいっポ! 介護サービス費の自己負担は、1割の人もいれば、2、3割の人もいるんだよ。
たとえば1万円分のサービスを利用したら、自己負担が1割なら1,000円、2割で2,000円、3割で3,000円ってことだね。
1割と3割の違いは大きいわ! この自己負担の違いは何なの?
実は介護保険がはじまったときには、自己負担は一律で1割と決まっていたっポ。だけど年数が経つにつれて、高齢者間の格差がほかの世代に比べて大きいってわかってきたんだ。
だから、2015年からは一定以上の所得がある人の負担割合を2割に、2018年には現役並みの収入がある人は3割に引き上げたんだよ。
負担割合が変わったのは最近の話なんだね。
でも、どのくらいの所得で負担割合が決まるの? そこが重要だわ。
単身世帯と夫婦世帯で基準の金額は変わるっポ。2人以上世帯の場合は、所得が346万円未満だと1割、346万円以上だと2割、463万円以上で3割負担だよ。
詳しくは、以下の表を参考にしてね。
うちは両親とも健在だし2人以上世帯ね。夫婦2人とも年金暮らしだから……。
お父さんたちの年金受給額だと1割負担だな。
そうね、ほっとしたわ。
自己負担割合のことはよくわかったわ。でももし介護サービスをたくさん使って利用料金が100万円になったら、1割負担でも10万円よね? とてもじゃないけど、そんなにたくさん払えないわ。
大丈夫だっポ。介護保険サービスは、要介護度によって利用できる1か月の上限額が決められているんだ。居宅サービス、つまり在宅介護で利用できる上限額は次の通りだよ。
限度額要介護度ごとの区分支給限度額(1割負担)
*1割負担、1単位を10円で計算。地域によって異なることがあるので、詳しくはケアマネジャーや市区町村でご確認ください。
2割なら2倍、3割なら3倍の自己負担額になるっポ。
この料金表に収まるように介護保険サービスを利用すればいいんだね。でももしこの金額を超えてしまったらどうなるんだい?
限度額を超えた金額は全額自己負担になるから注意するっポ。ケアマネジャーと相談して、限度額を超えないように必要なサービスを決めてね。
なるほど。利用上限額を超えないように注意しなきゃいけないわね。
でも要介護者のなかには、介護度が重くて毎日たくさん介護サービスを使わないと生活できないような高齢者もいるんじゃないかしら? もし上限額を超えてとんでもなく高額な金額になったら困っちゃうわ。
そんな人に配慮した仕組みもちゃんと用意されているっポ。「高額介護サービス費」っていう制度だよ。お金を気にして必要なサービスを受けられないってことがないようにね。
高額介護サービス費……?
高額介護サービス費とは、1か月の介護保険サービスの自己負担額がある基準を超えたときに、超えたぶんを支給してくれる制度だっポ。所得によって上限額は変わるんだよ。
高額介護サービス費(利用者負担段階区分/上限額)
※1 1割負担のみの世帯は、2017年8月から3年間の時限措置として年間446,400円の年間上限額が設定されます。
※2 65歳以上で課税所得が145万円以上の方が、現役並み所得者に当たります。
これなら所得が少なくても安心だね。高額介護サービス費は上限額を超えたら自動的にもらえるのかな?
申請しないと支給されないから、ちゃんと覚えておくっポ!
じゃあ、この仕組みを知らなかったら支給してもらえないのね。知っていると知らないじゃ大違いだわ!
高額介護サービス費っていう制度自体を知っていても、上限額がよくわからなくて申請していない人もいるんだっポ。介護保険の限度額を超えている人は、ケアマネジャーに相談して該当するかを調べてもらってね。
介護保険サービスは、訪問介護とかデイサービスとかそれぞれのサービス種類で利用料金が異なるっポ。でもそれだけじゃなくて市町村でも料金に差があるって知ってるかな?
えっ? 地域によって金額に差があったら不公平だよ!
そう感じるのもしかたないっポ……。じゃあ、最初から説明するね。
介護保険ではサービスによって単位数っていうものが決められているんだ。利用料金は、その単位数に1単位当たりの単価をかけた計算方法で決まるんだよ。
1単位……単価……?
ちょっとややこしいけど、がんばるっポ! 基本の単価は1単位10円だけど、10円以上になる地域もあるんだ。つまり100単位のサービスは、1単位10円なら1,000円、1単位10.9円なら1,090円だから、同じサービスを利用しても90円の差が出るんだよ。
なんで地域によって差が出るんだい?
この差の理由は、地域によって人件費とかが違うからなんだ。だから7段階にわけて、その地域の実情にあうような単価に設定しているんだっポ。
なるほど。最低賃金も地域によって違うもんね。それなら納得だよ。
ちなみにもっとも高いのは東京23区だっポ。
料金の違いは地域だけじゃないっポ。施設の規模やサービス内容によっても単位数が変わるんだよ。
たとえばデイサービスだと、大規模になるほど職員の目が行き届きにくくなるよね。だから、地域密着型のような小規模施設のほうが単位数は高くなるんだ。
サービス内容でいえば、入浴できるかとか?
そうだっポ。入浴のサービスがあったり、常勤の機能訓練指導員がいたりすると、プラスのサービスとしてそのぶんの加算があるんだよ。
たとえば、「入浴介助加算50単位」「個別機能訓練加算Ⅰ46単位」「認知症加算60単位」って感じで加算されていくんだ。
手厚い介護を受けられる施設ほど、料金も高くなるって仕組みなのね。
だから、同じサービス種類ならどの事業所でも同じ料金ってわけではないっポ。詳細は事業所ごとに確認する必要があるから注意してね。
介護保険って食費とかもまかなってもらえるのかしら?
それはできないっポ。そもそも介護保険は、要介護者が自立した生活を目指せるようにサービスを提供するものなんだ。家族の精神的・体力的な負担を軽減する目的もあるけど、そこに当てはまらないものは対象外って考えていいんじゃないかな。
ちょっと欲張りすぎたわ(笑)。
食費だけじゃなくて、日常生活費も介護保険の対象外だから期待しちゃダメだっポ。たとえば、シャンプーやリンスをデイサービスの入浴用に持参したとしても、対象外になるよ。持参するものは個人の選択によって使用するものだから、介護保険でまかなうことはできないんだ。
じゃあ、シャンプーやせっけんを実費で買わないといけないんだね。
施設が利用者のために用意しているものであれば、その施設のサービスの一環になるよ。
ほかには、施設に入居したときの居住費は対象外だし、医療サービスは介護保険の対象となるケースもあるけど、基本的には医療保険を利用することになるっポ。
車椅子とかの介護用品なら介護保険の対象にならないかしら?
それは対象だっポ。利用は限定的だけど、福祉用具貸与や特定福祉用具販売っていう介護保険サービスでレンタルや購入が可能だよ。
介護保険サービスは、少ない自己負担で利用できるよ。でも、要介護度によって上限額が決められているから注意が必要だっポ。
必要な介護サービスと捻出できる介護費用をケアマネジャーと相談して、無理のないケアプランを作ることが大事だっポ。
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