秋といえば食欲の秋。11月は焼き芋レクの成功事例をお届けするっポ!
秋本番となる11月、老人ホームやデイサービスでは屋外でのレクリエーションが盛んに行われます。
高齢者が風邪やインフルエンザに対する免疫力をつけられるよう、11月は習慣的に体を動かして体力の低下を防ぐのがおすすめです。
秋を感じられるレクリエーションや行事を取り入れて、楽しみながら体を動かせるといいですね。
ですが11月は食欲の秋でもあります。今回は、主に食べ物関連のレクを中心にご紹介しましょう。
11月は昼夜の気温差が大きいものの、日中は暖かい日も多くあります。天気の良い日には、秋ならではの景色の中でたくさん体を動かすのがおすすめです。
免疫力を高めるだけでなく、紅葉など季節の移り変わりを感じられるのも11月の魅力でしょう。赤や黄色に色づいた街路樹のある風景を眺めながら散策を楽しめるのも、この時期ならではです。
この時期は、集めた色とりどりの落ち葉を使った壁画制作のレクリエーションも楽しめます。
画用紙や模造紙に下絵を描いて、その絵に合う色の落ち葉を両面テープで貼っていくだけで、見た目も立派なアート作品が出来上がります。
下絵に合う大きさの葉っぱを探したり、色の具合などを考えたりしながら貼り絵をしていく行為は、頭も手先も使います。
簡単で楽しめる高齢者のレクリエーションとして盛り上がることでしょう。
秋といえば「スポーツの秋」や「読書の秋」などがありますが、「食欲の秋」も有名です。
11月は、大根や白菜、きのこ類、みかん、柿、秋鮭、ふぐ、さば、海苔、蕎麦など、旬の食べ物がたくさんあります。
栄養素が豊富な秋が旬を味覚で楽しむ食事レクやおやつレクのほか、頭の体操になる秋の食べ物をテーマとしたクイズ大会もおすすめです。
秋が旬の食べ物といえば、まずウナギです。土用の丑の日に食べることから夏のイメージが強いウナギですが、脂が乗り美味しく頂ける旬が実は秋であることはあまり知られていません。
ウナギに多く含まれるビタミンEには体の酸化を防ぐ働きがあり、細胞の酸化による老化や、血液中の悪玉コレステロールの酸化が招く動脈硬化を予防できるなどの効果が期待できます。
ウナギは高級品なので食事レクに取り入れるのは困難ですが、身近なフルーツでも免疫力を高める効果が期待できます。
特に柿に含まれるビタミンCはみかんの2倍にもなり、「柿が赤くなれば、医者が青くなる」と言われるほどです。
秋の味覚を楽しむおやつレクとして、旬のさつまいもを使ったスイートポテト作りはいかがでしょうか。簡単に作れて高齢者も楽しめます。
作り方は、蒸すかレンジで加熱して柔らかくしたさつまいもを潰し、砂糖とバターまたはマーガリン、牛乳か生クリーム、卵黄などを加えます。
それを、それぞれの高齢者が丸めたり、型抜きで形を作ったりします。
それから、表面につや出しの卵黄をハケで塗り、オーブンで加熱すれば出来上がりです。
それぞれの工程を分担して、みんなでワイワイとスイートポテト作りを楽しめるのでおすすめです。
クイズのネタとしてはハマチもおすすめです。
ハマチは、関東地方ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ、関西ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリと呼ばれる出世魚です。成長して変化する呼び名をクイズにしてもおもしろいでしょう。
また、ハマチにはDHAとEPAが多く含まれており、これらは学習・記憶能力の向上に役立つと言われているので、高齢者のための食材としてもぴったりです。
サツマイモの収穫が楽しめる11月は、季節感のあるレクリエーションとして芋掘りと焼き芋もおすすめです。
そこで事例をひとつ紹介しましょう。「焼き芋」を通してリハビリへの意欲が上がったレンさん(仮名)のケースです。
ある年の11月、デイサービスの外出レクとして芋掘りに行きました。ご利用者は楽しんでサツマイモを収穫していたのですが、全員が参加できるわけではありません。
参加できなかった方たちのためにも、掘ったサツマイモはデイサービスに持ち帰り、おやつレクとして焼き芋を作ることにしました。たくさんの量を一度に焼くため、バーベキューコンロを使った焼き芋です。
焼き芋を作るためには、単にサツマイモを焼けばよいのではなく事前の準備が必要です。芋掘りレクに参加できなかったご利用者には、準備の段階で手伝ってもらうことにしました。
レンさんは脳梗塞の後遺症で左の麻痺が残り、移動には車椅子が必要な男性です。車椅子では芋掘りが困難なので、そのときはお留守番でした。
レンさんは、半年前から週に2回デイサービスに来所してリハビリなどを行っています。しかし、思うように体が動かないことにイライラしがちで、リハビリへの意欲も低下しているように見受けられました。
そんなレンさんでしたが、焼き芋レクにはいつになく積極的な姿勢です。
焼き芋作りは、焼いているときの乾燥や焦げを防ぐため、あらかじめ水で浸したサツマイモを濡らした新聞紙で包み、その上からアルミホイルでしっかりと巻いておく必要があります。
スタッフがサツマイモを持っていくと、レンさんは不自由な左手を一生懸命使いながら黙々と作業を続け、「アルミホイルはしわを作って空気が入るように巻くと良い」というアドバイスまでしてくれたのです。
準備ができたら、いよいよバーベキューコンロで焼く作業です。火を使うので、ご利用者には窓の内側から見学をしていただき、スタッフが火起こしを行いました。しかしなかなかうまくいきません。
苦戦するスタッフを見かねたレンさんや他のご利用者。炭の置き方などをアドバイスしていただき、何とか火を起こすことができました。
焼き芋は甘くしっとりと焼き上がり、みんな大満足のレクとなりましたが、なかでもレンさんは「もっとリハビリをがんばって、来年は火を起こす役割をさせてもらいたいなあ」とリハビリに前向きな発言をされていました。
話を聞いてみると、若い頃はボーイスカウトの指導者として子どもたちを連れてキャンプをしていたそうで、その頃を思い出したとのこと。
「リハビリの目標を見失いかけていたが、体が動かせずじっとしている生活は自分らしくない。これからはもっとリハビリをがんばっていく」と、決意を話してくれました。
レンさんのこの言葉は、一人ひとりの過去の活動を知ることがリハビリの目標設定に役立つのだと教えてくれるものでした。
11月は、冬に向けて免疫力を高めていくように心掛けたいものです。しっかり栄養をつけて体を動かすことで、風邪やインフルエンザの予防になります。
ぜひ秋を楽しめるレクを取り入れて、ご利用者の意欲向上やチャレンジ精神を刺激できるようにしていきましょう。
著者:寺岡 純子
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