「介護」と「看護」、この意味にはどんな違いがあるのかな?
介護士と看護師の違いも含めて解説するっポ。
「介護」と「看護」、誰かのお世話をするって意味では似てそうだけど…。
「介護」と「看護」は、対人の世話をするという点では似たような言葉ですが、それぞれが違う意味を持った言葉です。
介護の意味
介護とは、主に高齢者や障害者が安全かつ快適に日常生活を送れるようサポートをすることを指します。
家族などが行うほか、基本的には介護福祉士や介護職員初任者研修など介護・福祉系の資格を持った人が担当します。
看護の意味
看護とは、高齢者や障害者が病気や怪我などをした際に必要な治療や療養のサポートをすることです。
基本的には看護師や保健師など医療系の資格を持った人が担当します。
英語では看護と介護はどちらも「Nurse(Nursing)」と表現されることがあり、両者には明確な使い分けがありません。
介護に対しては「Care(Caring)」という単語を使う場合もありますが、「高齢者の介護」という意味で使いたい場合は「Elderly Care(Eldercare)」といいます。
ただし日本ではそれぞれ異なる意味で使われるため、使い分けが必要です。
この2つの大きな違いは、原則として医療行為が認められているのは看護師などの医療系の資格を持つ者のみという点にあります。
そのため、介護士などの介護・福祉系の資格を持っているだけでは、法律で定められた医療行為を行なえません。
ただ、近年では介護・医療現場が人手不足という現状もあり、介護士が病院で活躍していたり、看護師が介護行為を行ったりするケースも増えています。
お互いが自身のスキル・経験を最大限に活かし、シーンに合わせて利用者の介護・看護に質の高いサービスを提供しています。
介護を受けるのはどんな人で、看護を受けるのはどんな人なのかな?
「介護を受ける人」と「看護を受ける人」にも違いがあります。
どんな人が介護や看護を受けるのか、それぞれの支援を受ける人の特徴を紹介しましょう。
介護を受ける人
介護を受ける場合は、家族など以外では通常ヘルパー(初任者研修修了者)や介護士などに介入してもらいます。
介護を受けることができるのは、高齢者や要介護者、認知症患者、障害者など、自身の力だけで日常生活を送るのが難しい人です。
看護を受ける人
看護は「業務独占資格」と言われており、看護師からしか受けることができません。
年齢を問わず、健康状態の維持のために医療行為が必要な人が対象となっています。主に病気や怪我を抱えている方が対象となります。
介護を提供する介護士、看護を提供する看護師。
両者に必要な資格や活躍の場について解説するっポ。
介護を提供する介護士と、看護を提供する看護師では保有資格や職場が異なります。
それぞれの違いを解説しましょう。
介護の資格
介護の保有資格については、国家資格である介護福祉士、厚生労働省が指針を示す初任者研修修了者(ヘルパー2級相当)など、人によって保有する資格は異なります。
介護福祉士は資格保有者しか名乗ることのできない名称独占の資格ですが、無資格でも介護の仕事に携わることは可能です。
施設内で利用者に対して介護を行う場合は、介護の基本となる「身体介護」や「生活援助」などの業務を行うこともできます。
看護の資格
看護師は、国家試験(看護師国家試験)に合格し、看護師免許を取得している人を指します。
通常、高校を卒業後に厚生労働省の指定する養成所や大学へ進学し、最短3年間通学する必要があります。
看護師は資格保有者しか名乗ることができず、資格を持っていないと業務が認められない業務独占の資格です。
介護士と看護師では、働く場所にも違いがあります。
介護・看護の両方が行われる場所もあれば、片方のみを実施している場所もあるなど、その活躍の場はさまざまです。
※下記は一例であり、就業先はこの限りではありません。
介護を提供する場
有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、グループホーム、介護老人保健施設、デイサービス、サービス付き高齢者向け住宅、訪問介護事業所、障害者施設、病院など
看護を提供する場
病院、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、訪問看護事業所、障害者施設、乳児院など
上記のように、介護職員は主に高齢者が生活する施設・家庭で働くことが多くなっています。
また、高齢化が進む日本では、介護を提供する場と看護を提供する場が共通している例も多く見られます。
介護や看護って具体的にどんな行為なのかな?
詳しく解説するっポ。
介護と看護は、実際の行為にも当然違いがあります。
その違いについて、業務内容の具体例を用いて紹介します。
まずは介護だっポ。
自身で食事がとれない方に対して、「食べやすいように配膳する」「食事を口に運ぶ」「食器を選択する」などの介助をする行為です。
排泄介助はトイレ動作を身体的に介助する場合と、オムツ交換を行う場合の2パターンがあります。どちらも排泄のリズムに合わせて介入する必要があります。
介護を受ける方の状態に合わせて行う洗髪、洗身を含めた入浴や清拭などの保清ケアです。高齢者施設などには機械浴室もあり、介護度が高い方も入浴できるように介助します。
身体の機能に合わせて歩行を見守ったり、車椅子に移乗させたり、車椅子を押したりして移動を手伝います。
介護が必要な方も、生活のリズムをつけるために整容や更衣を毎日行います。中でも口腔ケアは食べる機能に直結する重要な介護ケアのひとつです。
介護業務とは無縁なようで、身体機能の維持に大切な役割を担っているのがレクリエーションです。レクリエーションは、主に介護士や専門の資格を持った人が提案・実践します。
そのほかにも、厚生労働省は介護士が行う業務として以下を許可しています。
次は看護だっポ。
処方された薬剤を指定された経路から投与します。内服薬の確認のほかにも、身体的侵襲(穿刺)を伴う点滴や注射などが看護業務に当てはまります。
褥瘡や創部(傷口)を洗浄し、ドレッシング材を選択したり、処方されている軟膏を清潔に塗布したり、ガーゼ交換を行ったりします。
分泌物(痰)が多い方へはチューブを使用して吸引を行います。
経管栄養にはさまざまな種類があります。抜けていないか、トラブルが起きていないかを毎日確認して、食事として栄養を注入します。
酸素投与(在宅酸素含む)、人工呼吸器の管理、それに伴うケア全般は看護師が行います。
導尿や膀胱留置カテーテルの管理などは看護業務に当たります。
医師が診察する際の診療の介助を行います。病院や外来に限定されず、介護現場では往診介助などもこちらに当たります。
ほかにもバイタルサインを測定したり、カンファレンスを行ったり、各症状(発熱・嘔吐・下痢・脱水・疼痛など)に対する対症的な介入を行ったりするのが看護師の役割です。
※看護師は業務独占資格ですが、上記の「痰の吸引」と「経管栄養」に関しては、指定の研修を受講した介護職員にも認められる行為となっています。
そういえば介護士と看護師では同じ「シ」でも漢字が違うっポ。
意味が違うのかな?
介護士は「士」、看護師は「師」と、どちらも「シ」と発音しますが漢字は異なります。
「士」も「師」も資格の名称として用いられるため、明確な区別が付きにくいですよね。
どちらも専門の技術・能力が必要という意味では同じですが、けっして優劣があるものではありません。また、よく言われる「国家試験か否か」も関係ありません。
デジタル大辞泉によると、それぞれ以下のような意味があります。
「成人した男子。また、学識・徳行のあるりっぱな男子」「さむらい」「軍人」「特別の資格・技術を身につけた人」など。
資格や職業でいえば、「特別の資格・技術を身につけた人」が当てはまるでしょう。
「士」のつく資格や職業には、介護福祉士・社会福祉士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・保育士・栄養士・歯科衛生士・建築士・税理士・行政書士・司法書士・弁護士などがあります。
「兵士の集団。軍隊」「人を教え導く人。先生」「専門の技術をもつ人」など。
資格や職業でいえば、「人を教え導く人。先生」「専門の技術をもつ人」あたりが当てはまりそうです。
「師」のつく資格や職業には、医師・歯科医師・看護師・薬剤師・保健師・美容師・牧師・教師・手品師などがあります。
今回は、介護と看護の違いについて詳しく解説しました。
日本のような高齢化社会では、介護と看護は密接な関係にあるため、その違いがはっきりとわからない場面も多くあります。
対人の仕事は難しさもありますが、どちらもやりがいのある業務内容であることに間違いありません。それぞれの役割の違いを理解した上で協力し合い、お互いができる最大限の支援ができるといいですね。
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