そういえば介護保険制度ができたのって、もうずいぶん前だよね? そう考えると、もしかしたら時代に合わない制度になっちゃってるんじゃない?
心配しなくても大丈夫! 定期的に改正が行われているっポ。介護保険の改正は、2000年の創設以来3年ごとに行われているんだ。
へえ、ちゃんと少しずつ新しい制度になっているんだね。3年ごとってことはいちばん近いのは2018年ってことかな?
そうそう、2018年で6回目なんだ。
でも、3年ごとの改正って多くないのかしら?
多くの高齢者の生活を支える介護保険制度を将来にわたって維持するためには、必要なことなんだっポ。
いまは少子高齢社会ってよく聞くしね。介護保険がはじまったときに比べたら高齢者も増えてるし、介護保険を取り巻く環境も変わってきてるだろうね。
そうだっポ。たとえば、高齢者が介護保険サービスを利用するときの自己負担割合や、施設に入所したときの食費・居住費の自己負担額、認知症対策、高齢者の住まい整備なんかが、過去に見直されているんだ。
介護保険のサービス内容自体も変わったりしているのかしら?
介護保険制度改正を重ねるうえで、新たなサービスも創設されているっポ。2012年度の改正では地域包括ケアの推進を柱として、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスが新たなサービスとして誕生したっポ。
なるほど。介護を必要とする人がいつまでも安定した生活を送るために、介護保険制度も現状に合わせて変わっているんだね。
そうね。それなら、わたしたち高齢者も安心だわ。
2018年はどんな改正内容だったの? 利用する側のわたしたちには影響はあったのかしら。
もっとも影響が大きかったのは、自己負担割合の引き上げだっポ。それまで、65歳以上の介護保険サービス利用者の自己負担割合は1割か2割のどちらかだったんだ。けれど、2018年8月からは所得が高い人は3割の自己負担に引き上げられたんだよ。
えっ! 3割? おかあさんの場合は?
もし3割も自己負担だったら大変だわ。わたしに介護が必要なら何割負担になるのかしら?
自己負担額が3割に引き上げられたのは、これまで2割負担だった人のうち、単身で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の年金収入とそのほかの合計所得金額がある人だっポ。
詳しくは以下を確認してね。
利用者負担割合の決め方
なるほど。それならわたしは1割負担になりそうね。よかったわ。
そうだね。一安心だよ。ところで、僕たちが払っている介護保険料に改正の影響はなかったのかな?
実は、介護保険料も計算方法が変わったんだ。2017年8月から段階的に移行している途中なんだけど、その人の総報酬額によって保険料が決められるようになったポ。
自分の報酬額によって変わるのか。僕も介護保険料が変わったかもしれないな……。
そうかもしれないね。介護保険料があがる人は推定では、約1300万人といわれているよ。ただ、負担が減る人も当然いて、こちらは約1700万人と試算されているんだ。
負担が減る人の方が多いんだね。意外だなあ。介護保険サービスの面で変わったことはある?
もちろんあるっポ。以前から廃止の方向だった介護療養型医療施設に代わる施設として、新たに「介護医療院」が創設されたんだ。医療度の高い高齢者の終の棲家として、医療と介護のサービスを一体的に受けることができるようになったんだよ。
じゃあ、いま介護療養型医療施設に入所している人は行き場がなくなっちゃうんじゃない?心配だわ。
2018年度の介護保険制度改正では、現存する介護療養型医療施設が介護医療院に変わることを推奨しているんだ。多くの入所者はそのまま同じ施設で生活できる可能性が高いから、安心していいっポ。
在宅のサービスにも介護保険改正の影響はあったのかい?
在宅に関わるところでは、福祉用具のレンタルで改正があったよ。福祉用具のレンタル価格の上限が決められたんだ。レンタルの全国平均額も公表されているっポ。
それはありがたいね。会社の同僚の両親が福祉用具をレンタルするときに、業者によって値段が違うけど基準が分からなくて困ったそうなんだ。
そういう意見が多かったことが、2018年の改正につながった可能性もあるっポ。この改正では、レンタル業者が複数の商品を提示することや、商品の特徴や価格を説明する義務があることも明記されたんだよ。
それなら、いざというときのときも安心して福祉用具も借りられるわね。
3年おきに介護保険制度の改正があるなら、次は2021年だよね。僕たちはどういう点を確認しておけばいいかな。
介護保険の改正には、事業所を運営する人が知っておきたいポイントもあるけど、利用する側なら自分たちが直接影響を受ける改正内容をしっかりと抑えておくことが大切だっポ。
たとえば、自己負担割合の変更とか?
そうだね。自己負担割合や介護保険料の変更は、家計に大きく関わる部分だから特にしっかりと確認したいポイントだっポ。
少子高齢社会だから、今後も自己負担割合や介護保険料が変わる可能性もありそうだしね。
ほかに気を付けておきたいのが、特別養護老人ホーム(特養)とか介護保険施設の利用条件だっポ。2015年の改正では、特養の新規入所者の条件が、要介護1以上から原則要介護3以上に変更されたんだ。
軽度の段階で特養への入所を考えていた人にとっては大打撃ね。
現在は要介護1以上であれば入所可能な介護老人保健施設(老健)や介護医療院でも、今後入所条件が変わる可能性がないとはいえないっポ。
そうね。高齢者が増えていくことを考えたらありえるわね。
厚生労働省の資料によると、実際に老健の入所者は要介護度が高い人が多くなっているっポ。それを考えると、もしかしたら実情に合わせた改正があるかもしれないよね。
今後の動向はしっかりとチェックしておかなきゃな。
自分がお世話になるかもしれない制度だもの。わたしも今後の動向を確認するようにするわ。
介護保険制度の改正は今後も3年ごとに行われる予定だっポ。次回の改正は2021年で、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年問題を直前に控えていることから、大幅な改正も考えられるよ。
特に、認知症高齢者に関する施策や軽度者へのサービス提供の在り方なんかが変わる可能性は高いだろうね。自分や家族にも関係する介護保険制度改正の情報は、しっかりと確認しておくことが大切だっポ。
新着記事
介護を学ぶ はーとん教室
訪問介護とは?メリット・デメリットや利用料金を簡単に解説
記事を読む >
デイサービスは4種類?サービス内容や利用条件、費用の違いとは
記事を読む >
ショートステイとは?宿泊できる期間やサービス種類の違い
記事を読む >
ケアマネジメント(居宅介護支援)とは?わかりやすく解説
記事を読む >
訪問入浴介護サービスとは?料金や利用対象者をわかりやすく解説
記事を読む >
訪問リハビリテーションとは?サービス内容や料金をわかりやすく解説
記事を読む >
デイケア(通所リハビリテーション)とは?利用料金やサービス内容をわかりやすく解説
記事を読む >
小規模多機能型居宅介護とは?3つのサービス内容とメリット・デメリット
記事を読む >
居宅療養管理指導を利用する3つのメリットとは?料金やサービス内容も解説
記事を読む >
福祉用具貸与とは?介護保険でレンタルできる13種目一覧
記事を読む >
特定福祉用具販売とは?介護保険が利用できるのはこの種類!
記事を読む >
住宅改修とは?介護保険でできる上限20万円の介護リフォーム
記事を読む >
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは?わかりやすい料金やサービス内容
記事を読む >
夜間対応型訪問介護とは?利用できる対象者や料金をわかりやすく解説
記事を読む >
介護サービスにはどんな種類がある?サービスごとの特徴や利用条件を解説
記事を読む >
訪問看護とは?サービス内容や料金、医療保険と介護保険の違い
記事を読む >