高齢になると毎日の食事の支度が面倒になる人も多いようです。特に、一人暮らしの人はでき合いの惣菜を買ってくるなどして、簡単なものですませてしまう傾向にあります。しかし、健康のためには栄養バランスのとれた食事が必要不可欠でしょう。
そんなときに利用したい「配食サービス」とは、どんなサービスなのでしょうか。
あ~心配だわ……。
ママ、頭を抱えてどうしたっポ?
ちょっと聞いてくれる? 親戚に奥さんを亡くして一人暮らしをしているおじさんがいるのよ。そのおじさん、高齢だし食事が不便そうで心配なのよね。
高齢者の一人暮らしだと、でき合いのお惣菜とか漬物とか、簡単なものですませる人も多いっポ。
そうなのよ! 食生活は体の資本だもの。健康のためにも栄養はしっかり摂ってほしいじゃない? とはいえ、なかなか自分では難しいわよね。ヘルパーさんに調理を頼むしかないかしら?
訪問介護サービスを利用してヘルパーさんに調理を頼むのもいいけど、要介護か要支援の認定を受けている必要があるっポ。そのおじさんは介護が必要な状態なの?
いいえ。足腰も丈夫だし自分で家のこともやってるみたいだから、元気だわ。
それなら、こういう場合は配食サービスを使うという手があるっポ!
配食サービス?
簡単にいうと食事の配達サービスだっポ。
ピザとかお寿司とかを頼むデリバリのこと?
いやいや、配食サービスはあらかじめ決まった曜日や時間帯にお弁当を届けてくれるサービスだっポ。内容も、高齢者向けのヘルシーなメニューからボリューム感のあるメニューまで好みに合わせて選べるよ。
おじさんは元気だから大丈夫だけど、飲み込みが不安な高齢者だと利用は難しそうね……。
業者によっては、ご飯をおかゆにできたり、ムース食やきざみ食なんかを選べたりするんだっポ。
すごい! ちゃんと介護が必要な高齢者にも対応しているのね。
ところで、毎日でも届けてくれるの?
そうだっポ。必要に応じて配達の回数は選択できるんだよ。ただし、介護保険は使えないから利用料はすべて自己負担になるんだ。配食サービスは、いわゆる介護保険外サービスなんだっポ。
配食サービスって便利なのね。ご飯を作る必要がないってことは、買い物も行かなくていいから楽よね。
このサービスのメリットは、自宅まで食事を届けてくれること以外に、栄養バランスが整ったご飯を食べられることも挙げられるっポ。さらに、糖尿病や高血圧なんかの病気を抱える人のためのメニューが揃っている業者もあるから、持病がある人も安心だよね。
栄養バランスは大事よね。そういえば、おじさんが「一人暮らしだと食べる量が少ないから野菜もすぐに腐らせちゃう」って言っていたのよ。だから、近頃は野菜もほとんど食べてないって……。
このサービスを利用すれば、野菜はもちろん、肉や魚もしっかり摂れるよ。でも、それだけじゃないんだ。このサービスのポイントは見守りサービスにもなるところだっポ!
見守りサービスって?
決まった時間に配達員が訪問することで、一人暮らしの高齢者の見守り、つまり安否確認にもなるっポ。そのために、毎回本人に手渡しで届けている業者もあるんだ。
手渡しでなかったとしても、専用の宅配ボックスや保冷バッグのなかのお弁当がそのまま入っていたら、利用者に何かあったのか?って推測できるしね。
なるほど。一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなって何カ月も発見されなかった……なんて悲しいニュースも聞くものね。一人暮らしで、しかも周囲と交流がない人ならあり得ない話ではないわよね……。
それは極端な例ではあるけど、たとえば、サービスを利用していて食べる量が減ってきたことから病気が発覚したり、話の内容が不明瞭だったことで認知症がわかったりした事例もあるんだ。
それは、近くに家族がいない人も安心だわ。同居してても、昼間は家族が働きに出てている家庭もあるから、一人になる昼食の時間帯にも利用できそうね。
配食サービスは便利なサービスだけど、利用する際には注意すべきデメリットもあるっポ。まず、業者によっては送料や入会金、年会費がかかる場合があるんだ。
えっ!?そうなの? それだと自炊したりコンビニでお弁当買ったりするよりかなり割高になっちゃうかもしれないわね。高齢者は年金暮らしの人も多いし、費用の負担が大きいのは心配だわ。
それに、配食サービスはあらかじめメニューが決められているから、その日の気分で食べたいものが食べられないのもマイナスポイントだよね。
そうよね~。「今日はこの献立の気分じゃない」って思う日もきっとあるわよね。……ということは、好き嫌いが多い人には向かないサービスってことね。
その通り! 食事に強いこだわりがある人や、食べられないものが多い人にはおすすめしにくいサービスだっポ。
なるほど。配食サービスはいいことばかりじゃなくてデメリットもあるのね。
あと、利用する業者によって土日や祝日は配達しないところもあるから、配食する業者が休みの場合、その日の食事をどうするかも考える必要があるっポ。たとえば、完全に自炊が難しい人なら、冷凍のお弁当を扱う業者がおすすめだよ。冷凍品なら休みの日の分も注文できるからね。
冷凍庫に入れておけるし、自分で好きなときに温めて食べるなら業者が休みでも関係ないものね。
そうだっポ。便利なサービスだとすぐに飛びつくのではなく、予算やライフスタイルに合っているか、デメリットも含めて検討することが大事なんだ。
じゃあ、配食サービスを利用するにはどうしたらいいの?
ホームページとかで調べて直接問い合わせてもいいし、要介護認定を受けている人なら、ケアマネジャーに相談してみるといいっポ。
ほかには、市町村役場でサービスを利用したいって伝えてみるのもいいよ。配食サービスの提供に積極的な自治体もあるから、いろいろな情報を得られるかもしれないね。
いまネットでちらっと見てみたら、食事を配達してくれる業者っていろいろあるのね! どこがいいのか選ぶのも大変だわ。
業者を選ぶポイントは4つあるっポ!
説明してもらってもいいかしら?
まず1つ目は、やっぱり本人がおいしいと感じる味付けの業者がいいよね。無料で試食ができる業者もあるから、まずは味見してみるのもおすすめだよ。
そうよね。毎日の食事は楽しみのひとつだもの。おいしくないとね。
2つ目は、配送方法だっポ。お弁当を手渡しで配達する業者がほとんどだけど、留守がちだと専用の宅配ボックスを貸してくれる業者もあるんだ。
家を留守にしがちの人は、宅配ボックスを貸し出してくれるのか、指定の場所に置いてくれるのか、なんかも確認しておくのがいいんじゃないかな。
お弁当のために外出できないのも大変だから、宅配ボックスがあると便利よね。
冷蔵か冷凍かによっても配送方法は変わってくるっポ。冷凍の場合は宅配便で数食分をまとめて送ってくれるよ。明確な定義があるわけじゃないけど、定期的にまとめて配送してくれるサービスはよく宅食って呼ばれるよね。
毎日受け取る必要がないし保存がきくメリットがあるけど、できたてを食べることができなかったり、見守りサービスとしては利用できなかったりっていうデメリットがあるっポ。
生活スタイルに合わせて選ぶ必要がありそうね。
3つ目は、見守りサービス。手渡しなら安否確認になるけど、もしものときの対応とか、見守りサービスは業者によって差があるんだ。ない業者もあるから、安否確認をサービスの利用目的のひとつとして考えているなら、見守りサービスの有無もチェックするっポ。
そうね。特に高齢だと重要なポイントだわ。
糖尿病や腎臓病、高血圧とかの持病を抱えている人は、療養食があるかどうかも4つ目のポイントになるよ。
ほかにも、固いものが食べられない人向けのきざみ食やムース食に対応している業者もあるから、病気を抱える人や飲み込みに不安がある人も、対応してくれる業者を選べば安心してバランスのいい食事ができるっポ。
よくわかったわ。おじさんに相談して、とりあえずいろいろな業者を調べて比較してみるわ!
配食サービスはすごく便利だけど、料金はどのくらいなのかしら?
業者によって料金はそれぞれ違うけれど、配達料込みで1食500~800円程度だっポ。
1食500円なら、週5日間の夕食の配達で1カ月1万円くらいってことね。
ちなみに、住んでいる地域によっては、市町村が配食サービスへの助成や補助金を出していることもあるよ。300~500円程度の少ない負担額で利用できるからうれしいよね。ほかに、お弁当代は変わらないけど、見守りサービス代を市町村が肩代わりしているケースもあるんだよ。
ただし、助成を受けるためには条件もあるから、詳しいことは各自治体に相談してみるのがいいっポ。
ちなみに配食サービスは消費税がかかるのかしら?
お弁当には消費税がかかるっポ。でも、配食は自宅に宅配してくれるサービスだから軽減税率の対象になるよ。
早速、インターネットで調べてみるわ。少しでも安くなるなら、おじさんも助かるものね。
配食サービスを利用すれば、一人暮らしや老老介護で調理が難しい場合でも、栄養バランスの整った食事ができるっポ。しかも、定期的に配達してもらえば利用者の安否確認にもなるから、本人はもちろん、離れて暮らす家族も安心できるよね。
気になる人は、無料で試食ができる業者や助成のある自治体もあるから、試してみるといいんじゃないかな。充実した食生活は、きっと高齢者の生きがいにもつながるはずだっポ。
*事業者や自治体により、ここで説明した内容と異なる場合があります。詳細に関しては、必ず各事業者・自治体にお問い合わせください。
著者:柴田 まみ
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