新型コロナウイルスの感染対策としてマスクの着用は必須です。しかし、これからの時期、気温はどんどん上昇し、本格的な夏がやってきます。マスク着用が必須とはいえ、夏場のマスク着用は熱中症をおこすリスクがあり注意が必要です。
特に高齢者は熱中症をおこしやすいことに加え、新型コロナウイルスに感染すると重篤化しやすいため、どちらも予防する必要があります。
新型コロナウイルスの感染予防として、政府の専門家会議は「新しい生活様式」への切り替えを提言しています。その中で、基本となるのは一人ひとりが実践するべき以下3つの感染防止対策です。
これらや3密(密集、密接、密閉)を避けることは、メディアなどで繰り返し必要性が訴えられてきたことから認知度が高く、普段の生活の中で意識している人も多いのではないでしょうか。マスクの着用に関しても多くの高齢者が日々実践しています。
ただし、これまでは気温の高い日が少なく、外出といっても短時間の買い物などにとどめている場合も多かったので、マスクを着用しての外出も気になりにくかったと思います。これからの暑い夏に向けて、高齢者がどのようにマスク着用と熱中症対策を両立するかが課題です。
コロナ禍のいま、マスクを着用することは飛沫の拡散防止に有効であり、感染防止の基本的な対策とされています。
特に高齢者では耳が聞こえにくい傾向にあるため、会話の距離が近くなったり、大きな声を出したりすることも少なくありません。若い人同士の会話に比べると、通常の会話でも飛沫を拡散してしまうリスクが高くなってしまうことから、高齢者本人だけでなく高齢者とコミュニケーションをする人にもマスクは必須です。
こういったことからも、話し手、聞き手双方の新型コロナ感染予防対策としてマスクは重要といえます。
マスクは新型コロナ感染予防に欠かせないアイテムですが、気温が高くなる夏場のマスクには注意が必要です。
マスクを着用していると呼気の熱を放散できず、体内にため込んでしまいます。外気の温度が高いと、人の体は発汗や呼吸によって体の熱を放熱し体温を一定に調節しようと働きますが、マスクがそれを防いでしまうのです。
特に高齢者は、発汗の機能が低下するだけでなく、皮膚の血流量を増やして体内の熱を逃がす機能も低下していることが多く、体温の上昇を引き起こしやすくなります。
また、もともと高齢者はのどの渇きを感じにくい傾向ですが、マスク内の湿った空気で口の中が加湿されると、さらにのどの渇きを感じにくくなります。すると、自分でも気付かないうちに脱水症状に陥ってしまうのです。
マスク着用による体温上昇、そこに脱水症状が起こると、高齢者は容易に熱中症を引き起こしてしまいます。
マスクは飛沫の拡散予防に有効ですが、同時に熱中症予防もしなければなりません。厚労省は対策として、屋外で人と2メートル以上の十分な距離が確保できているときにはマスクを外すように促しています。
また、マスクをしながら負荷のかかる作業や運動をすることも避けます。外気温の高い場所で長時間マスクをする状況であれば、人がいないところで一時的にマスクを外す時間を定期的にとるなどの工夫も必要です。
「マスク着用時には、のどの渇きを感じにくい」と、特に高齢者はしっかりと認識しておくことも重要です。のどが渇いていなくてもこまめな水分補給を意識し、なるべく体温よりも低い温度の飲み物を、少しずつ回数を分けて飲むようにすると良いでしょう。
最近では、接触冷感素材を使用したマスクやキシリトールの効果で涼しく感じるマスクなどが販売されています。このような機能のマスクは、熱くなった呼気の温度を下げる効果も期待できるため、熱中症予防に活用できます。
また、体温の上昇を防ぐためには、襟口や袖口が開いた服や薄手の服を選ぶ、外出の際には日傘や帽子の着用を徹底するなどの工夫をすると良いでしょう。
今年は外出制限により自宅で過ごすことを余儀なくされました。そのため、体が暑さに慣れていない状況です。それに加えて、外出自粛による運動不足で体力が低下した高齢者もいるのではないでしょうか。
適度な運動による体力維持は、暑さに強い体作りや免疫力向上のためにも重要です。マスクをしながらの運動は体温を上昇させるため注意が必要ですが、室内で体を動かしたり、屋外では涼しい時間帯を選んだりして、軽めの運動を心掛けると良いと思います。
高齢者はしっかりと体力をつけて、新型コロナウイルスと熱中症の対策をしていきましょう。
著者:寺岡 純子
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