12月はビッグなイベントがたくさんあるけど、おすすめは定番のクリスマスと年賀状作り、それから体を動かす運動レクだっポ!
身近な人に感謝を伝える年賀状作りレクの成功事例も紹介するね。
12月は師走とも呼ばれ、毎日があっという間に過ぎていきます。介護施設やデイサービスにとっては、年末年始のスケジュール調整や対応などの業務が増える時期です。
年の瀬はやるべきことが普段よりも多くなり、忙しさを感じやすいかもしれません。
また高齢者にとっては、本格的に寒さが増して外出するのも体を動かすのもおっくうに感じられるのが12月です。活動量が低下すると、食欲が落ちる、夜あまり眠れなくなるなど体調への影響が出ることも。
ここでは、高齢者が無理なく体を動かせるおすすめのゲームと、クリスマス、年賀状作りのレクリエーションを紹介しましょう。
12月のイベントといえば何といってもクリスマスですね。
多くの介護施設やデイサービスでは、レクリエーションやイベントの一環としてクリスマスツリーの製作やクリスマス会を行っていますが、クリスマスにおすすめのレクをいくつか紹介しましょう。
若いときには、家で子どもと一緒にクリスマス会をしたという高齢者も多いかもしれません。高齢者が家族などと過ごしたクリスマスの楽しい思い出は、話すことで回想法になります。
レクリエーションの場面だけでなく、日々のコミュニケーションのなかで思い出を取り入れるのもよいでしょう。
おやつレクとしてクリスマスケーキを作るのもおすすめです。
グループでワイワイ言いながら、スポンジケーキに生クリームや果物で飾りつけをしてもいいですし、それぞれが自分のカップケーキに飾りつけをしていくのも、一人ひとりの個性が出て楽しめます。
クリスマスは、音楽レクや音楽療法を行うにはとても適しています。
この時期にはゴスペルグループのボランティアも盛んです。普段接することが少ないゴスペルに触れるのも、高齢者にとってはよい刺激になるでしょう。
クリスマスの時期はボランティアも忙しく来てもらえない可能性もゼロではありませんが、その場合であっても利用者と職員だけで十分楽しいイベントにできます。
介護職員が主導して音楽会を開催するのもオリジナリティがあって楽しめます。
クリスマスソングには「赤鼻のトナカイ」や「ジングルベル」など、リズミカルで誰でも知っている曲が多くあります。みんなで口ずさんだり、製作レクで手作りの楽器を準備したりするのもよいでしょう。
クリスマスの時期は寒く、外出の機会が少なくなりがちです。ですから、デイサービスや介護施設のレクリエーションではなるべく身体を動かし、身体機能の低下を予防したいものです。
そこで、縮小版ボッチャはどうでしょうか。高齢者が無理なく体を動かせるのでおすすめです。
ボッチャはパラリンピックの競技にもある、的となる白いボール(ジャックボール)に自分のボールを近づけるゲーム。いかに近づけるかを競い、個人戦でもチーム戦でも行うことができます。
使用する玉は簡単に作れます。ビニール袋やレジ袋の中に新聞紙を詰めて形を整え、ビニールテープで十字に留めるだけ。
的になる白いボールを1つ、赤と青の玉をそれぞれ6つずつ作っておきましょう。クリスマスらしく赤と緑のボールにすると、雰囲気が出てよいかもしれません。
先行の人がまず的になる白いボールを投げ、続いて同じ人が色のついた自分のボールを投げます。それから相手が投げますが、次の2投目からは的の球から遠い人が先に投げます。
カーリングのように相手の球を弾き飛ばすだけでなく、同じように的の球も移動させることが可能です。頭も使って楽しみながら運動できるゲームなので、きっと盛り上がることでしょう。
ボッチャの詳しいルールが知りたい方は、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会「かんたん!ボッチャガイド(PDF)」を参考にしてください。
お正月の風物詩、年賀状。最近では、作成の負担をなくそうと年賀状じまいをする方も増えているようですが、なかには年賀状を出したくてもその相手がいないという高齢者もいらっしゃいます。
そういった高齢者にもおすすめのレクリエーションが年賀状作りです。
思いがけない人からの年賀状に送った相手が喜んだり感動したりと、送る側も受け取る側もうれしい気持ちになれるのがこのレクの特徴でしょう。
近くの人に感謝の気持ちを伝えることができる、年賀状作りのレクリエーション。事例をご紹介するのでぜひ参考にしてください。
年賀状じまいをするような高齢者は、比較的お元気で毎年たくさんの年賀状を書かれる人だと思います。しかし、介護が必要な状態になると、たとえ本人が年賀状を書きたくても書けないことがあります。
そこである年の年末、デイサービスの制作レクとして年賀状作りを企画しました。
年賀はがきのデザインは、たくさん文字を書きたい人用、名前だけを書く人用など、ご利用者の希望や心身の状態に合わせていろいろなパターンを用意し、準備万端です。
年賀状を送る相手は、家族か身近な人にしてもらうことにしました。
そのデイサービスには、ワタルさん(仮名)というご利用者がいらっしゃいます。認知症のワタルさんは妻と二人暮らしで、とても仲の良いご夫婦でした。
しかし、認知症の症状が進行するにつれて、妻に対しての暴言が増えたそうです。
職員が「年賀状は誰に送りますか?」とワタルさんに尋ねると奥さまの名前をおっしゃいました。選んだ年賀はがきは「ありがとう」と書かれているものです。
文字が書けないワタルさんは、自分の名前だけでも書けないかと何度も練習されていました。
そのなかからなんとか読めそうなものを切り取ってはがきに貼って見せると、ワタルさんはとても満足そうな表情です。
年が明け、ワタルさんの通所の日にお迎えに行くと、奥さまは送られてきた年賀状を持って嬉しそうにお正月の様子を話してくれました。
「最近は暴言を吐かれたりして介護が嫌になることもあったけど、もう少しがんばれそう」と、デイサービスに向かうワタルさんを笑顔で見送っていらっしゃいました。
次は一人暮らしのエミコさん(仮名)のケースです。
エミコさんは子どももなく深い付き合いのある友人もいないので、年賀状を送る相手はいないとおっしゃっていました。
職員が「お世話になっている人やお礼をしたい人などはいませんか?」と聞くと、ケアマネジャーとのこと。エミコさんは「年賀状を送る相手が見つかったわ」と表情が明るくなりました。
「下手な字でごめんね」と言いながらも、文面や宛先をすべてご自分で書かれました。
そしてお正月、新年早々にそのケアマネジャーがエミコさんの自宅を訪問。ケアマネジャーは年賀状にとても感動したとのこと。
それを聞いたエミコさんは、自分の存在が認められたようでとてもうれしい気持ちになったそうです。
自分は社会のお荷物になっていると感じていたが身近な人を幸せな気持ちにできる、と前向きな言葉もおっしゃっていました。
その後は、デイサービスでの行動や発言が前向きになっているようにも感じられました。
12月は、1年が終わると同時に新しい年に向けた準備の時期です。バタバタと忙しくしがちですが、1年を振り返ったり人とのつながりを改めて感じたりするきっかを作ることもできます。
そういった意味でも、年賀状作りのレクは最適です。年に一度、この時期にしかしかできないレクリエーションをしてみてはいかがでしょうか。
著者:寺岡 純子
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