密を避けたり人手が足りなかったり……新型コロナの影響で困難になったことのひとつがレクリエーションだっポ。
デイサービスや介護施設のレクの現状や注意点、おすすめレクを紹介するね。
新型コロナウイルス感染症の流行は、デイサービスや介護施設、そして高齢者の生活にも大きな影響を与えています。
介護事業所には大きな負担がかかっていますが、これまでと同じ介護サービスの提供を続けられるよう努力する事業所も少なくありません。
しかしコロナの対応が優先され、高齢者のレクリエーションは後回しにされがちです。
デイサービスや介護施設のレクには高齢者のADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)向上の目的もあるため、できる限り開催したいところです。
そこで、コロナ禍でもレクリエーションを続けるポイントやおすすめレクを紹介します。
デイサービスや介護施設の利用者は、もともと趣味や外出が少ない傾向です。そのうえ新型コロナの感染予防による外出控えが増えています。
そんなときの気軽な気分転換の手段がレクリエーションです。楽しみや喜びを感じられる貴重な機会といえるでしょう。
また、大きく体を動かし運動する、指先で細かい作業をする、頭を使うなど、高齢者のレクリエーションには心身の機能の維持向上を果たすという重要な役割があります。
しかしコロナ禍では、十分なレクリエーションを実施できないデイサービスや高齢者施設も少なくないようです。
その理由として、高齢者や介護スタッフの安全を守るため、また職員の人員確保の問題があります。
たとえば、デイサービスでは毎日違う利用者さんが来所されるため、感染を広げないためにも特に利用者さん同士の密を避けなければなりません。
コロナ禍では、大勢で集まる、接触をする、大声を出すといったレクリエーションは不向きなため、レクの内容が限られてしまいます。
その結果、レクが開催されなかったり、開催の頻度が減ったりしてしまうのです。
職員の人員確保の問題としては、コロナ以前にはなかった手すりやドアノブ、床の掃除・消毒などの業務が増え、人員や時間に余裕がなくなりました。
また、介護施設では長期にわたって家族との面会が制限されていることも理由として挙げられます。
コロナ前のように入居者と家族が気軽には会えないため、オンライン面会や面会用の部屋を作り、1日に面会できる人数を絞って職員が対応している施設もあります。
こういった新たな業務で人手がとられてしまうため、レクリエーションに時間を割けるスタッフが少なくなってしまうのです。
他にも、外部のボランティア団体などの受入れを自粛している事業所が多く、レクの内容を考えることに苦労しているという声が聞かれます。
近頃では感染経路が不明な感染者が増えています。また、自らの感染に気が付かず家庭内で感染を広げてしまうことも少なくありません。
つまり、介護スタッフや高齢者がどんなに気をつけていても、いつ誰が感染してもおかしくない状況です。
そのため、感染予防策はもちろん、万一その場の誰かが感染していたとしても、クラスターの発生を抑えられるようにしなければなりません。
密集せず、飛沫が飛ぶような大きな声での声援や歌はさけ、道具などは利用者同士で共有しなくてすむようなレクリエーションを企画するとよいでしょう。
コロナ禍でのレクリエーションは、自席でできるものや近い距離での会話を避けられるものが推奨されますが、毎回塗り絵や折り紙などの創作ばかりでは飽きてしまいます。
おすすめのレクリエーションを2つ紹介しましょう。
コロナ禍では外出の機会が減り運動不足になりがちなので、身体を動かせるレクリエーションがおすすめです。
チェアエクササイズなら、職員数が少なくても高齢者の安全を確保しながら行えるでしょう。
チェアエクササイズとは椅子に座りながらできる運動で、上肢だけでなく体幹や下肢のトレーニングにもなります。
椅子に座ったままなので転倒のリスクが軽減でき、大勢のご利用者を職員ひとりで担当することも可能です。
コロナ禍で歌えなくても、歌の代わりに音楽に合わせた振り付けをして、より楽しめるように工夫してみるとよいでしょう。運動だけでなく音楽も楽しめるレクリエーションとなります。
コロナが流行してからは、介護現場でもオンラインの活用が一気に進みました。介護施設の入居者と家族がコミュニケーションをとるためのオンライン面談もそのひとつです。
現在は、レクリエーションの外部ボランティアを施設に招くことが難しい状況です。そういったことからオンラインレクリエーションも広がりつつあります。
オンラインレクリエーションとは、離れた場所とオンラインで画面をつなぎ、楽器演奏やフラダンスなどを鑑賞したり、体操をしたり、クイズなどのレクリエーションを行うものです。
吉本興業やNTT東日本も“笑い”を届けるオンラインレクリエーションのトライアル提供・検証に乗り出す*など、注目の分野です。
オンラインであれば遠方の人とも簡単につながれます。さまざまな人との交流が可能で、レクリエーションの演目にも広がりが出るでしょう。
オンラインレクは映画鑑賞などの一方通行の配信ではなく、双方向のコミュニケーションをとれることがメリットです。
外部の人とのコミュニケーションは、高齢者の単調になりがちな生活に変化を持たせ、脳の活性化にもつながるでしょう。
デイサービスや介護施設のスタッフは、新型コロナウイルスの感染予防でさまざまな苦労を強いられていますが、高齢者に楽しみと生きがいを得てほしいという思いは変わらず持ち続けています。
その思いを実現するためには、少数のスタッフでも高齢者が安全に楽しめるレクリエーションの工夫が必要です。
施設スタッフ以外の人の手を借りることも視野に入れて、この苦難を乗り越えていきましょう。
参考
*オンライン介護レクリエーションの実現にむけた連携について(NTT東日本)
著者:寺岡 純子
こちらもおすすめ
新着記事