すぐに実践できるホワイトボードを使ったレクリエーションのネタはもちろん、メリットや注意点も紹介するっポ。
デイサービスや老人ホームでは、ホワイトボードを使ったレクリエーションが注目されています。
レクリエーションの種類は、カラオケやゲーム、風船バレーなどさまざまですが、「手軽に楽しめる」、「予算が掛からない」といった理由から、ホワイトボードを使ったレクリエーションが人気なのです。
ホワイトボードを使ったレクリエーションには、さまざまなメリットがあるっポ。
レクリエーションを始める際は、大きな声で「〇〇を始めるので、こちらをご覧ください」などと声を掛けている介護職員が大半ではないでしょうか。
その点、ホワイトボードは大きいので、準備を開始するそばから「何が始まるのだろう?」と利用者の注目を一挙に集められ、レクリエーションが始めやすくなります。
基本的には、利用者がホワイトボードに目を向ける状況になるので、一人ひとりの表情や様子を見ながらレクリエーションを進められます。
利用者の笑顔がたくさん見られたり、逆につまらなそうにしていたりしたレクリエーションの内容はメモしておくと、次に生かせるでしょう。
ホワイトボードを使うレクリエーションには、脳トレになるようなクイズや計算問題が多くあります。
一般的な脳トレは、プリントやドリルなどをテーブル上で行うため、解いているうちに眠くなってしまったり、飽きてしまったりする高齢者も少なくありません。
しかし、ホワイトボードを使えば、視覚的な動きがあるので集中して取り組めます。
ホワイトボードを見ながら利用者同士が顔を合わせるので、お互いの顔を覚えやすくなります。
同じチームになったことを機に、高齢者同士が仲良くなるパターンも珍しくありません。
基本的には、ホワイトボードとペンさえあれば実施できるので、レクリエーションの準備が楽になるメリットがあります。
ただでさえ忙しい介護職員の負担が小さく済むのは嬉しいポイントです。
レクリエーションの中には、必要なアイテムを用意しなければならないものも多いです。しかし、ホワイトボードを使ったレクリエーションなら、新たに道具を購入する必要がありません。
予算をかけずに楽しめるのも、ホワイトボードを使ったレクリエーションのメリットです。
ホワイトボードを使ったレクをいろいろ紹介するっポ!
ここからは、ホワイトボードを使ったレクリエーションの内容や進め方、盛り上げるためのポイントなどを紹介しましょう。
クイズの定番「〇〇にあって、□□にはない」のあるなしクイズは、ホワイトボードのレクリエーションにぴったりです。
レクリエーションの進め方
(1)ホワイトボードの真ん中に縦線を1本引き、左側の一番上に「ある」、右側の一番上に「ない」と書きます。
(2)「〇〇にはあって、□□にはない」と言いながら、単語を1つずつホワイトボードに記入します。
(3)〇〇と□□については難しいものからスタートし、だんだんとわかりやすいものにするなどの段階を踏みます。
(4)答えがわかった利用者は手を挙げ、他の利用者に聞こえないよう進行者に答えを伝えます。メガホンなどがあると便利です。
レクリエーションを盛り上げるポイント
クイズ中は利用者が答えにたどり着けるよう、少しずつヒントを出しましょう。
また、テレビのクイズ番組では間違った答えが出た場合、司会者は「残念!〇〇ではありません」と不正解の答えを他の利用者にも伝える傾向があります。
しかし、利用者が高齢者の場合は、不正解であることを恥ずかしいと感じてしまう心配があるので、間違った答えには触れない方がよいかもしれません。
漢字をバラバラに分け、何の漢字かを当てるゲームです。
答えとなる漢字は、簡単な文字から難しい文字まで、利用者のレベルに合わせて選びます。
レクリエーションの進め方
(1) ホワイトボードに分解した漢字を1つずつ書きます。たとえば、「買」の漢字であれば、「四」と「目」、「八」といった要領です。
(2)わかった人は、他の利用者に聞こえないよう進行者に答えを伝えます。
レクリエーションを盛り上げるポイント
分解した漢字を書くときは一気に書くのではなく、ゆっくり小出しにするのがポイントです。
なかなか解答が出ない場合は、「買」であれば、『「四」は頭の部分、「目」は体、「八」は足です』というようなヒントを出します。
イメージする文字を書けるよう、利用者それぞれに紙と鉛筆を渡しておくとよいでしょう。
目隠しをした介護職員が、磁石付きの目や鼻をホワイトボードに貼るゲームです。
利用者は、目隠しをしている介護職員に目や鼻の位置を口頭で伝えます。利用者全員で協力しながら行うゲームなので、コミュニケーションのきっかけにもなるでしょう。
レクリエーションの進め方
(1)ホワイトボードに、輪郭のみの大きな顔を貼ります。
(2)介護職員は目隠しをし、利用者の声を頼りに磁石付きの目や鼻などを貼り、顔を完成させます。
レクリエーションを盛り上げるポイント
介護職員は「こっちかな~」などと言いながら、まったく違うところに顔のパーツを貼ると場が盛り上がります。
利用者たちの「違う違う!そっちじゃない」という声を引き出しましょう。
利用者の中に「やってみたい」という人がいれば挑戦してもらってもよいですが、目隠しをして行うので転倒リスクを考慮し、十分な注意が必要です。
連想ゲームとは、「春といえば桜、桜といえばピンク……」というように、前の人が言った言葉から連想されるものを続けていくゲームです。
前頭葉を刺激するので、脳トレにもぴったりです。
レクリエーションの進め方
(1)利用者には、ホワイトボードが見える位置で円になり、座ってもらいます。
(2)介護職員が最初のお題となる「〇〇といえば□□!」と言いながら「〇〇→□□」とホワイトボードに書きます。
(3)次の利用者が「□□といえば△△」と言ったら、介護職員はホワイトボードに「→△△」と書き、順に続けます。
レクリエーションを盛り上げるポイント
介護職員はただ連想ゲームを進行するのではなく、利用者の解答にその都度反応しましょう。
たとえば、「〇〇と言ったら餅」といった解答が出た場合、「餅の味付けは何が好きですか?」など、ゲームを中断してもよいので利用者同士の会話が盛り上がるよう意識することが大切です。
ホワイトボード用のカラーペンがあれば、イラストとひらがなの頭文字を使ったクイズもおすすめです。イラストといっても簡単なイラストでよいので、絵心がない介護職員でも心配いりません。
挙手ではなく利用者全員にその場でポンポン答えを出してもらえば、楽しい雰囲気で進行できます。
レクリエーションの進め方
(1)ホワイトボードに簡単なイラストと、ひらがなの頭文字を書いて何を表しているのかを当てるクイズです。たとえば、「これはお鍋です」と言いながら、大きな円を描きます。
(2)(1)で描いた円の中に、「ち」と描いた茶色の長細い円柱、「だ」と描いた肌色の小さな丸、「こ」と描いた灰色の三角などを加えます。(答えは、ちくわ、大根、こんにゃくの入った「おでん」です)
(3)どんどんヒントを追加し、わかった人から答えを言ってもらいます。
レクリエーションを盛り上げるポイント
「私はこの具が好きなんですよね」や「食感がおもしろいです」など、ヒントを出しながらイラストを描きます。
絵に自信のある職員は、「ここはどこでしょう?」をテーマに動物園を描いたり、「何の物語でしょう?」と桃や犬、猿などを描いて桃太郎を表現したりする問題もおすすめです。
高齢になると口腔内の筋力が低下したり、舌が動きにくくなったりするため、意識して口を動かすことが必要です。
声を出すだけでも十分効果があるので、しりとりは口腔機能の向上にも役立ちます。
レクリエーションの進め方
(1)大きな円になって座ってもらい、しりとりをします。介護職員は、出た単語をホワイトボードに書きます。
(2)ホワイトボードを見て、前の人が答えた単語をすべて言ってから、自分の番の単語を言います。
たとえば、前の人が「たぬき」と言った場合は、「たぬき、きつね」と言います。それを受け、次の人は「たぬき、きつね、ねこ」と続けていく要領です。
はっきりとした大きな声で単語を言うことで、口腔体操にもつながります。
レクリエーションを盛り上げるポイント
ホワイトボードに単語を書く介護職員とは別に、他の職員がしりとりに参加できる場合は、「わたしはホワイトボードを見ないで覚えます」と単語を記憶して参加するのもおすすめです。
介護職員が苦戦しながらしりとりをする様子が、利用者の笑いを誘うかもしれません。
単純なゲームこそ、盛り上がります。
このゲームはただただ、〇のつく言葉を出し合って数を競うゲームです。
レクリエーションの進め方
(1)利用者を3~5人くらいのチームに分けます。
(2)制限時間を設けて、チーム毎に「〇のつく言葉」をいくつ出せるかを競います。
介護職員は出た言葉をホワイトボードに記します。
レクリエーションを盛り上げるポイント
解答する順番によって不公平感が出ないよう、Aチームは『「あ」のつく言葉』、Bチームは『「い」のつく言葉』というように「〇」の文字はその都度変えます。
また、勝敗が偏らないためには、利用者のレベルを考慮してチーム構成をすることも大事です。
チーム対抗ではなく、全員で順番に答えを出していく進め方もあるので、利用者の雰囲気に合わせて選択しましょう。
「蝸牛(かたつむり)」や、「海豚(いるか)」など、ぱっと見ただけでは読めない漢字の読み方を当てるクイズです。
難しいので、ああでもないこうでもないと楽しみながら考えることができます。答えがわかったときは、高齢者の頭の中がすっきりするはずです。
レクリエーションの進め方
(1)ホワイトボードに大きく漢字を書きます。
(2)正解が出ないときは、「初めの文字は〇です」や「5文字です」などのヒントを出します。
レクリエーションを盛り上げるポイント
「胡桃(くるみ)」や「無花果(いちじく)」、「洗熊(あらいぐま)」など、なんとなく見たことがある漢字からスタートし、徐々にレベルを上げていきます。
「葡萄牙(ポルトガル)」や「越南(ベトナム)」など、利用者が「え~」と驚くような問題を出すのもおすすめです。
ホワイトボードにいくつかの単語を書き、その単語が何をテーマに集められたのかを当てるクイズです。
ヒントが増えるごとに解答しやすくなるよう、単語は関連性の低いものから順番に書き出します。
レクリエーションの進め方
(1)ホワイトボードに答えから連想される単語を1つずつ書きます。
たとえば、答えが「ケーキ」の場合は、「誕生日」、「クリスマス」、「甘い」、「いちご」、「クリーム」という要領です。
(2)答えがわかった人には挙手してもらいます。
レクリエーションを盛り上げるポイント
4~5個程度、単語を出しても答えがわからない利用者がいた場合は、すでに正解している利用者に「ここに書いてあるものの他に何を連想します?」と聞き、ヒントを出してもらってもおもしろいかもしれません。
ホワイトボードに書いてあるひらがなから単語を作るゲームです。
制限時間内でいくつ単語を作れるかを競います。
レクリエーションの進め方
(1)利用者が見えやすい大きさで、ホワイトボードいっぱいにひらがなを書きます。
(2)利用者には、ホワイトボードが見える位置に座ってもらいます。
(3)作り出した単語を書く紙と鉛筆を利用者に渡します。
(4)制限時間の中で、いくつ単語を作り出せるかを競います。
レクリエーションを盛り上げるポイント
単語の数を競うだけでなく、利用者のレベルによっては「どれだけ長い単語を作れるか」つまり、使うひらがなの文字数を競うのもよいでしょう。
個人戦が難しい場合は、チーム戦にするのもおすすめです。
ホワイトボードを使ったレクリエーションには、高齢者が楽しめるように進めるうえで注意したいポイントがあるっポ。
ホワイトボードの見え方に違いがあると、レクリエーションを行うにあたって不公平感が出てしまいます。
ホワイトボードが同じに見えるよう、設置場所や座る位置などには配慮が必要です。
高齢者を対象にしたレクリエーションなので、文字は読みやすいよう大きくはっきり書きましょう。
また、インクが薄くなったペンで書いた文字は読みづらいので、インク切れにも注意が必要です。
ホワイトボードを使ったレクリエーションには、簡単なものから難しいものまでいろいろな種類があります。
レクリエーションは、利用者のレベルに合わせて実施することが大前提です。簡単すぎても、難しすぎても盛り上がりません。
レクリエーション中、クイズのレベルが高すぎたり、内容が利用者にハマっていなかったりして盛り上がらないときは、臨機応変にレク内容を変更しましょう。
利用者の中には、「間違えたら恥ずかしいから」と解答することを躊躇してしまう人もいます。
介護職員が積極的に珍解答を出して笑いを取るなど、「不正解=恥ずかしい」と利用者が思わなくて済む雰囲気づくりが大事です。
ホワイトボードを使ったレクリエーションは、個人で行うレクリエーションよりも利用者同士のコミュニケーションが取りやすいメリットがあります。
和やかなムードで進められるよう、介護職員が間に入ってサポートしましょう。
ホワイトボードは大きいので、利用者の歩行の妨げになる恐れがあります。利用者が足を引っ掛けたり、寄りかかったりすると転倒につながるため危険です。
レクエーションが始まるまで、ホワイトボードは部屋の端に置くなどの配慮が求められます。
ホワイトボードを使ったレクリエーションは、手軽に楽しめるうえ、介護の現場において準備が楽であったり、予算がかからなかったりするメリットがあります。
利用者の顔がよく見えるので、利用者と介護職員、利用者と利用者とのコミュニケーションが図りやすいのも嬉しいポイントです。
日々のレクリエーションにホワイトボードを取り入れてみてはいかがでしょうか。
著者:柴田 まみ
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