要介護認定の結果が出る前にサービス利用はできるのかな?
相談者みゆきさんの悩みに回答するっポ!
<みゆきさん(仮名)58歳>
1カ月前、一緒に暮らしていた79歳の母が脳卒中で倒れ、左側に麻痺が出ています。いまはまだ入院中で食事やトイレも一人ではできないため、職員さんが介助をしている状態です。
母は家に帰りたいと言っていますし、私たち家族もできることなら住み慣れた自宅で生活させたいと思っていますが、私たち夫婦は仕事をしているので車椅子の母を1日中介護することができません。
そのため、介護保険サービスを利用したいと思っています。
要介護認定を受けたら、介護保険サービスはすぐに利用できますか? また、もし認定結果が出る前に退院となってしまったら、認定前でも介護保険サービスを受けることは可能なのでしょうか?
突然介護が必要になったら、不安だしすぐにでも介護サービスを利用したいよね。そのためには、みゆきさんの言う通り、まずは要介護認定を受ける必要があるっポ。
でも、すぐに結果は出ないわよね? 介護申請して認定が出るまでにはどれくらい時間がかかるのかしら?
要介護認定は、申請してから原則30日以内に結果が出るんだっポ。ちょっと長く感じるかもしれないね。
結果が出るまで30日もかかるの!? 申請したらすぐに使えるものでもないのね。そうなると、みゆきさんみたいに急に介護サービスが必要になったら、どうしたらいいのかしら……。
でも心配無用だっポ! 介護サービスの利用を急いでいるときには、認定結果が出る前でもサービスを使えるっポ。介護保険サービスは、役所に介護申請をした日にさかのぼって利用できるんだ。
まあ! それならみゆきさんも安心よね。認定前に介護サービスを利用するときには、特別な手続きは必要かしら?
認定前には、暫定的な介護保険資格者証が交付されるんだっポ。だから、もし認定前にサービスを利用したいなら、介護保険資格者証を提示してケアマネジャーに暫定ケアプランを作ってもらえば、介護保険サービスを利用できるんだ。
なるほど。要介護認定前のサービス利用でも、ケアマネジャーに相談するのね。
でも通常の手順とは違うから、介護認定結果が出る前の介護サービス利用で注意すべきことがあるんじゃないかしら?
そうなんだ! 一番注意すべきなのは費用のことだっポ。認定前だと、当然だけど実際の要介護度はまだわからないよね。だから、もし認定の結果が「非該当」だったとしたら、暫定で利用したサービスは全額自己負担になっちゃうんだ。
じゃあ、みゆきさんも注意してサービス利用したほうがいいわね。ウチの場合は、お義父さん、お義母さんもとも年金生活だから、全額自己負担になったらキツイわ。
急に介護サービスが必要になるのは、入院している人が急に退院になったときが多いんだっポ。
みゆきさんのお母さまのような脳卒中のケースね。
でも実は、入院中でも介護認定調査は受けられるから、入院したときには退院が決まる前に調査を受けておくと、退院までに結果が出る可能性が高くなるんだっポ。
入院中でも介護認定調査が受けられるのね。それなら、入院したら早めに要介護認定の申請したほうがよさそうだわ。
そうだね。多くの場合、入院して1週間後から介護認定調査を受けられるんだ。状態が安定しているようなら、早めに申請することをおすすめするっポ。
ほかに注意することはあるかしら?
介護が必要な本人が住む地域で介護認定調査を受けるんじゃなくて、都道府県や市町村をまたぐときには注意が必要だっポ。
介護は同居のケースだけとは限らないよね。介護が必要な本人はA県B町で暮らしていて、息子夫婦は別のC県D市で暮らしているような場合、息子夫婦が住むC県D市で要介護認定を受ける人もいるんじゃないかな?
そんなケースあるかしら?
本人の住所地から離れた場所で介護認定調査を受ける人の多くは、入院先が遠方の病院だったときだっポ。旅行先で倒れたときや、遠方に住む家族の都合で転院したときによくあるんだ。
でもそれのどこが問題なの?
住所がある市町村から他の市町村に委託して介護認定調査を行うから、どうしても調査まで時間がかかるっポ。調査結果も遅くなりがちだから、暫定利用になる可能性が高くなってしまうんだよ。
なるほど。要介護認定を受ける場所も頭に入れておかないといけないのね。
介護認定の結果が出る前に介護保険サービスを利用できるのは安心だけど、費用の支払いはどんな仕組みになるのかしら? お金のことは不安よね。
介護保険サービスは収入に応じて1~3割の自己負担で利用できるよね。でも、認定前にサービスを利用したときの費用は、まず全額自己負担になるっポ。そのあとから7~9割を返してもらうことになっているんだ。それが、介護保険の原則なんだよ。
でも、介護サービス計画作成依頼書を役場に提出して暫定ケアプランを作ってもらっていれば、現物給付ができるっポ。
現物給付……?
認定後に介護サービスを利用するのと同じように、1~3割の自己負担で介護サービスを利用できるってことだっポ。介護認定前の利用でもケアプランを作った方がまとまったお金の負担も少なくてすむんだ。必ず作成したほうがいいと思うよ。
でも認定結果が出たときに、思ったより介護度が低かったらどうなるの?
もし予測していた介護度より低い結果が出てしまったら、暫定で利用した介護サービスの利用額に影響が出る場合があるっポ。暫定利用したサービスの費用が認定された介護度の支給限度額を上回ったら、超えた分の差額は全額自己負担になるんだよ。
支給限度額って、1~3割の自己負担で利用できる限度額で、たしか要介護度ごとに決められているのよね。
そうだっポ。だから、要介護度を予測するときには十分に注意しないといけないんだよ。支給限度額は以下の表を参考にしてね。
介護保険の支給限度額一覧
※自己負担1割、1単位10円で計算
介護保険では、介護申請をしていれば認定結果が届く前でもサービスの利用ができるっポ。でも、通知された介護度が「非該当」だったら、利用したサービス費用は全額自己負担になるんだ。それに、実際の支給限度額を超えてしまったときも、差額は自己負担になるんだよ。
だから、認定前に介護保険サービスを利用するときには、慎重に介護度を予測したうえで必要最低限のサービスに絞ることをおすすめするっポ。
可能なら、「そろそろ介護サービスが必要かな?」と思ったタイミングで介護申請しておいたほうが、いざというときに落ち着いて行動することができるし、安心じゃないかな。
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