特別養護老人ホーム(特養)に入居する村田さんは寝たきりで話すこともできませんが、最近少しずつ生気が戻ってきたようです。しかし娘さんにはその元気な様子があまり感じられません。施設職員にしかわからなかった「元気のバロメーター」とは?
私は数年前まで特別養護老人ホーム(特養)で働いていました。特養にはたくさんの入居希望者から連絡や相談が寄せられ、そのほとんどは在宅で高齢者の介護をしているご家族でした。
特に相談で多かったのは、要介護度が高い寝たきりの高齢者をお世話している方からの声。
「夫の介護を数年やっているけれど、自分も高齢だから先行きが心配」「近所に家族がいないから何かあったらご近所に迷惑をかけることになるが、それだけは避けたい」といった不安の声が多数寄せられていました。
要介護度の高い方が優先的に入居できる特別養護老人ホーム。原則として要介護3以上の方しか入居できない特養は、設備も整っており、看護師も常駐している安心の施設。
大変な思いをして高齢者のお世話をしている介護者なら、一度は申し込みを検討したことがあるはずです。
しかしなかには、特養に入居したあとも不安を払拭できないご家族がいらっしゃいます。
「大型の施設でも、在宅でやっていたときと同じように、寝たきりのおじいちゃん・おばあちゃんをちゃんとみてくれるのか?」「寝たきりで話すことができないので、オムツ交換や胃ろうの栄養注入を後回しにされたりしないだろうか?」といった不安です。
ですが私たち介護スタッフは、何より入居者の方々の健康維持に日々尽力しています。
身辺の保清はもちろんのこと、汚れた衣類やオムツをきちんと交換するのは当たり前。ちょっと食欲が落ちていた方が「今日は食べた!」とあらば、他のフロアまでその吉報を知らせます。
それに、身体機能の低下にも敏感。パッと見は分からないけど、何だか昨日より元気がないといった様子観察程度のケースでも、施設のケアマネジャーと共有します。
ご家族の皆さま、特に主立って介護をされている介護者の方にとって、寝たきりの方を特別養護老人ホームに入居させることは勇気がいります。しかし特養は重度の要介護者のお世話に慣れたスタッフ、看護師がいるから安心。
家で不安を抱きながら考え込むよりも、まずは施設の中がどんな雰囲気か見学されてはいかがですか?
漫画・コラム:藤木 なみき
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