人見知り、無口、怒りっぽいなど、世の中にはコミュニケーションが得意な人ばかりではありません。そういった高齢者が有料老人ホームなどの施設に入居すると、友人もできずひとりぼっちで過ごすことになるのでしょうか。
有料老人ホームのスタッフである著者が目にしたある光景とは?
作中の有料老人ホームは在宅型有料老人ホームといって、施設に居ながらデイサービスや訪問介護も受けられる場所。今までと同じような暮らし方を守ることができます。
ですが、いくらもとの暮らしに近い状態で生活できるとはいえ、近所の友人と離れたり疎遠になってしまったりするのは心配です。住所もケアマネジャーも変わるし、まず生活環境が変わってしまう。
「高齢になってから環境を変えるのは、何だか怖い」。そういった不安を抱え、有料老人ホームへの入居に踏み込めない方もいらっしゃいます。
不安を押し切って入居したとしても、心配事はつきものです。
性格が引っ込み思案、怒りっぽい、無口で会話のとっかかりがないといった入居者のご家族からは、よく「不愛想ですいません」などと言われることがありました。
ですが、そこはさすが年の功。人生の大先輩である入居者の皆さんは、無口な方も入居して1か月ほどで、住まいや介護スタッフ、看護士にも慣れて、言いたいことをちゃんと言葉で伝えてくれるようになるものです。
とくに、スタッフとのつながりだけでなく同じ入居者同士のコミュニケーションが上手なのが女性陣です。
女性入居者の皆さんは、同じテーブルに座ると「今日は冷えますね」など会話が始まり、次また同席になると「何年生まれ?」「もとのお住まいはどこ?」と話がポンポン弾みます。
おしゃべりな方が中心にいると、普段一言二言しか話さない方も引っ張られるように多弁に。みんな表情豊かに会話を楽しんでいます。
「うちのおじいちゃん・おばあちゃん、人付き合いが苦手だけど、上手くやっていけるだろうか」「施設のスタッフや他の入居者に迷惑をかけないだろうか」と心配されるかもしれません。
でも、施設内には同じような境遇の方や同世代の方がたくさん。腰痛や視力、食欲の低下、寝つきが悪いなど、共通の悩みを持つ方もたくさんいます。
食事やレクリエーションのときには自然と身の上話に花が咲き、友好の輪が広がっていくものなんですよ。
漫画・コラム:藤木 なみき
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