有料老人ホームの入居者である森川さんは、ある日、骨折で入院してしまいました。ですが、回復途中にもかかわらず、退院予定日を待たずに退院することに……。
新型コロナウイルスの影響はこんなところにも?
私が勤務する有料老人ホームに入居している森川さん。
お元気で、1人で散歩に出られるほど活発。職員との会話の受け答えも非常にハッキリしていて、明るく朗らかな方でした。
しかし、日本だけでなく世界中が新型コロナウイルスの流行に怯えるある日、森川さんは散歩中に段差につまずいて転倒してしまったのです。救急車で病院に運ばれ、すぐさま入院となりました。
森川さんは大腿骨を骨折。比較的大きな手術をすることになりました。個人差はありますが、高齢だと入院期間は1か月ほどです。
施設では職員みんなで森川さんを心配していたのですが、入院中も近隣に住む奥さんが施設に顔を出し、森川さんの様子を聞かせてくださいました。
「夫は病院の看護師さんをつかまえて世間話を楽しんでるみたいでした」「まずいまずいって言いながらも病院のご飯をちゃんと完食してます」など、良い知らせを聞かせていただいただき、ああ、相変わらず元気な森川さんだと、職員も不幸中の幸いと安堵していました。
ですが、実際に退院して帰所された森川さんの姿に、私たちは喜んでいいのやら悪いのやらわかりませんでした。
森川さんは、術後わずか2週間半程度で施設に戻られたのです。足元にはふらつきがあり、とても1人で歩けるような状態ではありませんでした。
娘さんによると、もともと1か月弱の入院予定だったそうです。
しかし森川さんの入院中、森川さんの担当医が診察した外来患者が、診察後に新型コロナウイルス患者であったことが判明。主治医はそうとは知らず、森川さんの回診をしてしまったのです。
そういった影響で、森川さんはリハビリが不十分なまま、医師の判断により退院となってしまったのでした。
森川さんはその後も熱などの症状はありません。施設でのリハビリをがんばった甲斐もあって、現在では歩行器を使って1人で歩けるようになりました。
施設では病院のようなリハビリはできませんが、新型コロナウイルスに感染せずに歩行もできるようになってきたことは、良かったなあと感じています。
漫画・コラム:藤木 なみき
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