介護の仕事をするなら、どんな資格が役立つのかな?
介護の資格には、国家資格の「介護福祉士」「社会福祉士」、民間資格の「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「認定介護福祉士」「ケアマネジャー」など、たくさんの種類があります。
認知症やレクリエーションなどの専門的な知識や技術を学べる資格も併せて、介護職におすすめの資格をまとめて紹介しましょう。
介護関連の資格はたくさんあるけど、取得するとちゃんとメリットがあるっポ。
介護業界は、従来「介護職員基礎研修」や「ホームヘルパー1級・2級」などいろいろな資格が混在し、非常にわかりにくい状況でした。
そこで2013年、厚生労働省は介護資格の養成体系を見直して、キャリアパスを一本化しました。
現段階で、介護人材におけるキャリアパスは「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」「認定介護福祉士」の4つです。
資格取得の難易度は、未経験者でも取得可能な介護職員初任者研修、初任者研修よりも専門知識が得られる介護職員実務者研修、国家試験に合格しなければならない介護福祉士、そして最上位資格である認定介護福祉士の順に上がります。
資格取得には、就職に有利であったり、資格手当が付いて給料が上がったりするメリットがあります。
仕事の幅も広がりモチベーションアップにもつながるため、介護職としてキャリアアップしたい人にはおすすめです。
介護を仕事にするなら、取得を検討したい資格だっポ。
介護の資格にはさまざまな種類がありますが、ここでは介護職として働くうえで必要な資格や特徴、資格取得のメリットを解説します。
介護職員初任者研修(以下、初任者研修)は、介護の仕事に就く人が最初に取得する資格です。
2013年より前にあったホームヘルパー2級と同等の資格で、介護の基本や技術を学びます。
決められた受講資格もないので、初めて介護の世界に足を踏み入れる人でも取得可能です。
従来のホームヘルパー2級の場合は、研修を受講すれば試験はありませんでした。
しかし、初任者研修は130時間の講義と演習を終えたら修了試験を受ける必要があります。ただ、この試験は受講内容を振り返るための試験なので、難易度はそこまで高くありません。
初任者研修を取得すれば、晴れて資格保有者となります。
利用者やほかの職員との信頼関係が築きやすいのも資格取得のメリットです。未経験者でも安心して仕事に就けるでしょう。
介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)は、初任者研修以上に高齢者福祉の知識を深められます。
従来のホームヘルパー1級の後継資格で、初任者研修と同様に受講資格はなく未経験者でも受講できます。
受講時間は初任者研修が130時間なのに対し、実務者研修は450時間と長いです。
ただし、すでに初任者研修を取得している人は、共通科目である130時間分の受講が免除されます。
この実務者研修の上位資格となるのが介護福祉士ですが、介護福祉士資格の受験には実務者研修の修了が大きく関わります。
介護福祉士の受験資格には、以下のような条件があります。
さらに、2016年度の試験から「1.3年以上介護の実務経験があること」の条件に、実務者研修の修了が必須になりました。
つまり3年間介護実績を積んでも、実務者研修を修了していないと介護福祉士の受験資格が得られないようになったのです。
介護福祉士を目指す人は、なるべく早く実務者研修を修了するとよいでしょう。
国家資格である介護福祉士は、介護人材におけるキャリアパス上位資格です。
介護福祉士は、利用者一人ひとりに適切なケアを提供するだけでなく、介護士の指導も行います。
介護福祉士保有者は、利用者や家族の相談を受けたり、現場の介護士をまとめたり、他部署と連携を取ったりと、老人ホーム等でリーダーを任せられることも少なくありません。
初任者研修や実務者研修以上に、就職で優遇されやすい資格です。
介護福祉士になる条件は前述しましたが、以下の3つの条件のうち1つをクリアし、受験資格を取得しなくてはなりません。
(再掲)
働きながら受験資格を得る場合は、3年以上の実務経験と実務者研修の修了が必須です。
ここでいう3年以上の実務経験とは「従業期間3年(1,095日以上)かつ従事日数540日以上」をいいます。
なお、2013年度の制度改正前に「介護職員基礎研修」と「喀痰(かくたん)吸引等研修」を修了している人は、実務者研修修了と同じく受験資格にみなされます。
このほか、養成施設に通って国家試験を受験する方法もありますが、最低でも2年はかかるため、働きながらキャリアアップしたい人には難しいかもしれません。
認定介護福祉士は、2015年に認定介護福祉士認証・認定機構が設立しスタートした比較的新しい資格で、介護福祉士の上位資格です。
介護現場だけでなく地域や他専門職などと連携し、幅広い支援を行います。
認定介護福祉士を取るための試験はありませんが、600時間に及ぶ「認定介護福祉士養成研修」を受ける必要があります。
ただし、この研修には受講資格があり、介護福祉士として5年以上の実務経験を積んだ人だけしか受講できません。
ハードルが高い資格ではありますが、キャリアパスの最上位資格となるため、介護士として上を目指したい人は挑戦してみてはいかがでしょうか。
「ケアマネジャー」いわゆるケアマネは、ケアプランを立てるのに必要な公的資格です。
ケアプランとは、要介護者に必要な介護サービスを選択し、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の向上を目指す計画書のこと。
ケアプラン作成には、専門的な知識が必要なのはもちろん、利用者と事業所、利用者と家族などの間を取り持つコミュニケーション能力も必要といえます。
そのほか、要介護認定の調査や代理申請なども行います。
一口にケアマネと言っても、居宅介護支援事業所で働く居宅ケアマネと、老人ホームなどの介護施設で働く施設ケアマネの働き方があります。
居宅ケアマネが作成するのは、在宅生活を送る利用者一人ひとりに合ったケアプランです。一方、施設ケアマネは、施設の入居者に対してそれぞれに適したプランを作成します。
ケアマネジャーを取得するには「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。ただし、受験には以下のいずれかの条件をクリアしなくてはなりません。
なお、受講試験に合格したら、15日間(87時間)におよぶ講義・演習+3日間の実務研修を修了ししたのちに、介護支援専門員証が交付されます。
ケアマネの上位資格である主任ケアマネジャーは、簡単に言うとケアマネのまとめ役です。ケアマネに助言や指導をし、ケアマネたちの支援を行います。
また、保健医療・福祉サービスを提供する人たちとのとの連絡調整も求められる業務のひとつです。
居宅介護支援事業所や介護施設のほか、地域包括支援センターなどでも必要とされる資格のため、活躍の場は広いでしょう。
高い専門知識が必要なので「主任介護支援専門員研修」を受講した人だけしか取得できません。
以下のいずれかを満たしていることが、主任介護支援専門員研修受講の要件となります。
ただし、これらの受講要件は自治体によって多少異なるため、自分が居住する自治体の受講要件を確認しましょう。
一方、取得しておくと介護現場で役に立つ資格もあります。
要介護者のなかには、痰の吸引や経管栄養が必要な人も少なくありません。しかし、これらの行為は、医師もしくは看護師のみが行う医療行為に認定されています。
ただ、介護現場では「やむを得ない措置」として介護職員が痰の吸引を行うことを容認してきました。
そこで2012年度より、介護職員が安全に痰の吸引ができるようスタートしたのが「喀痰吸引等研修」です。
この研修で正しい知識や技術を修得した人に限り、介護職員でも痰の吸引が認められるようになりました。
2018年に新設された「生活援助従事者研修」は、ホームヘルパーとして働く人を対象とした資格です。
介護職員初任者研修との違いは、掃除や洗濯、調理など適切な生活援助ができるよう、その範囲だけを学ぶところです。
介護業界では深刻な人手不足が続いています。本来ホームヘルパーは、生活援助と身体介護の両方を提供するサービスですが、家事援助のみを行う人材だけでも集めようと誕生したのが生活援助従事者研修です。
ほかの資格に比べて、短期間で取得できるのもメリットといえるでしょう。
介護の仕事には認知症ケアも需要だっポ。認知症ケア関連の資格を紹介するっポ。
2015年、厚生労働省は「2025年には認知症患者が推定700万人以上になる」と発表しています。つまりこれは、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を患う計算です。
このような背景を受け、正しい認知症の知識を得るためのさまざまな研修が行われています。
認知症介護基礎研修では、認知症の知識や認知症患者への接し方など認知症ケアの基本を学びます。
認知症の人ができるだけ自立した生活を送れるよう、実践的な知識や技術を学びます。研修後は、ほかの介護職員をリードして認知症ケアの質の向上を目指します。
認知症の人ができるだけ自立した生活を送れるよう、認知症支援のリーダーとしてほかの介護職員を指導したり、チームケアの調整をしたりする資格です。
認知症ケアの質を向上させることはもちろん、ほかの事業所との連携を図り、認知症患者の暮らしをサポートします。
認知症ケアの知識と技術、倫理観をもつ人材を養成し、認知症支援の向上を目指すための資格です。
認知症ケアに特化した専門技術士となり、5年毎の更新が必要となります。
ここで紹介するのは、持っていると介護現場でプラスに働く資格だっポ。
レクリエーションは、高齢者のストレス解消や生きがいになるといわれています。
レクリエーション介護士は、デイサービスや老人ホームなどの介護施設で目的に合わせたレクリエーションを提供する知識や技術を学ぶ資格です。
超高齢社会の日本では、介護を予防するとの考え方が主流になっています。
介護予防運動指導員は専門的な知識やスキルを習得し、介護予防の観点から高齢者を支援します。
高齢者の心身の状態や、高齢者とのコミュニケーション方法を学ぶ資格です。
介護現場において、高齢者との信頼関係が築きやすくなります。
介護の仕事では避けられない終末期ケアを基礎から学びます。
エビデンスに基づいた一人ひとりに適したケアで、終末期の利用者を支えます。
直接介護をしたりする資格以外にも、介護事業の運営を支えたり福祉用具に携わる資格があるっポ。
介護事業所で介護報酬請求を行える資格です。
専門性が高い介護事務はどこの事業所でも重宝されるため、就職にも有利でしょう。
医療・福祉から建築までの知識を得て、高齢者や障がい者が住みやすい住環境を提案する資格です。
他の専門職の意見や利用者の希望を取り入れ、高齢者や障がい者が安全・安心に暮らせる住宅改修プランを作ります。
高齢者が自立した生活を送れるように、ほかのサービス専門職と連携しながら、一人ひとりに合った福祉用具を提案してサポートする資格です。
福祉用具の知識だけでなく、福祉用具サービス計画や介護保険制度などの基礎知識を幅広く学びます。
介護の資格取得は、必要な知識が身につくだけでなく、就職が有利になったり給料アップが望めたりなどのメリットがあります。
介護職としてキャリアアップしたい人にはおすすめです。
また、介護の仕事は実際に利用者の介護をするだけではありません。
ケアマネジャーとして利用者の自立支援をサポートしたり、福祉用具専門相談員として適切な福祉用具を提案したりと、介護関連の仕事は数多くあります。
超高齢社会の日本において、介護資格の保有者は引く手あまたです。介護を仕事にする場合は、今後のキャリアパスを考えながら資格取得を目指すとよいでしょう。
著者:柴田 まみ
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