春の訪れを感じるものといえば――花粉症もそのひとつですよね。
くしゃみが出たり顔がかゆくなったり、目や鼻がぐじゅぐじゅになったり。辛い症状で苦しむ人は少なくありませんが、ある訪問介護のヘルパーもそのひとりです。
その辛さをわかっているからこそ、高齢者に同じ思いをさせてはいけないと配慮するのですが……。
新型コロナウイルスの流行はいまだ終わらず、なかなか気の抜けない生活が継続しています。それでも、何とか当訪問介護事業所と利用者の方々は皆さん元気で過ごされています。
「通所中のデイサービスで陽性者が出ました」という報告はありましたが、私たちが担当する利用者さんは濃厚接触者とはならなかったようで一安心でした。
軽症の方が多いとはいえ高齢者への感染は油断できません。利用者さんの観察はヘルパーとして必須です。風邪症状などがある方には検温と受診を勧めています。
そんな中、風邪と勘違いされやすいのが花粉症の症状です。
私は花粉症なので、毎年この時期は症状を抑制する市販薬を飲んで訪問に臨んでいます。
薬のおかげでほぼ症状は治まるのですが、掃除の際などふとした拍子に「くしゃん」とくしゃみが出そうになることも。利用者さんに不安感を与えないためにも、必至にこらえながらサービスを行っています。
前日に雨が降り花粉が上がりやすい条件が整ったある日、家事援助のサービスに入りました。
花粉のつきにくい服を着ていても、服や髪にはどうしても花粉がついてしまいます。
「利用者さんが花粉症だったら私が入るの嫌だろうな」。そう思って、訪問時間より少し早めに家のそばまで行き、体中パンパンはたいていました。
しっかり落としておかないと……そう思って必至ではたいていたところ、利用者さんが家からひょこっと顔を出され、怪訝そうに「何してるの?」と。
「花粉を落としてるんですよ」とお伝えすると、利用者さんは「そうだったの。気合を入れてるのかと思った」「お相撲さんの土俵入りみたいだったからね」と笑っておられました。
体をパンパンと叩いて……怪しい行動に見えたんでしょうね(笑)。
あとで聞くとその利用者さんはアレルギーも花粉症も一切ないらしく、私の取り越し苦労だったというわけです。
しかし花粉症の方は少しの花粉でもひどいアレルギー症状を引き起こすことがあるので、慎重なくらいがちょうどいいかもしれませんね。
漫画・コラム:藤木 なみき
こちらもおすすめ
新着記事