【日本人の平均寿命】世界・都道府県ランキング&推移で比較!

【日本人の平均寿命】世界・都道府県ランキング&推移で比較!【日本人の平均寿命】世界・都道府県ランキング&推移で比較!

世界トップクラスの長寿大国・日本ですが、2022年(令和4年)は前年、前々年の平均寿命を下回ってしまいました。
厚生労働省のデータを参考に、最新の平均寿命、平均寿命の推移、都道府県ごとの平均寿命ランキング、世界の動向など、日本人と平均寿命ついてさまざまな角度から解説します。    

2022年の日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳

2023年、日本人の平均寿命に関する最新の統計結果を厚生労働省が公表しました。その資料によると、2022年の日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳

2011年の東日本大震災以降、日本人の平均寿命は9年連続で伸び続けていましたが、2年前の男性81.64歳、女性87.74歳と比べると、2022年の平均寿命は男性0.59歳、女性0.65歳下回りました。

2021年、2022年の平均寿命が前年を下回った理由として、厚労省は新型コロナウイルスや心疾患、老衰などによる死亡率の変化を挙げています。

世界ランキングでは、女性が第1位、男性は第3位という結果です(詳しくは後述「世界のランキングは?平均寿命のTOP10、ワースト3」)。

「平均寿命」と「平均余命」の違い

「平均余命」と「平均寿命」を辞書で調べると、以下の意味となります。

平均余命
ある国のある年齢の人々が、その後生きられる平均の年数。

平均寿命
零歳時における平均余命。

*「Weblio辞書」より

一般的に誤解されがちなのは、平均寿命は「死亡する年齢の平均」というものですが、実際は「現在0歳の人があと何年生きられるか」を示した値を指します。
つまり平均寿命はその時点で生まれたばかりの子だけが対象となり、「平均寿命」とは、その時点で0歳の人の「平均余命」ともいえるでしょう。

もし0歳以外の人、例えば40歳の人や60歳の人があと何年生きられるかの平均を知りたい場合も「平均余命」で確認できます。

「平均寿命」と同様に「平均余命」も厚生労働省が毎年発表している「簡易生命表」で確認できます。年代ごと、性別ごとに掲載されているので、気になる方はチェックしてみてください。

ちなみに、各年齢の平均余命は平均寿命より長くなります。統計的には対象となる年齢までに死亡した人は含まれないからです。
例えば40歳女性の場合、2022年時点での「平均余命」は47.77年で、40歳に足すと87.77歳。平均寿命の87.09歳よりも長くなります。

【平均寿命の推移】平均寿命は統計開始からほぼ2倍に

日本人の平均寿命の推移を確認してみましょう。
1960(昭和35)年から2010(平成22)年までは10年刻み、東日本大震災のあった2011(平成23)年以降は毎年のデータを掲載しています。

日本人の平均寿命の推移
  男性 女性
1891-1898年(第1回) 42.8歳 44.3歳
1960年 65.32歳 70.19歳
1970年 69.31歳 74.66歳
1980年 73.35歳 78.76歳
1990年 75.92歳 81.90歳
2000年 77.72歳 84.60歳
2010年 79.55歳 86.30歳
2011年 79.44歳 85.90歳
2012年 79.94歳 86.41歳
2013年 80.21歳 86.61歳
2014年 80.50歳 86.83歳
2015年 80.79歳 87.05歳
2016年 80.98歳 87.14歳
2017年 81.09歳 87.26歳
2018年 81.25歳 87.32歳
2019年 81.41歳 87.45歳
2020年 81.64歳 87.74歳
2021年 81.47歳 87.57歳
2022年 81.05歳 87.09歳

参考
1891~2010年 完全生命表(厚生労働省)
2011~2022年 簡易生命表(厚生労働省)

統計が開始された1891-1898(明治24-31)年の平均寿命は男性42.8歳、女性44.3歳でした。
2021年は男性81.47歳、女性87.57歳なので、約130年間で平均寿命は2倍近く延びたことになります。

1950-1952(昭和25-27)年には男性59.57歳、女性62.97歳まで上昇し、その後の高度経済成長期にかけて平均寿命も延びています。

平均寿命とは、その年に生まれた人(0歳)が今後何年生きられるかを示した期待値です。
そのため、平均寿命はもともと、日本の医療体制や衛生状態などの社会基盤の充実度、発展度を評価する指標として使われてきました。

高度経済成長期の日本では上下水道や電気、食料の保存技術など、生活インフラの発展が著しく、医療体制や社会保険の整備なども、今の体制に近い状態に整えられていきました。
それに伴い、平均寿命も延びていったと思われます。

近年では、健康志向の高まりや医療技術の発展により、がんや成人病などでの死亡率が年々下がり続けていることなども、平均寿命の緩やかな延びにつながっている要因のひとつでしょう。

【都道府県別】平均寿命ランキング一覧

都道府県別の平均寿命のデータは2020年が最新となるため、厚生労働省によるこのデータを参考にします。
日本の都道府県ごとの平均寿命を比較すると、おもしろいことに平均寿命にかなり差があることがわかります。

平均寿命 都道府県ランキング
  男性 女性
1位 滋賀 82.73歳 岡山 88.29歳
2位 長野 82.68歳 滋賀 88.26歳
3位 奈良 82.40歳 京都 88.25歳
4位 京都 82.24歳 長野 88.23歳
5位 神奈川 82.04歳 熊本 88.22歳
6位 石川 82.00歳 島根 88.21歳
7位 福井 81.98歳 広島 88.16歳
8位 広島 81.95歳 石川 88.11歳
9位 熊本 81.91歳 大分 87.99歳
10位 岡山 81.90歳 富山 87.97歳
11位 岐阜 81.90歳 奈良 87.95歳
12位 大分 81.88歳 山梨 87.94歳
13位 愛知 81.77歳 鳥取 87.91歳
14位 東京 81.77歳 兵庫 87.90歳
15位 富山 81.74歳 神奈川 87.89歳
16位 兵庫 81.72歳 沖縄 87.88歳
17位 山梨 81.71歳 東京 87.86歳
18位 宮城 81.70歳 高知 87.84歳
19位 三重 81.68歳 福井 87.84歳
20位 島根 81.63歳 佐賀 87.78歳
21位 静岡 81.59歳 福岡 87.70歳
22位 香川 81.56歳 香川 87.64歳
23位 千葉 81.45歳 宮崎 87.60歳
24位 埼玉 81.44歳 三重  87.59歳
25位 佐賀  81.41歳 新潟 87.57歳
26位 山形 81.39歳 鹿児島 87.53歳
27位 福岡 81.38歳 愛知 87.52歳
28位 鳥取 81.34歳 岐阜 87.51歳
29位 新潟 81.29歳 宮城 87.51歳
30位 徳島 81.27歳 千葉 87.50歳
31位 宮崎 81.15歳 静岡 87.48歳
32位 愛媛 81.13歳 山口 87.43歳
33位 群馬 81.13歳 徳島 87.42歳
34位 山口 81.12歳 長崎 87.41歳
35位 和歌山 81.03歳 山形 87.38歳
36位 長崎 81.01歳 大阪 87.37歳
37位 栃木 81.00歳 和歌山 87.36歳
38位 鹿児島 80.95歳 愛媛 87.34歳
39位 北海道 80.92歳 埼玉 87.31歳
40位 茨城 80.89歳 群馬 87.18歳
41位 大阪 80.81歳 秋田 87.10歳
42位 高知 80.79歳 北海道 87.08歳
43位 沖縄 80.73歳 岩手 87.05歳
44位 岩手 80.64歳 茨城 86.94歳
45位 福島 80.60歳 栃木 86.89歳
46位 秋田 80.48歳 福島 86.81歳
47位 青森 79.27歳 青森 86.33歳

男性は、長野県が1990年以降1位をキープしていましたが、2020年は前回(2015年)に続いて滋賀県が1位、長野県が2位となりました。
女性は、岡山県が前回の2位から1位に躍り出ています。2位は滋賀県ですが、2010年の12位から2015年は4位へ、そして今回が2位と、大きく上昇した県です。

滋賀県は男性1位、女性2位と、近年勢いを増してきたご長寿県といえます。
長野県は安定的なご長寿県でしたが、女性は前回の1位から4位に順位を下げてしまいました。

1位と最下位を比較すると、その差は男性3.46歳、女性1.96歳と、男性で特に大きな開きがあります。

  男性 女性
1位 82.73歳(滋賀県) 88.29歳 (岡山県)
最下位 79.27歳(青森県) 86.33歳(青森県)

同じ国でも地域ごとに差が出てしまう原因のひとつとして考えられるのは、都道府県民ごとの生活習慣の違いです。

滋賀県がまとめた資料によると、滋賀県は「タバコを吸わない人」の割合が男性で全国トップ。他にも飲酒量の少なさ、日常的にスポーツをする人の数なども全国トップレベルでした。
滋賀県民は健康的な生活習慣を持つ人が多いとわかります。

また、平均寿命上位の常連である長野県で注目したいのは、長野県はもともと長寿の人が多い地域ではなかったという点でしょう。

昭和30~40年代には、脳血管疾患による死亡率が非常に高く問題視されていました。
しかしその後、長野県佐久市の医師が始めた「県民減塩運動」によって、県民をあげて食生活の改善に取り組んだ努力の結果、今では全国有数のご長寿県となったのです。
長野県の成功例は「長野モデル」といわれ、予防医療の観点からも非常に注目されています。

一方、平均寿命の短い都道府県の常連は青森県で、残念ながら毎回最下位争いをしています。
その要因は、やはり県民の生活習慣にあるようです。

全国平均と比較して、喫煙や飲酒を習慣としている人の割合、食塩摂取量、成人の平均歩行数などが低くなっています。
このような生活習慣が平均寿命の短さに結びついているといえそうです。

世界のランキングは?平均寿命のTOP10、ワースト3

日本の平均寿命は世界各国と比較してもトップクラスです。
ここでは厚生労働省の資料を参考に、50国の中から世界の平均寿命ランキング1~10位を紹介します。

ちなみに平均寿命は英語を表記するとaverage life span、平均余命はaverage life expectancyです。

世界の平均寿命ランキング(男性)
1位 スイス 2021年 81.6歳
2位 ノルウェー 2021年 81.59歳
3位 日本 2021年 81.47歳
4位 スウェーデン 2021年 81.21歳
5位 オーストラリア 2018 - 2020年 81.19歳
6位 シンガポール 2021年 81.1歳
7位 アイスランド 2021年 80.9歳
8位 イスラエル 2016 - 2020年 80.80歳
9位 韓国 2020年 80.5歳
10位 ニュージーランド 2019 - 2021年 80.48歳
世界の平均寿命ランキング(女性)
1位 日本 2021年 87.57歳
2位 韓国 2020年 86.5歳
3位 シンガポール 2021年 85.9歳
4位 スペイン 2021年 85.83歳
5位 スイス 2021年 85.6歳
6位 フランス 2021年 85.37歳
7位 オーストラリア 2018 - 2020年 85.34歳
8位 スウェーデン 2021年 84.82歳
9位 ノルウェー 2021年 84.73歳
10位 イタリア 2021年 84.691歳

男性の平均寿命の上位国は、1位がスイス(81.6歳)、2位がノルウェー(81.59歳)、3位が日本(81.47歳)となっています。
4位以降は、スウェーデン、オーストラリア、シンガポール、アイスランドなどで、社会福祉が充実している北欧諸国や、経済的に豊かな国が上位です。

女性の平均寿命の上位国は、1位が日本(87.57歳)、2位が韓国(86.5歳)、3位がシンガポール(85.9歳)と、アジア勢がTOP3です。

50国中、平均寿命が短い国ワースト3は以下になります。

世界の平均寿命ワースト3(男性)
ワースト1 コンゴ民主共和国 2018年 56.5歳
ワースト2 南アフリカ 2020年 62.5歳
ワースト3 ロシア 2020年 66.49歳
世界の平均寿命ワースト3(女性)
ワースト1 コンゴ民主共和国 2018年 59.7歳
ワースト2 南アフリカ 2020年 68.5歳
ワースト3 インド 2015 – 2019年 71.1歳

平均寿命よりも注目すべきは「健康寿命」

「介護の必要なく元気に生きられる期間」を知りたいなら、平均寿命や平均余命ではなく、健康寿命を参考にするとよいでしょう。

健康寿命は2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した指標で、定義では「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされています。

日本人の健康寿命は、男性72.14歳、女性74.79歳(2016年時点)。2016年時点での平均寿命と健康寿命との差は、男性8.91年、女性12.3年です。

この平均寿命と健康寿命の差は、健康的に自立した生活を過ごせない期間の長さを意味します。
平均寿命と健康寿命の差が大きければ大きいほど、介護や医療が必要になる期間が長くなってしまいます。

健康で長生きするのであれば、健康寿命を延ばすことが何より大切です。

「平均寿命」「平均余命」「健康寿命」を正しく覚えておこう

日本の「平均寿命」をめぐる現状について、さまざまな角度から迫ってみました。平均寿命は、社会インフラや生活習慣が大きく影響していることがわかりますね。
「平均寿命」は現時点で0歳の「平均余命」であるという点も押さえておきたいところ。
また、「平均寿命」だけでなく、健康に自立した生活ができる期間「健康寿命」も併せて覚えておくとよいでしょう。

ニュースや報道を見るときには「平均寿命」と「平均余命」の違いや「健康寿命」の意味を念頭に置いておくと、正確な理解につながるはずです。

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著者:かぼじん

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著者:かぼじん

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行政書士、WEBライター
行政書士としてデイサービス施設の開業支援などにもたずさわるかたわら、父親がくも膜下出血で倒れたことをきっかけに、そのリハビリや介護などを経験。現在は、90歳を超えた祖母の見守りなどで、日々いろいろな介護支援のサービス、アプリなどを実践中。また宅地建物取引士資格を持ち、大手不動産メディアなどで不動産にまつわる情報をさまざまな角度から解説している。ライターとしては、スモールビジネスや介護関係、不動産投資の記事を中心に執筆活動中。

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