認知症の方は周辺環境の変化が苦手と言われています。
もし台風などの災害で避難が必要になったら……介護保険の適応外にはなりますが、訪問介護のヘルパーはある対策をしていました。
局地的大雨をもたらす線状降水帯や、大雨や強風が危険な台風。
介護を要する高齢者がこれらの災害で避難するとなったら……。
家族と同居している方であれば比較的安心ですが、身寄りのない、または家族と離れて一人暮らしをする高齢者の避難には、誰かの助けが必要です。
消防や警察もそうですが、訪問介護の利用者さんであれば、その前に我々訪問介護事業所や居宅(ケアマネジャー)の連携が挙げられます。
認知症の方はいつもと違う事態が苦手で、避難するという行為だけでなく、避難勧告が出たときにどう対応するかを認識してもらうことが特に大変です。
認知症でも症状が軽ければ、一人暮らしで問題なく生活できている方もいらっしゃいます。
いつもの道、いつもスーパー、いつものご近所さん、なじみのヘルパー……そんな環境なら大きな問題はありません。
軽度認知症の利用者さんの避難は、日ごろからの下準備が肝心です。
まずはなじみのヘルパーから、避難の必要が出たらどうするかをお伝えします。
利用者さん宅の電話のそばには大きく書いた事業所の電話番号を貼らせてもらい、「避難勧告が放送で流れたら、ここに電話してください」「困ったら、とにかくここに電話してください」と声を掛けます。
定期的に一緒に電話を掛けるなど、利用者さんが忘れない工夫も必要です。
実際に事業所に電話がきたら、ヘルパーは徒歩や車でお迎えに行き、避難所まで同行します。それから利用者さんが避難所にいることをケアマネに連絡をする。これが一連の流れです。
軽度認知症の方の避難は難しく思えますが、なじみの関係がある人と一緒なら災害時でも安心して行動できます。
ただし、ヘルパーによる避難時や緊急時の対応は介護保険の適応外。つまり自費での対応となることを、契約の際にあらかじめ了承を得ています。
また、軽度認知症の利用者さんがパニックになってしまい対応が難しい場合や、訪問介護事業所が対応できない時間外の場合は、警察や消防にお世話になるほかありません。
避難してからも、いろいろな方の力を借りなければならないのも事実です。
漫画・コラム:藤木 なみき
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