旦那さんを亡くして一人暮らしになってしまった訪問介護の利用者さん。長年一緒に暮らす猫のおかげで寂しさがまぎれているようです。
しかもその猫は日に日に旦那さんに似てきているようで……?
訪問介護の利用者さんの中には、元気だった頃から連れ添っているペットと暮らす方がいます。
私たちヘルパーはペットのお世話は基本できません。なので、あまり関わらないよう努力しているのですが(関わるとお世話したくなってしまうから)、こっちを向いて嬉しそうにしっぽを振ったり足にすり寄ってきたりすると、つい「かわいいね」などと話しかけてしまいます。
言葉は通じなくても、動物は人の気持ちをほぐしてくれるものなんですよね。
ある女性利用者さんは、猫と一緒に暮らしています。基本的に室内で飼っているので、ヘルプ中に掃除しているとどこからかスッと現れたり、利用者さんに甘えている姿を見かけます。
名前はトラ。元気な猫ちゃんなのですがもう高齢なんだとか。
「私と同じおばあさんなの」「年寄り同士、仲良くしようね~」と、猫ちゃんのおかげで一人暮らしでも寂しくなさそうな様子です。
しかしご主人の月命日が近づくと少し元気がなく、笑顔も無理に作っているように見えます。
そんなとき、利用者さんがお仏壇の水を交換していると、トラがその横にちょこんと座りました。それに気づいた利用者さんはすぐに座布団を自分のとなりに敷き、お経をあげ始めたのです。
その光景が気になり数日後に利用者さんに聞いてみると、「トラには死んだお父さんがのりうつっているみたい」と話してくれました。
なんでもトラのしぐさが旦那さんそっくりなんだとか。「最近は寝ているときのいびきも似てきた」と笑っていました。
一人暮らしの利用者さんにとって、トラは心の栄養剤であり、心の拠り所のようです。
漫画・コラム:藤木 なみき
こちらもおすすめ
新着記事