重症化リスクの大きい高齢者が暮らす介護施設で新型コロナウイルスに感染した人の早期発見につなげようと、厚生労働省は抗原検査の簡易キットの配布に乗り出す。その計画の概要を19日に開催したアドバイザリーボードで明らかにした。【鈴木啓純】
主な対象は検査キットを使える体制を作れる医療機関と介護施設。病院や有床診療所、特養、老健、介護医療院などへ配布するとした。都道府県の判断でこれら以外の施設、住まいへ配布することも認めていく。
抗原簡易キットの医療機関、高齢者施設等への配布の基本的考え方
メインターゲットは患者・利用者ではなく職員だ。発熱など感染が疑われる症状が表れた際の使用を想定。抗原検査の精度はPCR検査より低いものの、有症状者に限るとそう大きく変わらないという分析結果がベースにある。
厚労省は現在、最大で約800万回分の検査キットの確保など準備を進めている。各地域の介護施設の職員数などを踏まえ、都道府県を通じてこれを全て配布していく方針だ。
「できるだけ早く開始したい」。アドバイザリーボード終了後、取材に応じた担当者はそう話した。必要性が生じれば介護施設などへの直送も行っていくという。
訪問看護・介護など在宅サービスの現場への配布については、「都道府県で色々と検討して頂いている」と説明。「検査の結果をしっかりと判定し、陽性が出たら周囲の人の検査にもつなげていく体制が大事。医療機関との連携がとれるところに配布したい。連携がとれるということであれば、対象サービスの範囲についても都道府県の考え方を尊重したい」と述べた。
政府は検査キットの配布を、緊急事態宣言の延長などに伴い今月7日に改定した「基本的対処方針」に盛り込んでいた。介護施設などで相次いでいるクラスターの発生を抑え込む狙いがある。検査キットは鼻咽頭、鼻腔から検体を採取して感染の有無を調べるもの。概ね30分で結果が出る。
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