厚労省、要介護認定の負担軽減策を検討 有効期間の延長や認定審査会の簡素化など論点

社保審・介護保険部会 26日

厚生労働省はこれから年末にかけて、介護保険の要介護認定を効率化して現場の負担を軽減できないか検討していく。【Joint編集部】

2024年度の制度改正に向けた協議を進めている審議会(社会保障審議会・介護保険部会)で26日、こうした意向を説明。今後の論点として、

○ 更新申請、新規申請、区分変更申請それぞれについて、有効期間の上限拡大をどう考えるか

○ 認定審査の簡素化による業務効率化を進めるためにどんな方策が考えられるか

などを提起した。会合では一部の委員から、有効期間の上限拡大への慎重論も噴出。厚労省は12月の取りまとめに向けて、要介護認定の適正さを保つことも重視して具体策の議論を深めていく方針だ。

厚労省の統計によると、全国の要介護認定者数は昨年4月時点でおよそ684.2万人。2000年の制度創設時の3倍超に増加し、申請から認定までの日数も36.2日(昨年度上半期)と長くなっている。

申請件数は今後、高齢化の進展に伴って更に増えていく見通し。業務の効率化や現場の負担軽減を図り、要介護認定を健全に運用していける体制、仕組みを作ることが大きな課題となっている。

現行、更新申請の有効期間は原則12ヵ月だが、最長で48ヵ月まで設定可能。新規申請、区分変更申請は原則6ヵ月で、最長12ヵ月まで設定できる決まりとなっている。厚労省は今回、こうした有効期間の上限拡大を認めるか否かを論点の1つに掲げた。

更新申請については、「有効期間の上限に至った際に要介護度が変わらない人の割合は要介護度によって異なる」と指摘。要介護度によって対応を分ける案も俎上に載せる構えをみせた。新規申請、区分変更申請については、当事者の自治体が原則12ヵ月、最長24ヵ月へ延長するよう国に働きかけており、それに応えることの是非が焦点となりそうだ。

会合では委員から、「サービス提供の内容を適切に改めるタイミングを見逃すリスクがある」など、有効期間の上限拡大に反対する意見が出た。このほか、認定審査会のプロセスを簡素化する際の運用ルールを見直したり、ICTやAIの有効活用、デジタル化を進めたりするよう求める声もあがった。

提供元:介護のニュースサイトJoint

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