政府は2024年度に控える次の介護報酬改定に向けて、高齢者の自立支援・重度化防止などの「アウトカム評価」を拡充する方向で検討を進めていく。【Joint編集部】
施設・事業所が出す実際の成果へのインセンティブを今より高め、介護現場に効果的な取り組みを促す狙いがある。
6日に開催した規制改革推進会議のワーキンググループで、こうした大枠の方針を確認した。
ただ厚労省は、「状態の改善が見込まれる高齢者らを事業者が選別するなど、いわゆるクリームスキミングが起こる可能性がある」などの懸念も説明。今年の社会保障審議会の分科会などで、具体策を丁寧に議論していくスタンスをとった。
介護報酬のアウトカム評価は例えば、
○ 施設からの在宅復帰を評価する加算
○ 褥瘡の予防を評価する加算
○ リハビリによる社会参加を評価する加算
○ ADLの維持・改善を評価する加算
などが既に導入されている。
厚労省は前回の介護報酬改定で、こうした加算のメニューを増やしたり単価を引き上げたりする施策を展開。LIFEを新たに導入したことも含め、自立支援・重度化防止にこれまで以上に重きを置く姿勢を打ち出した経緯がある。
こうした路線は次の介護報酬改定でも維持していく。6日のワーキンググループでは、「より効果的・効率的な介護サービスの提供を促すには、アウトカムの観点からの評価を活用することが適している」との認識を示した。
一方で現状の課題として、
○ アウトカムには様々な要因があり、因果関係を特定することが難しい
○ 介護の取り組みとアウトカムの関連などについて分析を行い、エビデンスの集積を進める必要がある
○ いわゆるクリームスキミングが起こる可能性がある
などを説明した。「介護関係者のコンセンサスを形成する必要がある」とも指摘。具体策の検討を進めつつも、拙速な判断は避ける構えを強調した。
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