福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会|2023年7月撮影
厚生労働省は28日、介護保険の福祉用具をレンタルで使うか、または購入して使うかを利用者が自ら選択できる新たな制度の導入を正式に提案した。【Joint編集部】
福祉用具貸与・販売の見直しを議論している有識者会議で、「導入に向けた検討をお願いしたい」と委員に要請した。来年度の介護報酬改定をめぐる論点の1つになる。
厚労省は固定用スロープや歩行器、つえなど相対的に廉価な種目を“選択制”の対象とする方針。貸与ではなく販売でも提供できるようにすることで、膨張する介護費の一定の抑制につなげられると見込む。
例えば貸与が長期間に及ぶ利用者などでは、販売の方が自己負担が軽く済むケースがあることも考慮した。“選択制”が実際に導入されれば、福祉用具は一部の例外(*)を除いて利用者の状態変化に対応できる貸与が原則、としてきた基本的な考え方を変える大転換となる。
* 一部の例外=入浴や排泄に関わるなど貸与がなじまない福祉用具
厚労省は会議で、貸与か販売かを利用者に選んでもらうプロセスにも言及。介護支援専門員や福祉用具専門相談員が、サービス担当者会議などで説明して合意形成につなげる構想を描いた。
いったん貸与に決まった後も、販売への切り替えの必要性を担当者会議などで6ヵ月ごとに協議していくことを提案。福祉用具専門相談員が6ヵ月に1回以上モニタリングを行い、使用方法や使用頻度、使用上の課題などを記録したうえで、利用者やケアマネジャーに交付する案も示した。
また販売となった場合も、福祉用具専門相談員らが利用者からの要請に応じて必要なメンテナンス、使い方の指導などを実施していく仕組みも検討するとした。
委員の立場は分かれた。厚労省の提案に賛同する声があがった一方で、否定的な意見も続出。「利用者が販売を選ぶと状態変化に対応できなくなり、安全性の確保も難しい」「本当に介護費の抑制につながるのか疑問」「ケアマネや福祉用具専門相談員らにより大きな負担がかかる」といった慎重論が相次いだ。
厚労省はこうした意見を踏まえ、具体策を詰める議論を更に深める方針。担当者は会合後、「提案を再整理し、次回の会合で改めて提示したい」と述べた。
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