どんどん複雑になって国民からみて分かりにくい制度になっている − 。委員からはそんな不満の声があがった。【Joint編集部】
厚生労働省は15日の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、「介護報酬体系の簡素化」をテーマとして取りあげた。来年4月に控える次の改定に向けて具体策を検討していく方針だ。
厚労省によると、今の介護報酬のサービスコード数は実に2万1884。制度発足当初(1760)の12.4倍に膨らんでいる。
主なサービスの加算数の変化は表の通り。1つのサービスに70以上の加算があることだけでなく、当初は非常にシンプルな構造だったことにも改めて驚くデータだ。
各サービスの加算は、その算定率の格差が非常に大きい。
例えば、2021年度から2022年度の算定率が平均80%を超える加算は12種類(延べ54種類)。特養の「初期加算」や老健の「夜勤職員配置加算」、通所介護の「入浴介助加算I」などがこれに該当する。
一方で、2022年度に全く算定されていない加算は20種類(延べ194種類)。これを除いて、算定率が平均1%未満の加算(*)が更に41種類(延べ175種類)あると報告されている。
* ひと月あたりの算定事業所数が平均9事業所以下のものに限る。
厚労省は今後、多くの介護施設・事業所が算定している加算を基本報酬に包括化したり、ほとんど算定されていない加算を整理したりすることも含め、報酬体系の簡素化をめぐる議論を深めていく考えだ。
会合では、全国老人クラブ連合会の正立斉理事が、「サービスや加算の種類が増えたことで、利用者にとって非常に分かりにくい状況になってしまっている。簡素化を実現して欲しい」と要請。連合の小林司生活福祉局長は、「加算の目的を大切にしつつ、ぜひ簡素化を進めて頂きたい」と促した。
また、全国老人福祉施設協議会の古谷忠之参与は、「算定率が高い加算を基本報酬に包括化する場合は、その加算の単位数をそのまま上乗せすべき。処遇改善に関する加算の一本化も必ず実施すべき」と主張。日本看護協会の田母神裕美常任理事は、「趣旨が重要な加算もある。サービスのあるべき姿も踏まえた整理が必要。事業者の経営に与える影響も十分に考慮したうえでの簡素化とすべき」と指摘した。
関連記事
新着記事