デイサービスとは、高齢者の生活にメリハリを与え、家族の介護負担を軽減する介護サービス。
在宅介護には本人の不安はもちろん、家族の介護負担などさまざまな課題があるため、デイサービスは在宅介護で利用したいサービスのひとつといえます。
デイサービスの詳しいサービス内容や料金設定、メリット・デメリットなどについて、わかりやすく簡単に解説します。
デイサービスってどんなところなのかな?
デイサービスとは、利用者がデイサービスセンターなどに通って機能訓練をしたり、日常生活の援助を受けたりする介護保険サービス。利用者はスタッフに送迎をしてもらい、レクリエーションを楽しんだり、入浴や食事をして1日を過ごします。
デイサービスは通所介護とも呼ばれ、利用者の心身機能の維持向上や日常生活の援助、家族の介護負担を軽減することが大きな目的です。
デイサービスを利用できるのは、65歳以上で要介護1~要介護5の人です。
ただし、脳血管疾患や骨折を伴う骨粗鬆症などの特定疾病があり、要介護1~要介護5の認定を受けている場合は、40歳以上65歳未満の人でも利用することができます。
デイサービスの主な6つのサービス内容を解説するっポ。
デイサービスの食事やおやつは、利用者の咀嚼(噛む)機能や嚥下(飲み込み)機能の状態に合わせたものが提供されます。
たとえば、歯が悪くて噛みにくい人にはあらかじめ食べやすいようにカットしたり、汁気の多いものを食べるとむせてしまう人のためにトロミをつけたりした食事です。
また、糖尿病や高血圧など利用者が抱える病気に対応した療養食の提供も行います。食事介助が必要な人には職員がサポートを行うため、安心して食事をすることが可能です。
食事やおやつを楽しみにしている利用者も多いので、なかにはレストランのような食事を提供するデイサービスもあります。
各デイサービスによって、いろいろなタイプの浴室を設けています。
一人で入る個浴や銭湯のように広い大浴場、なかには露天風呂に入れるデイサービスもあります。
その他、車椅子やストレッチャーのまま入浴できる機械浴などもあるので安心です。
一人暮らしの人や高齢夫婦世帯の人のなかには、入浴に不安を抱えている人も少なくありません。
デイサービスの入浴なら、利用者の身体状況に合わせて職員が介助を行うので安全・安心に入浴ができます。
デイサービスに到着したら、最初に行うのが健康チェックです。
体温・血圧・脈拍を測定し、睡眠時間や体調を口頭で確認します。
体調不良が見られた際は静養室で休んでもらったり、家族に連絡したりすることもあります。
デイサービスでのレクリエーションは利用者の楽しみとなるだけでなく、身体機能や認知機能の維持・向上を目的としています。
筋力向上の効果がある体操やゲーム、認知症予防に効果的な脳トレ、カラオケも人気です。
ただし、気が進まないときは無理に参加する必要はありません。なかにはレクリエーションには参加せず、テレビを見て過ごす人もいます。
デイサービスでは、利用者に四季の移り変わりを意識してもらえるよう季節のイベントを実施しています。
お花見や夏祭り、クリスマス会など各デイサービスによってさまざまです。利用者に非日常を楽しんでもらえるような工夫を凝らしたイベントとなっています。
また、何歳になっても誕生日は特別な日です。毎月、その月に生まれた人の誕生会を行っているデイサービスもあります。
「もう誕生日なんて嬉しくない」と言いながらも、たくさんの笑顔が見られるイベントのひとつです。
デイサービス利用の際は、職員が自宅まで送迎を行います。
歩行に不安があったり車椅子を利用したりしている人には、車椅子に乗った状態で乗降できるリフト車を利用できるため心配はいりません。
デイサービスとデイケアってなんだか似てるけど、違いは何かな?
デイサービスでは、レクリエーションや食事、入浴、機能訓練などのサービスを受けます。
デイケアは「通所リハビリテーション」とも呼ばれ、利用者の病気や障害に合わせたリハビリを中心にサービスを提供する施設です。
介護老人保健施設(老健)や病院などに併設され、医師や看護師、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士等が配置されています。
デイケアもデイサービスと同じように食事や入浴などの日常生活援助を受けられますが、一般的なデイサービスに比べると利用料金が高くなるため、デイケアはリハビリに力を入れたい人や医学的管理・医療的措置が必要な人に適したサービスといえるでしょう。
なお、ケアプランに組み込めばデイサービスとデイケアの両方に通所することも可能です。
どちらのサービスが本人に合っているのかを検討するために、しばらくの間デイサービスとデイケアの両方に通ってから決める人もいます。
デイサービスにはいくつかの種類があるっポ。
簡単にサービスの違いを説明するね。
通常、デイサービスといえば、通所介護(デイサービス)か地域密着型通所介護(地域密着型デイサービス)のどちらかを指すことがほとんどです。
デイサービスは定員が19名以上のものをいい、単独型の事業所はもちろん、特別養護老人ホームなどの施設に併設されていることもあります。
地域密着型デイサービスは定員が18人以下の小規模なデイサービスで、各市町村が指定・監督をする地域密着型サービスのひとつです。
そのため、住んでいる地域の事業所しか利用できない規定があります。
看護を必要とする人のためにあるのが療養デイサービスで、地域密着型サービスのひとつです。
介護士のほかに医療行為を行う看護師が配置され、重度の介護を必要とする人や末期がん患者など、介護に加えて医療的なケアを必要とする人を対象としています。
同じく地域密着型サービスのひとつである認知症デイサービスは、認知症を持つ人専門です。
通常のデイサービスでも認知症の人の利用は可能ですが、ほかの利用者と馴染めない可能性も考えられます。
たとえば軽度の認知症の人は、ほかの利用者から認知症と気づかれないことがあります。
そのため、前回会ったことを忘れてしまったり、相手の名前を覚えられないなどといったことがほかの利用者の誤解を招いてしまい、利用者間のトラブルに発展することもあるのです。
認知症デイサービスは定員が12名以下のため家庭的な雰囲気の事業所が多く、認知症の利用者も安心して通えるでしょう。
デイサービスの費用は高いのかな…。
通所系サービスは、種類や要介護度によって利用料金が異なります。また、所要時間も各事業所の設定によって違うので確認が必要です。
ここでは、デイサービス、地域密着型デイサービス、認知症デイサービス、療養デイサービスの費用めやすを比較します。
デイサービスは規模によっても費用が変わります。
「通常規模型」「大規模型1」「大規模型2」のうち、1カ月あたりの延べ利用者数が300~750人の「通常規模型」を、認知症対応型デイサービスは、「単独型」「併設型」「共用型」の3つの事業所の形態がのうち「単独型」の料金めやすを紹介します。
ここでの料金は、1割負担、1単位10円で計算したものだっポ。
負担割合は所得によって1~3割に変動するし、居住する地域によっても費用は異なるよ。
デイサービス | 地域密着型デイサービス | 認知症対応型デイサービス | |
---|---|---|---|
3時間以上4時間未満 | 370円 | 416円 | 543円 |
4時間以上5時間未満 | 388円 | 436円 | 569円 |
5時間以上6時間未満 | 570円 | 657円 | 858円 |
6時間以上7時間未満 | 584円 | 678円 | 880円 |
7時間以上8時間未満 | 658円 | 753円 | 994円 |
8時間以上9時間未満 | 669円 | 783円 | 1,026円 |
デイサービス | 地域密着型デイサービス | 認知症対応型デイサービス | |
---|---|---|---|
3時間以上4時間未満 | 423円 | 478円 | 597円 |
4時間以上5時間未満 | 444円 | 501円 | 626円 |
5時間以上6時間未満 | 673円 | 776円 | 950円 |
6時間以上7時間未満 | 689円 | 801円 | 974円 |
7時間以上8時間未満 | 777円 | 890円 | 1,102円 |
8時間以上9時間未満 | 791円 | 925円 | 1,137円 |
デイサービス | 地域密着型デイサービス | 認知症対応型デイサービス | |
---|---|---|---|
3時間以上4時間未満 | 479円 | 540円 | 653円 |
4時間以上5時間未満 | 502円 | 566円 | 684円 |
5時間以上6時間未満 | 777円 | 896円 | 1,040円 |
6時間以上7時間未満 | 796円 | 925円 | 1,066円 |
7時間以上8時間未満 | 900円 | 1,032円 | 1,210円 |
8時間以上9時間未満 | 915円 | 1,072円 | 1,248円 |
デイサービス | 地域密着型デイサービス | 認知症対応型デイサービス | |
---|---|---|---|
3時間以上4時間未満 | 533円 | 600円 | 708円 |
4時間以上5時間未満 | 560円 | 629円 | 741円 |
5時間以上6時間未満 | 880円 | 1,013円 | 1,132円 |
6時間以上7時間未満 | 901円 | 1,049円 | 1,161円 |
7時間以上8時間未満 | 1,023円 | 1,172円 | 1,319円 |
8時間以上9時間未満 | 1,041円 | 1,220円 | 1,362円 |
デイサービス | 地域密着型デイサービス | 認知症対応型デイサービス | |
---|---|---|---|
3時間以上4時間未満 | 588円 | 663円 | 762円 |
4時間以上5時間未満 | 617円 | 695円 | 799円 |
5時間以上6時間未満 | 984円 | 1,134円 | 1,225円 |
6時間以上7時間未満 | 1,008円 | 1,172円 | 1,256円 |
7時間以上8時間未満 | 1,148円 | 1,312円 | 1,427円 |
8時間以上9時間未満 | 1,168円 | 1,365円 | 1,472円 |
療養デイサービスの料金は以下の通り、要介護度による設定はなく月単位の料金設定となります。
1カ月 | 12,785円 |
---|
最初にも説明しましたが、上記は全て、1単位10円、自己負担1割で計算しています。住んでいる地域や所得によっても料金が異なるので注意が必要です。
また、食費や送迎代のほか、リハビリや入浴など、事業所の提供するサービスによって追加料金がかかります。
詳しい費用は担当ケアマネジャーに確認しましょう。
まずメリットから。デイサービスのメリットは、主に4つあるっポ。
外出のきっかけを作り、利用者の孤独感を解消できます。在宅生活を送る高齢者は家に引きこもりがちになるため、社会的孤立を感じやすくなります。
デイサービスには同じような病気を抱えていたり、同じような悩みを持っている人が集まるため、「悩んでいるのは自分だけではない」と感じやすい環境です。
ほかの利用者やデイサービススタッフとのおしゃべりは気分転換になり、高齢者のストレス解消にもつながります。
また、他人と会うことで身なりを整えたり、刺激も得ることで認知症予防にもなるでしょう。
自宅では身支度をしないで過ごしていた人が、デイサービスに行くようになってからは化粧をするようになったというのもよくある話です。
さらに、さまざまなアクティビティを通じて、高齢者の身体機能の維持向上を目指します。デイサービスで新しい趣味や友人を見つけることもできるかもしれません。
デイサービスでは、食事介助や排せつ介助、入浴介助など、日常的なケアを受けることができます。
在宅生活を送る高齢者が、日常生活のなかで特に不安に思うのが入浴だといいます。
浴室は、転倒のリスクや湯船への沈み込み、さらに冬場のヒートショックなど高齢者にとって多くの危険が潜む場所です。
一人暮らしの高齢者はもちろん、家族と同居をしている場合でも不安があることが多く、入浴を目的にデイサービスに通所している利用者もいるほどです。
在宅介護は、家族への身体的・精神的負担が大きいものです。
家族のなかには、就労している人や子育て中の人、病気を抱えている人もいるかもしれません。さらに、老老介護の場合は介護者と要介護者が共倒れになる危険性もあります。
デイサービスには、そのような介護者の負担を軽減する目的もあるのです。
デイサービスを利用すれば、介護者は心や身体を休ませることができるうえ、自分の時間を確保することができます。
安心して仕事に行ったり、休息を取ったりができるでしょう。
一方、デイサービスのデメリットは主に2つあるっポ。
「家でのんびり過ごしたい人」「他人との関わりが面倒な人」「周りの目を気にする人」などは、利用を拒否する傾向にあります。
その場合は、無理強いをせず、担当ケアマネジャーや主治医などに間に入ってもらうのもよい方法かもしれません。
なかにはデイサービスのスタッフやほかの利用者などに気を遣い、疲れやストレスを感じてしまう高齢者もいます。
そのような人には、定員が少ない小規模な事業所がおすすめです。利用者の人数が少なければスタッフの目も届きやすく、自分のペースで過ごせます。
また、半日型のデイサービスであれば疲れを感じる前に帰宅できるメリットがあります。外出の機会を作りたいけれど1日は長すぎるという方に向いています。
一口にデイサービスといっても、事業所によって提供するサービスや雰囲気は違います。
いくつかの事業所を見学して、本人に合ったデイサービスを探すとよいでしょう。
わたしはたくさんの人と過ごすのが好きなタイプだけど、確かに乗り気ではない人もいそうだなあ。
でも外に出て楽しめるのは魅力的だと思うな。
デイサービスを利用するなら、主に以下のような流れになるっポ。
(1)ケアマネジャーに相談する
「デイサービスを利用したい」と思ったら、まずは担当ケアマネジャーに相談しましょう。
要介護認定を受けていない場合は、住んでいる市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターなどに要介護認定を申請します。
(2)ケアプランを作成する
要介護認定を受けたら、ケアプラン(介護サービス利用計画)の作成を行います。
「どのようなサービスを利用したいか」「週に何回通いたいか」など担当ケアマネジャーと話し合いながら決めていきましょう。
(3)デイサービスを見学する
デイサービスは、本人や家族と一緒に見学することもできます。
それぞれのデイサービスに特色があるので、いくつか見学して決めるのがおすすめです。
(4)利用したい事業所を決定する
通所を希望するデイサービスが決まったら、職員による面接を行います。
本人の病歴や必要な介助、デイサービスへの希望などを確認し共有するためです。
(5)契約を結ぶ
その後、契約をしてサービス開始です。
なお、デイサービスでは利用者に対する「通所介護計画書」を作成し、その計画書に基づいたサービスを提供します。
デイサービスではどんな1日を過ごすのかな?
デイサービスでの1日の過ごし方は事業所や利用時間によって少しずつ異なりますが、一例を挙げるので参考にしてみてください。
9:00 スタッフが自宅まで迎えに行きます。足の不自由な人や車椅子の人はリフト車で対応するので安心です。
9:30 体温・血圧・脈拍などに異常がないか健康チェックを行います。
10:30 希望者は入浴をします。必要に応じて、職員が介助をするので安心して入浴ができるでしょう。
11:30 リハビリや体操の時間です。個別のリハビリや全員で行う体操などがあります。
12:00 栄養バランスに配慮した昼食を提供します。糖尿病食や減塩食、刻み食などにも対応します。
13:00 カラオケや手芸、ゲームなどのレクリエーション活動を行います。
15:00 ほかの利用者や職員との会話を楽しみながら、おやつの時間を過ごします。
16:00 スタッフが自宅まで送り、終了です。デイサービスでの様子は、連絡帳や口頭で家族に伝えます。
デイサービスには半日のコースなどもあります。
家族の状況に応じて、ケアマネジャーと時間帯を検討してみてもよいでしょう。
最後はデイサービスの選び方を確認するっポ!
いろいろなデイサービスがあって、どこを選べばよいのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
それぞれのデイサービスがもつ特徴を押さえ、本人に合ったデイサービスを選ぶことが大切です。
たとえば、人付き合いが苦手な人は定員人数が少ない小規模のデイサービスのほうが通いやすいでしょうし、大きなお風呂に入りたい人は広い浴室のある施設を探す必要があります。
いずれ宿泊サービスを利用する予定がある場合は、ショートステイが併設されていたりお泊りができたりするデイサービスを選ぶのもおすすめです。
慣れている施設なら、利用者が不安にならず安心して宿泊できるメリットがあります。
もちろん、実際に見学をして施設の雰囲気を確かめることも大事です。利用者や職員に笑顔が多い施設なら、きっと楽しく通うことができるでしょう。
デイサービスによっては、見学だけでなく1日体験が可能なところもあります。
1日のプログラムや雰囲気、食事内容などが把握できるので、気になる施設がある場合はお試ししてみるのもよい方法です。
もしデイサービスを利用するにあたって不安があるなら、ケアマネジャーやデイサービス職員に相談してみることをおすすめします。
利用者が無理なく通所できるよう、可能な限り対応してくれるはずです。気になることや心配事がある場合は、遠慮せず相談してみましょう。
デイサービスは本人にとっても家族にとってもメリットが多いっポ。
外に出たい人、友人を作りたい人、入浴に不安を感じる人にとって便利なだけでなく、家族の介護負担を減らすこともできるから、在宅介護をするなら利用を検討したいサービスだよね!
*自治体や事業所により、ここで説明した内容と異なる場合があります。詳細に関しては、必ず各自治体・事業所にお問い合わせください。
著者:柴田 まみ
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