地域包括支援センターにはどんな役割があるのか、簡単に知りたいわ。
利用対象者や働く職員、よくある相談内容など、地域包括支援センターについてわかりやすく解説するから安心するっポ!
「地域包括支援センター」って名前だけじゃ、どんな施設かわからないわね。
じゃあ、ちゃんとわかりやすく説明するっポ!
市町村の広報誌や役場の掲示板でも目にすることの多い「地域包括支援センター」とは、各自治体によって管理される高齢者のためのサポートセンターです。
人口2~3万人の日常生活圏域に1箇所程度設置され、2022年4月時点で全国5,404カ所、支所も入れると7,409カ所あります。
地域包括支援センターは、その地域に住む65歳以上の高齢者や、高齢者に関わる人なら誰でも利用できます。高齢者の「何でも相談窓口」といってもよいでしょう。
具体的には、「要介護認定を受けたい」や「介護予防サービスを利用したい」、「財産管理が不安」など、高齢者本人からの相談はもちろん、「離れて住む親が心配」という遠方に住む子どもからの相談にも対応します。
その他、「近所に住む一人暮らしのお年寄りが認知症かも」といった近隣住民からの相談も可能です。
地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)などの専門資格者が在籍しています。
無料で相談に応じ、相談内容によって医療機関や福祉サービスの利用に結びつけたり、市町村と連携をとり適切な窓口につないだりするのが仕事です。
なかには、「地域包括支援センターなんて聞いたことがない」と思った人もいるかもしれませんが、地域包括支援センターの名称は各自治体に任されているため、実際の呼び名が異なる場合もあります。
地域によって「高齢者支援総合センター」や「シニアサポートセンター」、「あんしんすこやかセンター」など、さまざまな名前がつけられているので確認が必要です。
お住まいの地域にある地域包括支援センターを探すには、インターネットで「住んでいる地名×地域包括支援センター」で検索するか、市町村役場の高齢福祉課に問い合わせてみるとよいでしょう。
私ももう高齢だし、地域包括支援センターが何をしてくれるのを詳しく知りたいわ。
それじゃあ、主な4つの役割を紹介するっポ。
高齢者の何でも相談窓口である地域包括支援センターの業務は、主に以下の4つです。
1つ目は、高齢者本人からの相談はもちろん、家族や近所の人から高齢者に関する相談を受け、適切な窓口につなぐ「総合相談支援」です。
要介護認定の申請を始め、認知症や身体機能の低下に対する不安などありとあらゆる相談に対応します。
電話や窓口だけでなく、利用者の状況によっては職員の自宅訪問による相談も可能です。職員は相談内容を聞いたうえで今後どのように対処すべきかを検討し、実際のサービスに結びつけます。
もし、遠方に住んでいる高齢の親が心配で相談したい場合は、親の住居地にある地域包括支援センターに連絡しましょう。
必要に応じて地域包括支援センターの職員が親の家を訪問し、状況を把握したのちに適切な対応を行います。
2つ目は、高齢者の人権や財産などを守る「権利擁護」です。
高齢者本人からの相談だけでなく、家族や近隣住民からの相談にも応じます。
たとえば、高齢者への虐待が発覚した場合は、被害を受ける高齢者を施設へ措置入所させたり、介護者の心のケアを行ったりするなどし、再発防止に努めるのも地域包括支援センターの仕事です。
また、悪質な訪問販売や詐欺などから高齢者を守るために成年後見制度の活用を支援したり、実際に被害に遭った場合は被害者に代わって警察や消費者センターへ連絡や報告をしたりもします。
3つ目は、地域のケアマネジャーをサポートするために他機関との連携を図ったり、情報交換会などを開催したりする「包括的・継続的ケアマネジメント支援」です。
高齢者がサービスを利用する際に必要なケアプラン作成やケアマネジメント過程のチェックなどを行います。
対応の難しい事案を抱えるケアマネジャーの相談にのったり、さまざまな機関との連携を強めたりすることで、高齢者が暮らしやすい地域を目指します。
4つ目は、要介護状態になり得る高齢者を対象にした「介護予防ケアマネジメント」です。
要支援の認定を受けた高齢者が介護予防サービスを利用するための介護予防ケアプランの作成や、保健所等で行う介護予防体操などのマネジメントを行います。
住み慣れた自宅でできる限り自立した生活を継続できるよう、介護予防の観点から高齢者をサポートします。
地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置されているんだっポ。
いろんな職種の人がいるのね。資格を持った人が働いているなら安心だわ。
地域包括支援センターの職員は、それぞれが保有する資格の特性を生かした役割が与えられています。
保健師は、要支援や要介護になりそうな高齢者を対象に介護予防に役立つ情報の提供を行ったり、介護予防の体操教室を開催したりして、利用者が自立した生活を継続できるよう支援します。
保健師は看護師資格を保有し病気や身体機能の低下等の相談にも対応できるため、相談内容によっては医療機関や適切な福祉サービスを紹介するのも役割のひとつです。
社会福祉士は、高齢者が抱える福祉に関わるすべての相談に対応する専門家です。
相談内容に合わせて適切な窓口に案内し、必要な制度やサービスにつなげるために尽力します。
利用者の権利擁護のために市町村と連携を取るなどし、状況に応じてさまざまな支援を行います。
主任ケアマネジャーは、その地域の居宅支援事業所に勤務するケアマネジャーに助言したり、各事業所のネットワークをつなげたりして、利用者への支援が円滑に行えるようサポートします。
いわば、地域のケアマネジャーたちのまとめ役といえるでしょう。
主任ケアマネジャーが開催する情報交換会では、困難な事例に対してケアマネジャー同士が意見を出し合って検討を重ねることで、担当ケアマネジャーが孤立しないシステムを構築しています。
地域包括支援センターの役割はだいたいわかったけど、実際にはどんな相談があるのかしら?
こんな悩みが寄せられてるっポ。
地域包括支援センターには、高齢者やその家族からさまざまな相談があります。
なかでも多いのが、一人暮らしに対する不安です。一人暮らしをする高齢者本人からだけでなく、遠方に住む子どもからの相談も多数寄せられます。
「今は元気だけれど、今後が心配」という漠然とした内容でも遠慮はいりません。
今の率直な気持ちを相談することで必要なサービスを受けられ、さらには今後の暮らし方を見直す良い機会にもなるのです。
「家族が認知症になってしまった」、「最近、物忘れがひどい気がする」など、認知症に関する相談も少なくありません。
この場合は要介護認定の申請のほか、医療機関や福祉サービスへのアプローチなど、認知症の進行を遅らせるための適切なケアに結びつけます。
具体的には、デイサービスへの通所や見守りサービス等の利用の検討が挙げられます。
身体機能の低下により生活に困っているといった内容の相談も多いです。
リハビリの検討や、利用者の自立を促し介護者の負担軽減を図る福祉用具のレンタル、住宅改修(介護リフォーム)などさまざまな方法を提案し、自立した生活を継続するための支援を行います。
認知症や身体機能の低下は、早期に対処することによって進行を遅らせ介護予防につなげられるので、早めの相談がカギとなるでしょう。
毎日の食事を作るのが大変といった相談も多く、そのような人には自宅に食事を配達するサービスを紹介することもあります。
地域によっては配食ボランティアを実施しているところもあるので、相談した結果、早期に解決することも少なくありません。
介護をする家族から「介護が辛い」という相談が寄せられることも多いです。
そのような家族を対象とした介護教室やおしゃべりサロンを開催している地域も珍しくありません。
同じ悩みを抱える家族同士が話をすることで気持ちが落ち着いたり、前向きになったりする効果が期待できます。
地域包括支援センターは、介護が必要になってからじゃなくて、介護が必要になる前からの利用をおすすめするよ。
なぜなら、介護予防を目的とした取り組みにも力を入れているからだっポ。
「こんなことを相談してもいいのかな」といった小さな相談にも専門家が対応してくれるんだ。困ったときには、高齢者の何でも相談窓口、地域包括支援センターを気軽に利用してみるっポ!
著者:柴田 まみ
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