100歳でも元気に歩き、畑仕事もなんなくこなす訪問介護の利用者さん。元気なのは体だけでなく、頭の回転も早いようです。
そんな100歳の高齢者もあるときだけは耳が遠くなるようで……?
介護の仕事をしているとつくづく思います。「長生きってほんとに難しい」と。
誰もが自分のため、家族のために長生きしたいと思うものですが、その道はけっこう険しいんです。
私がヘルパーとしてお世話させていただいた高齢者の中には、若いころから健康に気遣っている方が大勢いらっしゃいました。
運動をし、食に気を遣い、ストレスを溜めないために余暇も楽しむ。
さまざまな健康法をいくつも試し、自分は健康そのものと自負されていても、それでもがんや脳梗塞を発症してしまうのです。
そんな高齢者をたくさん見てきたので、元気なご長寿の方を前にするとまるで奇跡を見ているかのような気持ちになります。
私が担当する利用者さんのひとりは、御年百歳。当訪問介護事業所内でもっとも高齢の利用者さんです。
その方が特にすごいのは、独歩、つまり杖や押し車といった支えがなくてもシャキシャキ1人で歩けるところです。
農家の生まれで足腰が強く、歩行はかなり安定しているので、おひとりで隣町まで買い物に行かれます。
食べ物に好き嫌いはなく何でも食べ、自分の歯でお肉を食べることだって簡単です。
それに100歳という高齢にも関わらず、昔の記憶だけでなく最近の出来事までしっかり覚えています。
家族との思い出話はもちろんのこと、会社勤めだった頃のエピソードから今日公園で見かけた散歩中の犬と飼い主の話まで、何でもしっかり話してくださいます。
近所に親族が暮らしているので孫やひ孫が電話をかけてきたり、ときにはお小遣い欲しさに会いに来たりするのですが、「元気だから会いに来なくてもいい」「小遣い?お前にはお年玉に○○円渡しただろう」などといって追い払うほどお元気。
いつお会いしても、こんなふうに歳をとりたいと思ってしまう利用者さんです。
漫画・コラム:藤木 なみき
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