訪問介護のヘルパーは、高齢者の自宅で不思議なものをしばしば発見します。
あるときからキッチンに置かれていた段ボール。訪問するたびにある変化が……。
さすがに気になったヘルパーが聞いてみると?
高齢者はたくさん食べない印象があるかもしれませんが、そんなことはありません。
以前、介護施設に勤務していたときには、毎食ごはんをおかわりする方もいらっしゃいましたし、若者顔負けの食欲を持った高齢者は意外とたくさんいるんです。
私がヘルパーとして担当しているお一人暮らしの女性利用者さんもその一人。
とっても小柄なのにたくさん召し上がられるようで、買い物の支援の際には10キロのお米を頼まれることもあります。
ステーキや大盛レトルトカレー、3人分のお惣菜を購入希望されることも多々ありました。
そんな食欲旺盛な利用者さんのキッチンに、あるときから大きな段ボールが置かれていました。
一体なんだろう……キッチンにあるのだから、何か食べ物?食欲のある方だから非常食もたくさん用意しているのかな?などと思っていたのですが、その段ボール、毎週ヘルプに入るごとにだんだんと大きく膨らんでいくのです。
ついにはちきれんばかりにパンパンに膨れ上がっていたので、勇気を出して利用者さんに聞いてみました。
「これ、一体何が入っているんですか?」
すると利用者さんは「あはは」と笑って、「これは全部サツマイモよ」と、言いながら段ボールを開けてくださいました。
すると中から多量のサツマイモが。しかもひとつひとつとっても立派で、おいしそうです。
利用者さんは「娘が送ってきてくれるのよ」と話されました。
聞くと利用者さんはサツマイモが大好き。娘さんもそれをご存知で、次々とたくさん送ってくれるんだそう。
届いたサツマイモはひとつの段ボールにまとめていたので、遂には入りきらないほどパンパンになってしまったとのことでした。
「でもね、食べるだけ、焼くだけ、チンするだけのおかずならいいんだけど……包丁持ってサツマイモを切るのとか、目が悪くなってからは嫌になっちゃってね」「それで放置しちゃってたの」。
どおりで一部のサツマイモはだいぶ成長が進んでいましたが……(笑)。大きく膨らんだ段ボールは娘さんの愛情で膨らんでいたのです。
一人暮らしの母親を思う気持ち。私も見習わなければと感心しました。
漫画・コラム:藤木 なみき
こちらもおすすめ
新着記事