【介護の用語集】知っておきたい介護の用語をわかりやすく解説!

介護の用語は「あ行」から順番に並んでるっポ。
目次から知りたい行に飛んで調べてね!

あ行

アセスメント

日本語では評価や査定と訳され、課題分析のことを指す。利用者の心身の状況や環境などを把握し、利用者が抱える生活上の問題点や課題(ニーズ)を明らかにすること。
ケアマネジャーケアプランを作成するために必要な課程であり、「介護サービスの始まり」ともいえる。

アドボカシー

日本語で代弁の意味をもつ言葉。自己の権利やニーズを伝えることが困難な高齢者や障害者などに代わって、援助者が代理で権利やニーズを獲得することをいう。
高齢者や障害者の権利擁護の観点から見ても重要といえる。

安否確認

一人暮らしをする高齢者や老老介護など、人の目が届きにくい状態にある高齢者の生存や安全を確かめること。
介護従事者による定期的な訪問や、郵便配達員・新聞配達員といった民間事業者の見守りなど、地域で高齢者を支える仕組みを進める自治体も多い。

胃ろう

手術で腹部に穴を開け、胃に水分や栄養剤を直接注入する医療措置のこと。
病気や障害、加齢によって食事を口からとれない人が衰弱しないよう、栄養補給のために行う。

ADL

ADLはActivities of Daily Livingの略で、日常基本動作のこと。食事・排泄・入浴・整容・更衣・移動など、人間が生活を送るうえで必要な基本動作や、コミュニケーション・睡眠などを指す。
高齢者・障害者の身体機能や日常生活レベルを示す指標として使われている。

嚥下障害

飲食物がうまく飲み込めず、むせたり、食道でつかえたりする障害のこと。咀嚼機能障害ともいう。
脳卒中の後遺症がある人や認知症の高齢者、寝たきりの高齢者などに多い。高齢者の場合は、誤嚥性肺炎で亡くなる人も多いため注意が必要。

音楽療法

音楽活動を通して、心身の状態回復や、維持、向上を目指す心理療法のこと。楽器を演奏したり、音楽を聴いたり、歌を歌ったりといった音楽活動は、生活の質の向上にもつながるといわれている。
音楽療法の対象者は、障害の有無や年齢、性別を問わない。

か行

介護支援専門員(ケアマネジャー)

利用者が適切な介護保険サービスを受けられるよう、自治体やサービス事業者といった各分野の人と連絡調整などをする職種のこと。
利用者の相談対応や、ケアプラン(サービス計画書)の作成などを行う。高いコミュニケーション能力が求められる。

介護福祉士

介護専門職の国家資格。一人ひとりの高齢者・障害者に寄り添った介護を行うために、介護の技術や知識を得ている人。
資格を取得するには、介護福祉士養成施設の卒業もしくは介護現場で経験を積み、介護福祉士国家試験に合格する必要がある。

介護保険制度

高齢者を社会全体で支える社会保険の1つ(介護保険の他には、医療保険・年金保険・雇用保険・労災保険がある)。
措置の時代とは異なり、利用者自身がサービスを選択でき、サービスを使った分だけ費用を支払うシステムを採用している。

介護保険料

市区町村(保険者)が被保険者から徴収する、介護保険事業にかかる保険料のこと。
第1号被保険者(65歳以上)の保険料は所得に応じて設定され、通常は年金から天引きされる。第2号被保険者(40~64歳)の保険料は、医療保険の保険料と一緒に徴収される。

臥位

臥位(がい)とは、人間が寝た状態のこと。基本的な体位のひとつであり、仰向けの「仰臥位(ぎょうがい)」、横向きで寝る「側臥位(そくがい)」、うつぶせ寝の「腹臥位(ふくがい)」がある。
褥瘡(じょくそう)予防のためには、仰臥位と側臥位で交互に寝るなどの体位交換が必要。

QOL

Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)の略で、生活の質や人生の質のことをいう。
医療・福祉には、生活者の暮らしを整えることで、人生の満足感や安定感、幸福感を高めることができる、つまり「QOL向上につながる」という考え方がある。

ケアプラン

介護保険制度における介護サービス計画書のこと。
ケアプランは、介護を必要とする人の心身の状態や生活環境、本人および家族の希望などを踏まえたうえで、ケアマネジャーが作成する。サービス事業者は、ケアプランに沿って介護サービスを提供する。

ケアマネジャー

→介護支援専門員

経管栄養

腹部(胃ろう栄養法)や鼻(経鼻栄養法)からカテーテルを通し、胃や腸に直接、栄養剤を注入する医療処置のこと。
病気や障害、加齢などによって、口から食事がとれなくなった人を対象としている。

傾聴

傾聴(けいちょう)とは、相手の話をじっくり丁寧に聴くこと、または心で相手の話を聴くこと。心理学分野におけるコミュニケーションスキルの手法のひとつ。
カウンセリングやボランティアでも傾聴は使われている。介護現場においても、利用者の話を傾聴する姿勢は大切。

健康寿命

病気や障害といった健康上の問題がなく、日常生活が制限なく送れる期間のこと。日本では、介護を必要とする期間が平均して10年ほどあり、健康寿命と平均寿命の差が大きい。
健康寿命を延ばすためには、介護予防が重要となる。

言語聴覚士(ST)

発話や聞こえ、嚥下などに問題を抱える人を支援する専門職。ST(Speech Therapist)ともいい、リハビリテーション職のひとつである。
専門的立場から検査・評価・訓練・指導などを行い、コミュニケーション能力などの回復や支援を行う国家資格。

拘縮

拘縮(こうしゅく)とは、関節が固まって動く範囲が狭くなった状態。
身体を動かさない状態が続くと起こりやすいため、ストレッチや体操などで可動域を広げ、予防することが大切。拘縮が起きると関節の痛みや動きづらさが生じるため、日常生活に支障をきたす。

誤嚥

誤嚥(ごえん)とは、食道に入るべき飲食物や唾液などが、誤って気管に入ってしまうこと。一度胃に入った飲食物が、逆流し気管に入ってしまうケースもある。
むせたり、咳をしたりすると起こりやすく、誤嚥性肺炎の原因になるため注意が必要。誤嚥予防には、嚥下体操が有効。

骨粗鬆症

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨量・骨密度が減少し、骨の強度が弱まった状態のこと。
閉経後の女性に多く、高齢化に伴ってその患者数は増加傾向にある。股関節、手首、脊椎などが骨折しやすい。軽度の力でも骨折しやすくなるため、転倒には特に注意が必要。

さ行

サービス提供責任者

訪問介護(ホームヘルプサービス)事業所で重要な役割を担う人。介護福祉士などの資格が必要。
適切な介護サービスを利用者に提供すべく、ケアマネジャーと連携しながら、アセスメントや利用者面接、カンファレンスなどを行う。また、ホームヘルパーの指導も行う。

作業療法士(OT)

一人ひとりに合った作業を通して、利用者の訓練をサポートする職種。Occupational Therapistを略してOTともいい、国家資格である。
心身に障害のある人を対象にリハビリテーションを行い、利用者の社会復帰や日常生活動作の再獲得などを目指す。

社会福祉士

社会福祉の専門職。身体や精神、または環境に障害を抱える人を対象に、社会福祉の専門的知識および技術をもって、主に助言、指導、援助を行う国家資格。
介護保険制度においては、地域包括支援センターで必要とされている。

褥瘡(床ずれ)

褥瘡(じょくそう)とは、持続的な圧迫によって、皮膚と皮膚組織が壊死すること。自分で寝返りを打てない寝たきりの人に多い。
皮膚の循環障害が原因となるため、1~2時間毎に体位交換をしたり、まめにおむつを替えたりするといった予防対策が必要となる。

人工肛門

→ストーマ

身体拘束

介護施設などで利用者の行動を制限する行為のこと。たとえば、紐を使って車椅子やベッドに縛り付ける、過剰な薬剤投与、おむつを外さないよう特別な衣服で動作を制限することなどが挙げられる。
身体拘束は利用者に大きな弊害をもたらすため、原則禁止としている。

ストーマ(人工肛門)

腹部に造設された排泄口のこと。人工肛門とも呼ばれる。腸や膀胱の疾患によって肛門や尿道が使えなくなった人が、排泄するために装着する。
介護施設などでは利用者のQOL保持のためにも適切なケアが必要。ストーマを造設した人を「オストメイト」と呼ぶ。

生活相談員

介護にまつわる利用者の相談、援助をする職種。ケアマネジャーや他職種の人との連絡調整、担当者会議への出席なども行う。介護施設やデイサービス、ショートステイなどに配置される。
社会福祉主事任用資格もしくは同等以上の能力が必要。

生活保護

経済的に困窮する国民の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を促す公的扶助制度のこと。
生活保護は、さまざまな理由で働くことができない人や世帯収入が極端に少ない人など、資産や能力をフルに活用しても生活に困窮している人を対象としている。

清拭

清拭(せいしき)とは、温めたタオルで身体を拭くこと。入浴やシャワー浴ができない人の全身を拭く「全身清拭」と、身体の一部を拭く「部分清拭」がある。
清潔保持だけでなく、新陳代謝や血液循環の促進、リラックス効果や気分転換などの効果にも期待できる。

成年後見制度

判断能力が不十分な人の財産管理・身上保護・権利擁護を後見人が行う制度のこと。つまり、自身での判断が難しい人を不当な契約などから守る制度である。
ここでいう判断が不十分な人とは、認知症の高齢者や精神障害者、知的障害者などをいう。

せん妄

一時的な精神状態の異常によって幻覚や幻聴が起きたり、状況が理解できなくなったりすること。入院したときや病気が悪化したとき、認知症の症状、薬の副作用などに多く見られる。
原因によって、夜間せん妄・入院せん妄・術後せん妄などに分類される。

ソーシャルワーカー

経済的・心理的・社会的問題を抱える人を、社会福祉の立場から支援する専門職。精神保健福祉士や社会福祉士といった相談業務を担う職種を指すことが多い。
職場によっては「生活相談員」や「医療ソーシャルワーカー」と呼ばれることもある。

た行

ターミナルケア

病気で余命がわずかになった人に行う、医療・看護・介護ケアのこと。積極的な治療はせず、痛みや不安、ストレスを緩和するケアを優先的に行う。
残された時間を充実させられるよう、 患者のQOL(生活の質)を保つことを目的としている。

地域包括ケアシステム

高齢者が住み慣れた地域で自分らしく生活できるよう、地域全体で支える体制のこと。
介護保険制度と医療保険制度の両方から高齢者をサポートし、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される体制を目指している。

地域包括支援センター

各市町村に設置される、地域で暮らす高齢者の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを行う機関のこと。「包括」などとも呼ばれる。
地域包括支援センターには、主任ケアマネジャー・保健師・社会福祉士が配置されている。

特定施設入居者生活介護

特定施設の利用者に対する日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のこと。
特定施設とは、有料老人ホームや軽費老人ホーム(ケアハウス)、養護老人ホームなどを指す。施設によっては医療処置を受けることも可能。

床ずれ

→褥瘡

な行

認知症

脳の病気や障害などによって認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態のこと。加齢による物忘れとは異なり、物事全体がすっぽりと抜け落ちるといった症状が出る。
認知症のなかでも、アルツハイマー型認知症がもっとも多い。高齢化が進む日本では患者が増加している。

ノーマライゼーション

「障害者も、健常者と同様の生活ができるよう支援すべき」といった考え方。また「障害者と健常者が区別されることのない社会が望ましい」という考え。
1950年代、北欧諸国から始まった社会理念のひとつである。

は行

徘徊

認知症の人が、家の外に出てうろうろと歩き回る行動のこと。
認知症の「周辺症状」と呼ばれる症状のひとつで、行方不明や転倒によるケガ、脱水症状、熱中症などさまざまな危険を伴う。警察などに保護されるケースも多く、社会問題化している。

バリアフリー

高齢者や障害者が社会参加するうえでの障壁(バリア)をなくすこと。生活の支障となる物理的な障害、および精神的な障壁などを取り除くための状態や施策を指す用語でもある。
多様な人を思いやる「心のバリアフリー」という使い方もある。

福祉用具専門相談員

加齢や病気、障害によって福祉用具を使用する人に対し、一人ひとりのニーズに合った福祉用具の選び方や使い方のアドバイスを行う専門職のこと。
福祉用具専門相談員は、福祉用具専門相談員指定講習を修了した人でないと従事できない。

フレイル

加齢によって心身が衰え、社会とのつながりが減った状態のこと。「Frailty(虚弱)」が語源。
身体的機能の衰え、精神的脆弱、社会性低下などが生じ、要支援・要介護の前段階の状態ともいわれている。フレイルの時期を経て要介護状態に陥る高齢者も多い。

プライマリケア

何でも相談にのってくれる総合的な医療のこと。緊急対応から健康診断の相談までを幅広く行う身近な医療であるため「あらゆる医療の入り口」といえる。
プライマリケアには、相談しやすく受診しやすいメリットがある。

ホームヘルパー(訪問介護員)

利用者の自宅を訪問し、介護サービスを提供する介護職員のこと。
サービスの提供内容には、買い物や洗濯、調理などの生活援助と、入浴介助や排泄介助などの身体介護がある。ケアプランに沿って、利用者の在宅生活をサポートする。

訪問介護員

→ホームヘルパー

ま行

モニタリング

提供されている介護サービスが、利用者やその家族のニーズに合っているかを定期的に確認すること。
ケアマネジャーが本人や家族、サービス事業者に介護サービスの利用状況についての聞き取りをし、サービスが適切かどうかをチェックする。

や行

有料老人ホーム

高齢者に配慮した住まいのこと。
施設の介護スタッフによる介護を受ける「介護付き有料老人ホーム」と、外部の事業者と契約して介護を受ける「住宅型有料老人ホーム」、要介護者になったら退去しなくてはならない「健康型有料老人ホーム」の3つのタイプがある。

ユマニチュード

認知症の人と良好な人間関係を築き、認知力向上を目指すためのケア・コミュニケーション技法のこと。主に認知能力が低下した高齢者や、認知症の人を対象とする。
見る・話す・触れるといったケア方法に、筋力低下や骨粗鬆症の進行を防ぐケア方法「立つ」を加えるのが特徴。

要介護認定

介護を必要とするレベルを客観的に判断し、数字で表したもの。要支援1・2、要介護1~5までの7段階に分けられる。
要介護認定調査では、身体機能、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応度を介護認定調査員がチェックし、保健医療福祉の学識経験者等が判定する。

ら行

理学療法士(PT)

運動や物理的な方法で治療を行う国家資格のこと。Physical Therapist(PT)とも呼ばれる。作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、視能訓練士(ORT)と同じリハビリテーション職のひとつ。
「立つ・歩く・座る」といった日常生活における基本動作の再獲得を目標としている。

リビング・ウィル

日本語で「生前の意思」という意味をもつ言葉。主に、尊厳死や葬儀の方法、終末期医療の希望や臓器提供の可否などに対する意思表示が対象となる。
また、それを記録した「遺言書」をリビング・ウィルと呼ぶこともある。

レクリエーション

娯楽として自由時間に行われる余暇活動のこと。略して「レク」とも呼ばれる。
高齢者施設で行われるレクリエーションには、身体機能の維持・向上を目的とするリハビリテーションとしての一面もある。また、生きがいにつながるケースもある。

レスパイトケア

介護者の休息を目的とした支援のこと。直訳すると一時中断、息抜き、休息の意味をもつ。
介護施設に宿泊するショートステイや、通所するデイサービスなどを要介護者が利用することによって、家族に「介護から離れる時間」ができる。

老老介護

65歳以上の高齢者が、高齢者の介護をする状況のこと。要介護者も介護者も高齢者であること。
たとえば、高齢者同士の夫婦、高齢者同士の親子、高齢者同士の兄弟などの介護が挙げられる。高齢化が深刻化する日本において、老老介護は増加傾向にある。

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著者:柴田 まみ

介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉主事任用資格保有
特別養護老人ホームのユニットリーダーや、デイサービスの生活相談員に従事し高齢者福祉に携わる。特にデイサービスでは、介護をするご家族とのやり取りから在宅介護の難しさを実感。現場での経験を活かし、現在、介護関連の記事を執筆中。できるだけわかりやすい言葉を使って、介護の知識がない人でも理解しやすい文章を心がけている。座右の銘は、継続は力なり!

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