介護保険料を滞納するとどうなる?滞納時の流れやデメリット

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はーとん

介護保険料は必ず支払うべきものだけど、もし滞納したらどうなっちゃうのかな?

介護保険のお金の仕組み

介護保険料を滞納したらどうなるのか、その解説をする前に、介護保険の財源と仕組みについて簡単に説明しておきましょう。

介護保険制度の財源は、税金50%と、国民が納めた介護保険料50%の割合で成り立っています。

50%にあたる税金の内訳は介護保険法で決められており、国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%の割合です。

残り50%の財源である介護保険料は40歳以上の国民が支払う保険料で、第一号被保険者(65歳以上)と第二号被保険者(40~64歳)では、その割合が異なります。

第一号被保険者(65歳以上):23%
第二号被保険者(40~64歳):27%

この割合は3年に1回見直しがされており、上記は2021年から2023年の3年間の割合です。

また、実際に介護保険サービスを利用するときには、以下のような流れになります。

介護保険の仕組み

介護保険料の納め方

介護保険料は40歳以上の日本国民に支払う義務があります。介護保険制度の財源50%は国民が納めた介護保険料であり、制度を維持するためにはこの財源の確保が必要不可欠だからです。

介護保険料は、65歳以上の第一号被保険者と、40~64歳までの第二号被保険者とで支払い方法が違います。

第一号被保険者(65歳以上):原則年金からの天引き
第二号被保険者(40~64歳):医療保険料と一緒に徴収

第二号被保険者の保険料は、加入している医療保険によって異なります。

介護保険料を滞納すると督促・催告がある

介護保険料を滞納すると、段階的に督促や催告があります。

督促状や催告書が送付

支払期限が過ぎても介護保険料が支払われていない場合は、まず督促状や催告書が届きます。期限が過ぎると延滞金が、督促状が発送されると督促手数料が発生します。

電話による納付催告

督促状や催告書が送付されてもまだ支払いが確認できない場合には、担当部署の職員や自治体が提携する専門のオペレーターから電話がかかってきます。
電話で納付催告がされている間も延滞金は発生しているため、支払いが遅くなればそれだけ多くの金額を支払わなければなりません。

訪問による納付催告および集金

電話による納付催告のあとも介護保険料が支払われていなかったり、電話しても連絡がつかなかったりした場合には、委託された民間事業者などが自宅に直接訪問して支払いを求めることもあります。

財産の差し押さえ

繰り返しの催促に応じてもらえない場合には、法令に定められた滞納処分として、預貯金や不動産、車などの財産が差し押さえられることもあります。

介護保険の滞納が続くと、さまざまなデメリットが

介護保険料の滞納が一定期間続くと、支払い方法や自己負担割合の変更があるなど、滞納期間に応じて通常とは異なる措置がされます。

1年以上の滞納

介護保険サービスを利用すると、通常は収入に応じて決められた自己負担割合(1~3割)の金額を事業者に払います。しかし介護保険料を1年以上滞納している人は、いったん全額を事業者に支払う償還払いという方法がとられます。

償還払いで全額を支払いますが、後日領収書等を自治体の担当窓口に持参すれば、保険給付分の受け取りが可能です。

例えば、10万円を滞納した1割負担の人の場合なら、10万円を全額支払ったのちに申請により9万円の払い戻しを受けることができます。

1年6カ月以上の滞納

介護保険料を1年6カ月以上滞納すると、後日受けられる償還払いの保険給付分がいったん差し止められてしまいます。
もし滞納が続けば、差し止められた保険給付分の全額もしくは一部が、滞納している介護保険料に充てられることがあります。

2年以上の滞納

介護保険料を支払わずに2年経ってしまうと、時効となって過去の分を支払うことができません。介護保険サービスを利用する際には、未納期間に応じて通常よりも自己負担割合が高くなります。
具体的には、1・2割の人なら3割に、3割の人なら4割です。

また、この措置がとられている間は、高額介護サービス費や施設入所の際の居住費、食事の減額制度を利用できなくなります。
なお、時効以前に分割して納付すると誓約している場合には、この限りではありません。

介護保険料の納付は、配偶者や世帯主にも連帯責任が

介護保険料の支払い義務は本人だけではありません。未納時には、配偶者や世帯主にも支払いの義務が生じます。

そのため、介護保険料を滞納すると、配偶者や世帯主に保険料の請求がされたり滞納処分がされる可能性もあります。
介護保険料の滞納は、身近な人にも迷惑がかかる行為であることを肝に銘じておきましょう。

介護保険料の支払いが困難なときは

介護保険料を支払いたくても、さまざまな理由から費用の捻出が難しいケースもあるでしょう。支払いが難しいときには、自治体の担当窓口に早めに相談してみてください。場合によっては分割納付などの相談に応じてもらえます。

水害や火災などの災害にあった場合や長期入院、失業など、特別な理由があれば減免や徴収猶予の対象になることもあります。減免などの条件は自治体によって違うので、相談の際に確認するようにしてください。

どのような場合でも、支払えないと思った時点で相談することが大切です。そのままにしておくと支払う意思がないと判断され、一度に支払う金額が大きくなることも少なくありません。

まとめ

介護保険料は、介護保険制度を維持するうえで必要不可欠なお金です。「いまは元気だし介護保険サービスを利用するつもりもないから」と支払わずにいると、将来困ることになります。
介護保険料の支払いは国民の義務ですから、期限内に支払うことが大切です。

もし支払いが難しくなったら、自治体の担当窓口に必ず相談しましょう。減免や徴収猶予、分割での支払いに応じてもらえることがあります。
支払いが滞ると、最悪の場合は財産を差し押さえられるなどの措置がされる可能性もあるので、早めの対処を心掛けてください。

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著者:中村 楓

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著者:中村 楓

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介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修修了
現役介護福祉士の介護コラムニスト。介護療養型医療施設(現:介護医療院)を含む病院やデイケア、デイサービスなど、入所から在宅までさまざまな現場を経験。介護職員や介護認定調査員の経験を経て、現在は相談員として勤務。介護の未来を明るくしたいという想いから、現場感あふれる記事を誰にでもわかる表現で執筆中。

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