「私のサイフ盗ったでしょ!」高齢者の“物盗られ妄想”にヘルパーがとった対応とは【介護漫画】

認知症の方を介護するご家族なら“物盗られ妄想”に悩んだことが一度や二度じゃないかもしれませんが、訪問介護のヘルパーも同様です。
「私のサイフ盗ったでしょ!」と責められたヘルパーのとった対応とは?

「盗んでないのに困ったな…」

訪問介護の利用者さんのなかには、認知症を患っている方もいらっしゃいます。
認知症が進むと、物忘れが頻繁になったり不安が強くなったりと、落ち着きがなくなる方も少なくありません。

毎日、「あれがない」「これがない」と探している方も多く、そうしているうちに金銭に関する重要なもの(現金・通帳・銀行印・株券・債券など)がないといった訴えも増えてきます。

このような、認知症の方の「○○がなくなっている!」「泥棒がいる」といった訴えを総じて「物盗られ妄想」といいます。

そのようなとき、とくにヘルパーは「お金がない!」「あなたが盗ったの?」と怪しまれがち。毎日会う家族の顔は認識できても、週1回のヘルパーの存在はなかなか認識してもらえないみたいです。

よく知らない人がずかずかと家に入ってくる……「さては泥棒!?」といった認識なのかもしれません。
病気のせいで理解できなくなっているのですから仕方ありませんね。

もし「泥棒!」などと言われたら、本人が言っていることが間違っていても、まずは現実に起こっていることのように受け止めてあげてください。

例えば、「お金がない」と言われたら「そうですか」「不安ですね」「一緒に探しましょう」と返します。
また、「あなたが泥棒ね」と言われたら、泥棒がいるという事実は受けとめて(もちろん実際には泥棒ではない)、「怖いんですね」と寄り添いましょう。

「お金は家族が持っていますよ」「何回言ったらわかるんですか!」などと言っては余計混乱してしまいます。認知症の方はその「何回」が脳内でカウントされていないので、さらに事情が複雑になってしまうんです。

認知症になる前のご本人を知っていると、ご家族なら「なんで?しっかりしてよ」と泣きたいような気持になるかもしれません。でも認知症は特効薬のない病気なんです。

怒りたくなったらちょっと深呼吸して、認知症という病気を理解したうえで対応することをおすすめします。

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漫画・コラム:藤木 なみき

介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修修了、介護予防運動指導員、ビューティータッチセラピスト
2003年より出産・育児をしながら介護職員として働く。訪問介護、デイサービス、デイケア、グループホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、これまで多数の居宅サービス、施設サービスを経験。現在はホームヘルパーとして働きながら、さまざまな職場での実体験をもとに介護関連のイラストや漫画を作成する。

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