寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)とは?ランクや判定基準を解説

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)とは?ランクや判定基準を解説寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)とは?ランクや判定基準を解説

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)は、高齢者の自立度を判断するための評価です。要介護認定調査やケアプランの作成などで活用されています。
この記事では、寝たきり度や認知症高齢者の日常生活自立度、寝たきりで使える介護保険サービスの内容などについて解説します。

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)とは

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寝たきり度の区分は、生活自立・準寝たきり・寝たきりの3つだっポ。

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)とは、高齢者が日常生活でどれくらい自立できているかを判定する評価のことです。要介護認定での調査や介護の計画書であるケアプランの作成などで活用されます。

なんらかの障害をもつ高齢者が対象で、障害を持たない健常高齢者は対象外となります。
判定基準は3つの区分・4つのランクに分かれており、もっとも高い2つのランクが寝たきりの状態です。

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)と似た意味でADL(日常生活動作)という用語がありますが、ADLは着替え・排泄・入浴・食事などの日常生活で行う基本的な動作を表しています。
ADLでの評価は、主に介護やリハビリテーション、医療機関での計画立案・判断で使われています。

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)の判定基準

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寝たきり度のランクを詳しく解説するっポ。

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)は以下の3つの区分・4つのランクに分けられます。

区分 ランク 状態
生活自立  ランクJ なんらかの障害等はあるが、日常生活はほぼ自立。自分の力で外出する
1.交通機関等を利用して外出する
2.隣近所へなら外出する
準寝たきり ランクA 屋内での生活はほぼ自立しているが、介助なしには外出しない
1.介助ありで外出する。日中はベッドから離れて生活することが多い
2.外出の頻度が少ない。日中は寝たり起きたりの生活をしている
寝たきり ランクB 屋内での生活はなんらかの介助が必要。日中は主にベッドの上で過ごすが、座位を保っている
1.車椅子に移乗し、ベッドから離れて食事や排泄をする
2.車椅子への移乗に介助が必要
ランクC 1日中ベッドの上で過ごす。排泄、食事、着替えに介助が必要
1.寝返りを自力でうつ
2.寝返りを自力でうてない

出典:厚生労働省「要介護認定認定調査員テキスト2009改訂版

ランクB、Cは寝たきりで、1日の大半をベッドの上で過ごしている状態を指します。

この判定基準は、保健師やケアマネジャーなどが、高齢者の日常生活自立度を客観的に判定するものです。
比較的短時間で判定することも目的のひとつで、時間帯や体調などにより状態が変わるような場合には、約1週間のうちで頻繁に見られる状況や日頃の様子で評価します。
なお、補装具や自助具などの使用があっても判定には影響しません。

ランクごとの詳しい説明は以下の通りです。

ランクJ

「生活自立」に分類されます。なんらかの障害等があるものの、ほぼ自立した日常生活を送れています。加えて、自分1人の力で外出する状態です。
状態により「J-1」と「J-2」に分けられます。

J-1

趣味の集まりや友人との会食、通院など、電車やバスなどの交通機関を利用して積極的に遠方まで外出します。

J-2

老人会への参加や隣近所への買い物など、町内程度の範囲であれば外出します。

ランクA

「準寝たきり」に分類されます。着替え・排泄・食事・留守番などはほぼ自分でできるけれど、近所への外出に介助が必要な状態です。
状態により「A-1」と「A-2」に分けられます。

A-1

寝たり起きたりの状態ですが、着替え・食事・排泄などはベッドから離れてできます。日中のほとんどの時間はベッドから離れて活動し、介護者の介助があれば外出することも多くあります。

A-2

おおむねA-1の状態ですが、介助する介護者がいても外出はほとんどしません。

ランクB

着替え・食事・排泄の日常生活動作のいずれかに部分的な介助が必要となります。加えて、1日の多くをベッドで過ごすけれど座位は保てる状態です。なお、夜間のみおむつを使用するケースでは介助が必要とみなされません。
ランクBは「B-1」と「B-2」に分けられます。

※以下の「車椅子」は、「ポータブルトイレ」や「一般的な椅子」に置き換えることもできます。

B-1

介助なしで車椅子に移乗し、ベッドから離れて排泄や食事をします。

B-2

車椅子の移乗に介助が必要で、排泄や食事にも介助を要します。

ランクC

「寝たきり」に分類されます。ランクBより障害の程度が重く、1日中ベッドの上で過ごし、着替え・排泄・食事に全面的な介助が必要な状態です。
ランクCは「C-1」と「C-2」に分けられます。

C-1

ベッドの上で1日を過ごしますが、自力で寝返りがうてます。

C-2

ベッドの上で1日を過ごし、自力では寝返りをうてません。

認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準

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認知症にも日常生活自立度の判定基準があるっポ。

日常生活自立度には、障害高齢者だけでなく認知症高齢者を対象にした判定基準もあります。認知症の程度をランク分けしたもので、寝たきり度を図る基準ではありません。
活用の場面は医療や介護の現場などさまざまです。

認知症高齢者の日常生活自立度は以下の9つのランクに分けられます。

ランク 判断基準 症状・行動の例
認知症を有しているが、日常生活は家庭内や社会生活でほぼ自立している  
日常生活に支障が出る症状・行動や意思疎通の困難さが多少あるが、誰かの見守りにより自立できる  
Ⅱa 家庭内でも上記Ⅱの状態がみられる ・たびたび道に迷う
・それまでできた買物や金銭管理などでミスが目立つ
Ⅱb 家庭外で上記Ⅱの状態がみられる     ・服薬管理ができない
・電話や訪問者への対応が困難で、1人で留守番ができない
日常生活に支障が出る症状・行動や意思疎通の困難さがあり、介護を必要とする  
Ⅲa 日中を中心に上記Ⅲの状態がみられる ・着替え、食事、排便、排尿が上手にできない、時間がかかる
・やたらに物を口に入れる
・物を拾い集める
・徘徊、失禁がある
・大声や奇声をあげる
・火の不始末や、不潔行為、性的異常行為などがある
Ⅲb  夜間を中心に上記Ⅲの状態がみられる ランクⅢaに同じ
日常生活に支障が出る症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にあり、常時介護を必要とする ランクⅢに同じ
M 著しい精神症状・問題行動や重篤な身体疾患があり、専門医療を必要とする ・せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状がある
・精神症状に起因する問題行動が継続する状態にある

出典:厚生労働省「要介護認定認定調査員テキスト2009改訂版

ランクⅠが社会的にほぼ自立しているもっとも軽い状態で、ランクMが著しい精神症状や問題行動などの重い症状がみられる状態です。

ただし、実際に調査された結果が必ずしも正しいとはいえないケースもあります。たとえば、認知症の方の受け答えにより結果が変わる可能性です。
調査員の前では普段よりしっかり受け答えする高齢者や、逆に緊張でうまく話せない高齢者もいるためです。また、調査員の認知症への理解や経験の違いが影響することもあります。

ランクごとの詳しい説明は以下の通りです。

ランクⅠ

認知症の症状があるものの、自立した日常生活を送れている状態です。家庭内でも社会的にもほぼ自立しているため、一人暮らしもできます。
引き続き自立した生活を継続できるよう、認知症の症状の改善や進行を防ぐような支援が必要とされる段階です。

ランクⅡ

日常生活に支障が出る行動や症状があり意思の疎通が多少困難な状態ですが、周囲の見守りがあれば自立した生活を送れます。
介護サービスなどを利用して在宅生活での支援を受けたり認知症の進行を予防したりして、できる限り自立した生活を継続できるように図ります。

Ⅱa

ランクⅡのなかでも、金銭管理や買い物がうまくできない、道に迷ってしまうなど、家庭の外での日常生生活に支障が出ます。

Ⅱb

電話や訪問者への対応ができないなど留守番が困難です。服薬管理ができないこともあり、家庭内での日常生生活に支障が出ます。

ランクⅢ

日常生活に支障が出る行動・症状、意思の疎通に困難さがあり、介護を必要とする状態です。1人での生活は困難で、在宅生活を継続するには適切な介護サービスの利用が必要になります。
着替えや排泄、食事がうまくできなくなり、徘徊や不潔行為、大声を出すなどの行動が現れることもあるため、介護をする家族の負担も大きくなります。

Ⅲa

主に日中に上記Ⅲの状態がみられます。

Ⅲb

主に夜間に上記Ⅲの状態がみられます。夜間に症状や行動が現れることから、家族の介護負担がより大きくなりがちです。

ランクⅣ

日常生活に支障が出る行動・症状、意思の疎通に困難なことが頻繁にあります。ランクⅢと同じような行動や症状がより多くみられ、常時介護を必要とする状態です。
介護サービスを利用しながら在宅生活を継続することもできますが、目が離せなくなる状態になるため家族の負担はかなり大きくなります。
有料老人ホームや特別養護老人ホームなどへの入居も検討が必要になってきます。

ランクM

重篤な身体疾患や精神症状、問題行動がみられ、専門的な医療が必要な状態です。妄想・せん妄などの精神症状や問題行動が継続し、自傷することもあるため目が離せません。

寝たきりの状態で使える介護保険サービス

寝たきり状態で使える介護サービス

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介護保険サービスにはたくさんの種類があるっポ。

寝たきり度が高いと、多くの場合で要介護5に認定されます。
要介護5は介護を必要とする度合いがもっとも高く、介護なしでは日常生活を送れない状態です。意思疎通が困難な寝たきり状態であることも少なくありません。

日常生活のほぼすべてにサポートが必要になるため、家族だけで介護を担うのは身体的にも精神的にも負担がかかります。介護の負担を軽減するためには、介護保険サービスの活用がおすすめです。

寝たきり状態で判定されることが多い要介護5では、以下のすべての介護保険サービスを利用できます。

介護保険サービスの種類一覧
自宅で受ける ・訪問介護
・訪問入浴介護
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導
施設に通う ・デイサービス
・デイケア
施設に宿泊する ・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
施設に入居する ・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・特定施設入居者生活介護(一部の有料老人ホーム、ケアハウス等)
・介護療養型医療施設
・介護医療院
福祉用具やリフォーム ・福祉用具貸与
・特定福祉用具販売
・住宅改修
地域密着型サービス

訪問
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護

通所
・地域密着型デイサービス
・療養デイサービス
・認知症デイサービス

通い・訪問・泊り
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護

入居施設
・グループホーム
・地域密着型特別養護老人ホーム
・地域密着型特定施設入居者生活介護

介護保険サービスは、ヘルパーに自宅に来てもらう訪問介護や施設に通うデイサービスなどが有名ですが、福祉用具をレンタル・購入できるサービス、施設に入居するサービスなどもあります。

さまざまな種類があるので、ご本人の心身の状態やニーズに合った介護サービスを利用できます。実際に利用するサービスはケアマネジャーに相談した上で決定してください。

介護保険サービスの詳細についてはこちら

介護保険サービスを利用するための手順

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まだ要介護認定を受けていない場合は参考にしてほしいっポ。

介護保険サービスの利用を開始するには、まず要介護認定を受ける必要があります。要介護認定を受けてから実際にサービスを利用するまでの流れは以下の通りです。

1.市区町村の窓口で相談し、必要書類を提出する
2.調査員が自宅を訪問し、要介護認定調査が行われる
3.認定調査の結果や主治医の意見書などを元に審査が行われる
4.認定結果が通知される
5.認定結果を元にケアプランを作成する
6.事業所と契約し、介護サービスの提供が開始される

介護を必要とする本人または家族が市区町村の窓口で相談し、「介護保険要介護・要支援認定申請書」を提出します。
本人や家族による申請が困難な場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所による代行申請も可能です。

次に市区町村の調査員が自宅を訪問し、要介護認定調査が行われます。調査内容は全国共通で、心身の状態や生活環境、家族の状況の聞き取りなどです。

認定調査の結果や主治医の意見書、専門家で構成される介護認定審査会などにより要介護度が判定されます。要介護度は要支援1・2、要介護1~5、または自立のいずれかです。
市区町村に申請してから認定結果が通知される期間は原則 30 日以内となっています。

要介護や要支援に認定されると介護サービスや介護予防サービスを利用できるようになりますが、介護の計画書であるケアプランの作成が必要です。
要介護1~5と認定された方は居宅介護支援事業者のケアマネジャーに、要支援1・2と認定された方は地域包括支援センターで介護予防ケアプランの作成を依頼します。

ケアプランが完成したら、プランに基づいた介護サービスを提供する事業所と契約し、サービスの提供が開始されます。

介護サービス開始までの詳しい流れはこちら

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)は自立度を判断するもの

寝たきり度 (障害高齢者の日常生活自立度)は、一人ひとりの状態を調査してランク分けし、日常生活でどれくらい自立できているかを判断するものです。要介護認定調査やケアプランの作成などで活用されます。

判定基準には「生活自立」「準寝たきり」「寝たきり」の3つの区分があり、4つあるランクのうち「寝たきり」に当てはまるのはそのうちの2つです。

寝たきりは介護なしには生活できない状態です。寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)が高くても、家族の負担が増えないように介護サービスを利用したいところです。
ケアマネジャーと相談しながら、無理のない介護ができるといいですね。

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著者:ハートページナビ編集部

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